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第34話 遺跡攻略。最深部への扉。

「それで、合格と表示されたのはいいけど……ここからどうすれば?」

「待っていればまた勝手に構造が変化するんじゃありません?」

 セシリアのもっともな疑問にそんな風に返すイザベラ。

 

 そしてその直後、ラディウスたちの前に棒状のクリスタルが唐突に姿を現す。

 

「これはクリスタルの……棒?」

「鍵かなにかなのでしょうか?」

 首を傾げながらそんな疑問を口にするルーナとヨナ。

 それに対してメルメメルアが、

「これ、前にこの遺跡を探索した時にも見つけたのです。その時は最深部への鍵だと思っていたですが、今回の探索では必要になるどころか、全く出て来なかったのでちょっと不思議に思っていた所なのです」

 と、そんな風に告げた。

 

「今回は俺たち以外に遺跡に入っている者がいないから、鍵で侵入を制限する必要がなかったのかもしれないな」

「なるほどですわ。つまりこれは、鍵でもありチケットでもある……と、そういう事ですわね」

 ラディウスの発言を聞いたイザベラが、頷きながらそう口にする。

 するとそれに続くようにして、

「なら、この鍵を使う場所を探してみますです?」

 と、そんな風に言って周囲を見回すカチュア。

 

「そうだな。普通に考えればこの部屋の中にあるだろうし、ちょっと探してみるか」

 ラディウスはそう返すと棒状のクリスタル――鍵を回収し、早速それが使えそうな場所を探し始めた。

 そして、他の皆もそれぞれ別方向へと散って探し始める。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 程なくして、

「ちょうどクリスタルを嵌め込めそうな窪みがありましたわよ!」

 と、魔法で拡声しながら告げるイザベラ。

 しかしすぐに、

「こっちにもあったわよ!」

「こっちもだ!」

 というルーナとラディウスの拡声された報告が続いた。

 

「どういう事ですの!?」

「わからん! が、とりあえず一度イザベラの所に集まるとしよう!」

 イザベラの疑問の声にそう返し、イザベラの方へと移動するラディウス。

 

 そして全員がイザベラの所に集った所で、

「ここ、あのクリスタルを嵌め込むのにちょうどよさそうな大きさではありません?」

 と、イザベラがそんな風に言う。

 ラディウスはそのイザベラの視線の先――壁の窪みを見て、なんだか大きい電池ホルダーみたいな感じだな……と思いつつ、

「たしかにピッタリ嵌りそうな感じではあるな」

 と返事をして、早速棒状のクリスタルのそこに嵌め込んでみる。

 

 だが――

「……ピッタリ過ぎるくらいピッタリ嵌まっているのに、何も起きないね?」

 と、セシリア。

 

「そうですね。何か起きてもよさそうな感じですが……もしかして、別の場所なのでしょうか? たしか、おふたりも見つけていましたよね?」

 リリティナがそう言いながらラディウスとルーナを交互に見る。

 それに対し、

「そうね。これとまったく同じものがあったわ」

「ああ。俺の方もそうだ」

 と、返すルーナとラディウス。

 

「でしたら、そっちへ行ってみません? もしかしたら、どちらかが正解かもしれませんし」

 そう提案してくるイザベラ。

 ラディウスたちは特に異論もなかったので、それに同意し、まずはラディウスが発見した場所へと移動する。

 

 しかし、

「こっちも反応がないのです……」

 と、メルメメルアが口にした通り、イザベラが見つけたもの同様、ピッタリと嵌るものの何も変化がなかった。

 

 それならという事で、今度はルーナの発見した場所へと移動。

 他のふたつとまったく同じ形状の窪みへと棒状のクリスタルを嵌め込んでみるラディウスたち。

 

 すると、カチッという音がして、クリスタルが淡い光を発し始めた。

 

「この感じからすると、多分正解だと思うけど……何も起きないね?」

 そんな風に言いながら周囲を見回すセシリア。

 それに対してラディウスは頷きながら、

「……たしかにな。もしや、他のふたつにも同じようなクリスタルが――鍵が必要なのか……? だが、それらしいものはどこにもなかったような……」

 と言って考え込む。

 

「……そう言えばメルメメルア様、前に立ち入った際に見つけたというクリスタルは、まだお持ちなのですか?」

 ヨナがそう問いかけながらメルメメルアの方を見ると、メルメメルアは、

「あ、はいです。ストレージに入れたままなのです」

 と、そんな風に答え、棒状のクリスタルをストレージから取り出した。

 

「もしかして、メルが見つけたこの鍵も使わないと駄目なんじゃないかしら……?」

「……言われてみると、私が見つけた鍵はふたつなのです。嵌め込む場所の数がちょうど合うのです」

 ルーナの言葉にメルメメルアがそう答え、

「遺跡――正確には遺跡の管理システムの類が、こちらの『所持しているコレの数』をチェックしている可能性は十分にあり得るな……」

 と、自身の嵌め込んだクリスタルを見ながら言うラディウス。

 

「なら、戻ってそれぞれ嵌めてみるのが良さそうですわね」

「ああ、試してみるとしよう」

 ラディウスはイザベラの発言にそう返しつつメルメメルアへと視線を向ける。

 メルメメルアはそれに対して頷いて見せながら、

「了解なのです。私の持っているクリスタルを、他の2ヶ所に嵌めてみるのです」

 と言って、ストレージに入っていたもうひとつのクリスタルも取り出した。

 

 ……そして他の2ヶ所に嵌るかどうか試してみた結果、見事に嵌り、3つ全てのクリスタルを嵌め終わった所で、クリスタルが淡い光を発し始めた。

 

「なにやら光り始めましたです」

 カチュアがそんな風に言ったその直後、部屋の中心に向かって光線が照射され始めた。

 

「部屋の中心部になにかあるって言ってるようなものだよね、これ」

「ええ。まったくもってその通りですわね」

 セシリアとイザベラがため息混じりにそんな風に言い、部屋の中央へと顔を向ける。

 

「ま、とにかく言ってみるとしよう」

 ラディウスがそう促し部屋の中央へと移動すると、そこには下へ続く階段が出現しており、その階段の先には扉があった。

 

「床の下に階段と扉が隠されていたようですね」

「あれって、最深部に繋がってるのかな? まだ何かあったり……」

 リリティナに続くようにして、そんな疑いの言葉を口にするセシリア。

 そのセシリアに対してラディウスは、

「さすがにここから更に何かあるとは思えないし、最深部への入口だと考えて大丈夫だと思うぞ」

 と返事をしつつ思う。

 

 ――ようやく最深部か……

 さて、一体なにがあるというのだろうか?

 

 と。

新年明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。


というわけで(?)この節はなかなかの長さになってしまいましたが、ようやく最深部です……

なんとか今年中に完結まで進めたいと思っています……


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新は平時通り……だと2日空いてしまうので、1日前倒ししまして、1月8日(水)の更新を予定しています!(その次の更新からは平時通りに戻ります)

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