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第6話 伯爵の屋敷にあったモノ。起動せし力と謎の現象。

あと2話か3話と前回言いましたが、第1章ラストです!

(区切りが悪い部分を2章冒頭に回して、1章はその手前までにしました)

 ――セキュリティによる認証機能がエクリプスを弾いている?

 いや、違うか。セシリアの精神がセキュリティによって、エクリプスの精神と遮断されるようになっている……のか?

 同化しつつも、完全に一体化しないような状況を作り上げているような感じだが……これは一体どういう意図が……?

 よく分からんが、結果的にこれのお陰で、精神の方も引き剥がしやすそうではあるな。……まあもっとも、その方法の算段がつけば……だが。

 

 と、そんな感じでラディウスがセシリアの状況を確認していると、

「ラディさん、皆を連れてきたっす! あと、良い感じの縄が大量にあったっす!」

 というルティカの声が聞こえてくる。

 

 ラディウスがそちらに視線を向けると、ちょうどルティカを先頭に冒険者たちが、そしてその後ろからシスターとローブ姿の男性が、という形で執務室に入ってくる所だった。

 

「話は聞きました! すぐに締め上げ――ではなく、拘束するのでお待ちを!」

 シスターがそう言うと、冒険者3人とシスターが手分けして兵士を縄で拘束し始める。

 なにやら一瞬物騒な感じがしたが、気のせいだろうか……と思うラディウス。


 そんなラディウスにローブ姿の男性が歩み寄り、

「セシリア様はどのような感じですか? 出来れば縄で拘束というのは避けたいのですが……」

 と、申し訳無さそうな顔で問いかけた。

 ラディウスも同じ考えだったので、拘束しないで済むであろうという見解を交えて、詳しく説明する。


「ふむ……。であれば、とりあえずは拘束せずに大丈夫そうですね」

 説明を聞き、そう判断を下すローブ姿の男性。

 ラディウスが頷き返し、それに同意を示す。

 

 そうこうしている内に兵士の拘束が終わったようで、

「ラディさん、全員拘束したっすよ!」

 と、ルティカが告げてくる。

 

 ラディウスは、ルティカたちに感謝の言葉を述べると、早速、魔法を解除した。

 予想通りと言うべきか、魔法が解除されてもなお、セシリアは一切動く様子がない。


「よし、それじゃあ聖女様は俺が運ぶぜ」

 狩人風の冒険者の男性はそう言うと、セシリアを持ち上げて運んでいく。


 ラディウスがそれに続こうとした所で、ふと執務机の上に何かが置かれているのに気づいた。

 なんとなく気になって机に近づき、そして驚く。

 

 ――っ!? これは……っ!?

 

 机の上にあったのは、ラディウスが時を遡るための作ったガジェットとそっくりの懐中時計だった。

 否。懐中時計と同じ形状をした謎のガジェットだった。

 

 ――大枠は俺の作った物にそっくりだが……数字の部分の部分が宝玉になっていたり、その宝玉同士を繋ぐ溝があったりと、細部が違うな。

 短針や長針もなくて、代わりに中心の一回り大きい宝玉に向かって、各宝玉から伸びる溝がある……と、そんな感じか。

 これを作ったのは伯爵だろうか……? いや、それにしては少し古いような……

 

 なんて事を考えつつ、それに手を伸ばすラディウス。

 

『……アストラル・コネクト・リンク……。マルチプレックス・トランスセンダー……コンファームド。……パラレル・ネクサス・システム……インストール……』

 触れた瞬間、そんな声と文字が、同時にラディウスの頭へと流れ込んでくる。

 

 ――な、なんだ……!? 

 む……う……? 頭が……視界が……白く………………

 

 ……ラディウスの意識は、そこで途切れた。

 

                    ◆


 ……

 …………

 ………………

 

「い、今のは……」

 意識が戻ったラディウスが呟く。

 

 ――って、どこだここ!?

 

 ラディウスの目の前には、暗闇に包まれた通路があった。

 というより、それしかなかった。

 

 ――この壁や床、金属……か?

 この時代に、これほどの大量の金属を使う建造物を生み出すような技術は、まだなかったはずだが……

 いや、それよりも……だ。どうして俺はこんな場所に……?

 たしか、伯爵の執務室で――

 

 ラディウスは周囲を見回しながら、執務室で見かけたガジェットを思い浮かべる。

 と、次の瞬間、視界が真っ白く染まった。

 

 ――って、またか!?

 

 そう思ったラディウスだったが、今度は意識が飛んだりはしなかった。

 真っ白くなったかと思うと、数秒もせずに視界が戻る。

 

「え?」

 ラディウスの口から言葉が漏れる。

 何故なら、伯爵の執務室にいたからだ。

 目の前には机が見える。

 

「どうかしたっすか?」

 ルティカが問いかけてくる。

 

「あ、いや……。変な事を聞くが、俺はずっとここにいたよな?」

「本当に変な事っすね? ずっといたっすよ?」

「そう……だよな」

 

 ラディウスの反応に、良くわからないルティカが首を傾げる。

 

「って、あれ? 机の上に置いてあったガジェットはどこへ消えたんだ……?」

「ガジェットっすか?」

「ああ、ここに置いてあったはずなんだが……」

 問いかけてくるルティカにそう返すと、ルティカはしゃがみこんで、

「んー、落っこちているわけじゃなさそうっすね……」

 と、そう言いながら机の下を見回す。

 

 ――あれに触れた瞬間、変な通路に飛ばされたように感じたが……

 白昼夢、あるいは幻覚でも見たというのか……?

 

 と、顎に手を当てながら、先程見た通路の事を思い浮かべるラディウス。

 すると、再び視界が真っ白く染まった。

 

「は!?」

 

 わけがわからず声を上げた直後、ラディウスの目の前の景色が再び変わる。

 暗闇に包まれた金属で作られた通路へと。

 

「な、なんなんだこれは……っ! 一体何がどうなっているんだ……っ!?」

 そんなラディウスの叫びが、通路に響き渡ったのだった――

という所で、第1章終了です!

第1章終了直後で誠に申し訳ないのですが、お盆の都合で土日の更新はありません……

第2章のスタートは、来週の月曜日からを予定していますので、よろしくお願いいたします!

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