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第33話 遺跡攻略。逆行と災厄。

 ――拘束の解除と共に、もう1体の滅界獣を倒したのと全く同じ流れで滅界獣を倒すラディウスたち。

 

「これで2体とも倒したが……」

「まさか、追加で新手が来るとかありませんわよねぇ……?」

 ラディウスに続くようにして、そんな事を口にするイザベラ。

 

「今の2体が前座で、ここからが本番……というのも、まあ……ないとは言い切れないのよねぇ」

「たしかにそうだねぇ……。もっとも、あの巨人型が大量に出てきた所以外は、基本的に一区切りついたら『次』へ進む形になっていたし、ここも巨人型の所以外と同じであって欲しいかなぁ」

 セシリアがルーナに対してそう言った所で、バチバチというスパークが唐突に周囲に発生する。

 

「な、なんなのです!?」

「巻き戻っていきますです……!?」

 メルメメルアに続いて、カチュアがそんな驚きの声を発した通り、倒したはずの滅界獣が復活し、先程の『拘束状態』へと戻る。

 

 否。そこでは止まらず、拘束される前の状態へと戻り、先に倒した滅界獣も『最後に潰した首から順に復活』していく。

 

「時が……逆行しているとでもいうんですの? しかも、倒した滅界獣の時だけが……? いえ、それとも、私たちの時間が滅界獣を倒す前に戻っているんですの?」

「わけがわかりませんが、どうやらもう一度倒さないと駄目そうですね……っ」

 呆気に取られて困惑するイザベラに対し、そんな風に言いながら得物を構え直すヨナ。

 

「倒し方もわかっていますし、余力も残っているので問題はありませんが、これはなかなかの罠ですね……」

「……たしかにな。更に復活してくる可能性もある。全力を出しすぎないように戦った方が良さそうだな」

 リリティナに対して頷いてみせながら、ラディウスがそんな風に告げる。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 ――ラディウスの口にした通り、再び2体とも倒した所で、また巻き戻りが発生した。

 さらにそれを倒してもまた巻き戻る。

 

「ねぇ……。これ、なにかの『仕掛け』があって、それをどうにかしない限り倒せない仕組みなんじゃない?」

 セシリアがそんな推測を口にすると、

「まあたしかに、ここまで復活を繰り返すとなると、なんらかの仕掛けがあると考えた方が良い気はするな……」

 と、そう返しつつ周囲を見回すラディウス。

 そして、

「ん? 待った。巻き戻っているだけじゃない……? 太陽が――」

 周囲の『変化』に気づいて、そう口にした。

 

「え? ……あ、本当だ。いつの間にか朝焼けだね。夜が終わった?」

「いえ、あれは朝焼けではなく、『夕焼け』ですわ。太陽の位置が夜になる前と『同じ』ですもの」

 セシリアに対し、イザベラがそんな風に答えると、それに続くようにして、

「もしかして、部屋全体の時間が逆行している……です?」

 と、メルメメルア。

 

「でも、空が夕方だった時には、まだ滅界獣は現れていなかったはずよ?」

「言われてみると、たしかにその通りなのです」

 ルーナに対してメルメメルアが頷きながらそう返した所で、イザベラが、

「下も覗いてみた方がいいですわね。――ちょっと止まっていて貰いますわよっ!」

 と言い放って滅界獣を2体とも『拘束』すると、そのまま崖へと移動。

 そして、

「ちょぉぉっ!? な、なんですのこれぇぇっ!?」

 という驚きの声を発した。

 

「どうかしたのか?」

 そう問いかけながらイザベラの横へと向かうラディウス。

 そんなラディウスに、

「し、下の光景が変わっていますわ……」

 と告げるイザベラ。

 

 ラディウスはそれに対して、

「下?」

 と返しつつ、崖下を覗き込み――

「漆黒の闇……。いや、これは死の大地にあった大穴……?」

 などという呟きを口にする。

 

「こ、『この場所以外』は、完全に飲み込まれていますですっ!」

「……もしかして、ここは『災厄の中心』……なのか?」

 カチュアの驚きの声に続くようにして、そんな事を呟くラディウス。

 それに対し、

「災厄の中心……です? ……もしそうであるとするのなら、災厄というのは――」

「――あの死の大地の中心にあった大穴がその一部……?」

 と、呟くように言うメルメメルアとルーナ。

 

「という事は……私やカチュアさんが閉じ込められていた『無窮の混沌』……あれも、『災厄』に繋がる……いえ、下手したら、あれ自体が『災厄』の一部である可能性も……?」

「……それはなんとも言えませんけれど、オルディマの秘術などで災厄の一部と接続出来てしまう……というのは、どうにも腑に落ちませんわ」

 リリティナの発言に頷きつつ、そう返すイザベラ。

 

「たしかに秘術とはいえ、魔法……。そんなもので災厄を簡単に操れるようなら、古の時代に、世界規模で対策を講じる必要なんてないよね」

「でも、死の大地が災厄の一部だとしたら、無窮の混沌も無関係ではないのです」

 セシリアとメルメメルアがそんな風に言い、

「……向こうの世界では既に死の大地化している所があります。そして僅かずつではありますが、新たに死の大地と化していっている場所もあります。それはつまり、向こうの世界はこのままいくと……」

「――再び災厄に襲われる……いえ、もう既に襲われ始めていると考えた方がいいですわね」

 と、ヨナとイザベラ。

 

「まあ、その事をあれこれ考えるのは、あの滅界獣をどうにかしてからにし――」

 ルーナがそう告げながら拘束状態の滅界獣の方へと顔を向け直し……「え?」という困惑の声を発した。

 

「滅界獣が……勝手に霧散していく……?」

 ラディウスがそんな風に口にした通り、『拘束』こそしていたものの、一切攻撃を仕掛けていないのにも関わらず、滅界獣2体は粒子となって霧散していく所だった。

 

「唐突に何が起きたのでしょう? です」

 カチュアのもっともな疑問に対し、

「まさか、『周囲の変化』を認識する事……。それ自体が最終試験の目的……だったのか?」

 という推測を口にするラディウス。

 

「今の状況を考えると、その可能性は大いにありますわね……」

「そうだね。でも、だとしたらなんでこんな回りくどい方法を……?」

 今度はイザベラとセシリアが、そんなもっともな疑問を呟く。

 

「わからん。……が、なにかあるんだろうな」

 ラディウスがそう返した直後、この光景が生み出された時と同じ『眩い光』が生じ……元の『部屋』へと戻った。

 

 そして――

『撃破回数:3 状況把握力:S――』

 といったような『スコア』がホログラムとして表示され始め、最後に『最終試験:合格』という文字が表示された。

 それを見ながら、

「……良く分からないが、どうやら突破したみたいだな」

 と、そうラディウスは呟いた。

災厄とは? という点に、ようやく踏み込んでいく所まで来る事が出来ました……

本当は今年中に完結する想定だったのですが、結局来年に持ち越しに……

来年こそは完結させたい所です。


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新ですが、元旦とその翌日は更新するのが難しい為、次も少し更新間隔が開きまして……1月4日(土)の更新を想定しています!


※追記

前後の文章(会話)の繋がりがおかしくなっていた箇所を修正しました。

(長さを抑える調整の為に内容の一部をカットした際、会話の調整が不完全でした)

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