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第31話 遺跡攻略。滅界獣と拘束と。

「とはいえ、こちらは足止めが目的。これでも十分と言えば十分ですわ」

「まあ、たしかにその通りではありますね。あちらはどうなっているのでしょう?」

 ヨナはイザベラに対してそう返事をすると、ラディウスたちの方へと顔を向ける。

 

 すると、パイコーン頭が消えており、更にセシリアとリリティナの同時攻撃によって、グリフォン頭が切断される所だった。

 

「もうふたつの頭を潰していますね」

「そうですわね。……というか、頭をふたつ潰しても動けるんですのね、こいつ……」

 イザベラはそんな風にヨナに言いながら拘束状態の滅界獣を一瞥する。

 

「というか、パイコーン頭がなんだか復活しそうな感じです」

 そうヨナが口にした通り、ラディウスたちが消し飛ばしたであろうパイコーン頭の『首』の部分に黒い靄のようなものが発生していた。

 

「滅界獣は謎の再生力というか、復元力を有しているものも多いんですのよねぇ……。そのせいで、一度飲み込まれた事もありますもの……」

 ため息混じりにそんな事を口にしたイザベラに、

「ああ、ラディウス様たちと接触する事になったという、聖木の館の地下に広がる遺跡での一件ですね」

 と、顎に手を当てながら返すヨナ。

 

「その通りですわ。まあ、そのお陰で世界の謎……『分岐したふたつの歴史とふたつの世界の謎』に近づけたので、良しとしますわ」

「相変わらず、『それ』を追っているんですね」

 イザベラの言葉に、ヨナはそう言って肩をすくめてみせた。

 そして、それに対してイザベラは、腕を組みながら返事をする。

「当然ですわよ。昔から世界の歴史には不可解な所があると感じてはいましたけれど、もうひとつの世界――この並行世界の存在、そして『過去改変』というものを知った事で、この世界と歴史には何かが隠されている……そう強く認識する事が出来ましたわ。であれば、それを知りたいと思うのは当然というものですわよ」

 

「当然と2回言うほど、重要なんですね」

 などという突っ込みを入れた後、

「まあ、イザベラ様のその『知る事の出来るものは全て知りたい』という考え、想いのお陰で、レヴァルタは『全滅』をギリギリの所で回避し、『再建』という未来へと繋げられたのはたしかなので、止めはしませんし、むしろ全力で支援しますけどね」

 と言って微笑するヨナ。

 

「そう面と向かって言われると、なんだか照れますわね……」

 なんて事を言いながら、顔をラディウスたちの方へと向けるイザベラ。

 そして、

「……って、再生しようとした頭――というか、靄みたいなものを吹き飛ばしていますわね……」

 と、そんな風に呆れと驚きの入り混じった表情で呟くように口にした。

 

「ラディウス様の魔法ですね。靄のようなものであっても吹き飛ばせるものなのですね……」

「普通の魔法では無理だと思いますけれど、ラディウスの魔法は色々とおかしいんですのよねぇ……。ウンゲウェダドラウグすらも、一撃で吹き飛ばせる魔法がありますもの」

 ヨナに対してそう返事をして、やれやれと首を横に振ってみせるイザベラ。

 

「たしかに、ラディウス様から受け取ったガジェットの魔法の中にはそういったものもありますね……。あの魔物はその性質上、一撃で吹き飛ばせるようなものではないはずなのですが……」

「まあ……ウンゲウェダドラウグの持つ性質については、ラディウスも良く知らないようでしたので、偶然の産物かもしれませんけれど……」

「他に偶然の産物とは言えないような魔法が数多くありますからね……。というか、ラディウス様の故郷には古の時代の魔法――正確に言うと、魔法が組み込まれたガジェットに関する記録が残っている……という話でしたが、古の時代に魔法を研究していた施設かなにかがあったのでしょうか?」

「かもしれませんわね。術式に関する知識と技術が常軌を逸していますもの」

「古の時代に作られた魔法……というか術式は、強力なものが多いですからね。……今まさに、こうして拘束しているこれのように」

 イザベラに対してヨナはそう返すと、いまだに拘束状態にある滅界獣へと視線を向けた。

 

「発動中は接近する事も攻撃する事も出来ないという、欠陥すぎる欠陥がある代わりに、拘束の強さと拘束状態の継続時間は凄まじいんですのよねぇ……。まさか、滅界獣にまで、これ程の拘束力を発揮するとは思いもしませんでしたわ。まあ、もう少しで破られそうな感じではありますけれど……」

「――その前にあちらが終わりそうですね」

 イザベラの言葉を引き継ぐようにしてそんな風に言い、ラディウスたちの方へと再び顔を向けるヨナ。

 

 その視線の先では、まさに残っていた竜頭が消し飛ぶ所だった。

 グリフォン頭が再生しかけていた――兆しともいうべき靄のようなものが発生していたが、竜頭が消し飛ぶと同時にそれもまた霧散した。

 

 残された胴体はというと、その場で横倒しになったかと思うと、赤黒い無数の粒子へと転じ、そして消えていった。

 

「こっちは倒したのですですー!」

 というカチュアの声と共に、ラディウスたちがイザベラのところへと駆けつけてくる。

 

「カチュアが言った通り、あっちは倒したぞ。あとはこっちだけ……って、なんだかもの凄い拘束の仕方をしてるな……」

 と、滅界獣の現状を見て、少し驚きつつ呟くラディウス。

 それに対してイザベラは、

「まあ、正直ちょっとばかし……否、かなり扱いづらい代物ですわ。拘束中は近づけない、攻撃も出来ない……なんていう代物ですもの」

 などと、首を横に振りながら返答をする。

 

 そのイザベラの返答を聞いたラディウスとルーナは、拘束状態の滅界獣を見回しながら、

「……なるほど。パッと見た感じでも、なかなかに妙な術式構造だとわかるが、そういう代物なのか。なら、拘束が解けてから攻撃を仕掛ける方がいいな。この術式、解析出来る範囲で解析しておきたいし」

「たしかにそうね。とりあえず待ちながら、術式を可能な限り解析しましょうか」

 と、そんな事をサラッと口にするのだった。

本当は、もう少し戦闘描写があったのですが、全体を調整した際にごっそりとカットして、今の形となりました。


とまあ、そんな所でまた次回!

……なのですが、色々と立て込んでいる為、次の更新も再び間が空きまして……12月26日(木)を想定しています。

また、今年(今月)一杯~年明け(来月頭)は、この頻度での更新になってしまいそうな感じだったりします……

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