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第32話 遺跡攻略。拘束魔法。

「なにやら、サラッと『解析』とか言ってますわね……」

 そんな風にため息混じりに言うイザベラに対し、

「イザベラ様は既に解析済みなのでは?」

 と、首を傾げながら問うヨナ。

 

「ある程度はしましたけれど、そこから先はどうにもし難くて諦めましたわ」

 そうイザベラが肩をすくめながら答えると、

「むむむむむ……。たしかにこれは理解不能なのです」

 と、そんな事を口にするメルメメルア。

 ラディウスとルーナだけではなく、メルメメルアもしっかり解析していたらしい。

 

「強制的に拘束する為に、全てを遮断しようとしている……のかしらね? これ」

「その割には魔法での干渉は可能なのが良くわからんな……。いや、干渉した瞬間、術式が崩壊するという事は、遮断の仕方が中途半端なのか?」

「たしかに、物理的な攻撃は高重力――というか、最早超重力とでも言った方がよさそうだけれど――で引っ張られるだけという事を考えると、それはあり得そうな気もするわね」

「そうだな。現状の術式だと、物理と魔法の双方に対処しようとすると拘束力が下がる……のか? 魔法の方にも対処しようとした痕跡のようなものはあるが……」

「たしかに『攻撃魔法』じゃなければ、崩壊はしないっぽいわね。これ」

「まあ、『攻撃魔法』以外じゃダメージを与えられるものじゃないしな」

 ラディウスとルーナがそんな事を口にしながら解析を続ける。

 

 それを聞いていたセシリアが、

「これって、物理的な攻撃は高重力だか超重力だかで下に引っ張られるんだよね? なら、思いっきり上に向かって投げつけたらどうなるの?」

 と、そんな疑問を口にした。

 

「もしかして、感性を利用すれば当たるかもしれないとか考えてますの? だとしたら無駄ですわよ。あの領域に入った瞬間、ありえない勢いで即座に真下に一直線に引っ張られて届きませんもの」

 そんな風に言って、やれやれだと言わんばかりの表情で首を横に振るイザベラ。

 それに対してセシリアは、

「あ、そういう風になるんだ」

 と返した所で、ふと何かに気づき、

「……あれ? でも、攻撃魔法じゃなければ大丈夫って事は――」

 などと呟くように言いながら、聖剣を滅界獣の頭上へ向かって放り投げた。

 

 そして、すぐに「展開っ!」と言い放ちながら、聖剣の周囲に魔法障壁を発生させる。

 直後、聖剣は滅界獣を拘束している領域に入り……剣先がカクンと真下へ向き、そのまま一気に落下していく。

 

 が、魔法障壁はそのまま展開されており、その障壁が滅界獣へと激突。

 3つの頭が障壁に弾かれ、押しつぶされるようにして地面に叩きつけられた。

 次の瞬間、

「「「グギィギュルァァァッ!?!?」」」

 同時に発せられた苦悶の叫びが、なんとも言い難い音となって響き渡る。

 

「ま、まさか、魔法障壁の『障壁部分』で押しつぶすなんて方法を取るとは思いもしませんでしたわ……」

 なんていう驚きと呆れの入り混じった表情と声のイザベラに続くようにして、

「魔法障壁は『弾くだけ』ではありますが、たしかにああして上から弾い場合、下に押し付けられる――押しつぶされる形になりますね」

 と、そんな風に言うリリティナ。

 

「これ……もしかして拘束している間に、対象を檻とかに閉じ込めるのが目的なんじゃないか……?」

 セシリアの行動から、そんな推測が頭に浮かび、それを口にするラディウス。

 そのラディウスに対して、

「あー……。たしかにそれはありそうというか……これ、『網』の代わりに使っていたような感じもしてきたわ」

 なんていう返事をして、肩をすくめてみせるルーナ。

 

「網……。言われてみると、短剣を投げてこれを発動させる流れは、『投網』のそれに似ていますわね……」

 ラディウスとセシリアの発言に対し、イザベラがそんな風に呟くと、

「あ、たしかにそうですね」

 と、それに同意してみせるヨナ。

 

「つまり、捕獲用……という事ですか? です」

「ああ、そう考えるのがもっとも適切な気がする」

 カチュアの問いかけに対し、ラディウスがそう答えると、

「……古の時代の人々は、滅界獣を捕獲しようと考えていたわけですね、です」

 と、呟くように言うカチュア。

 

「滅界獣を捕獲しようとか、なかなかにとんでもないですわね」

「そうだね。何を考えているのやらって感じだよね、今の所は」

 イザベラとセシリアがそんな風に言いながら、

「でも、こうして再現されている滅界獣は、実はそうして捕獲した滅界獣をコピーした……という可能性も大いにありえますわね……」

 なんて事を言った。

 

「ああ、たしかにそれはあり得ないとは言い切れないな……」

 ラディウスがそんな風に言った所で、滅界獣の拘束が急速に弱まっていく。

 

「っとと、時間切れのようですわね」

「そうみたいだな。まあ……術式は概ね把握出来たし、このまま倒してしまっていいな」

 ラディウスがイザベラにそう返すと、イザベラはそれに対して、

「概ね把握出来たという時点で、色々無茶苦茶ですわねぇ……」

 などと口にしつつ、やれやれだと言わんばかりの表情で首を横に振ってみせるのだった。

今回は珍しく想定の長さ通りになりました。

……が、なんだか短すぎるように感じますね……

普段が長すぎるせいでしょうが……


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新は、いつもより1日だけ間が多い形となりまして、12月30日(月)の予定です。

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