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第5話 転生者は対峙する。大凶鳥と。

「ぬななぁぁっ!?」

 全速力で走る馬車から飛び降りるという危険極まりないラディウスの行為にクレリテが驚きの声を上げる。

 だが、ラディウスはグラビティコントロールの魔法で落下を制御し、難なく着地。


「マクベインさん! 俺の事は気にせず先に行っててください!」

 そう告げて、ガントレット型の神器を構える。

 

「そんなわけにはいかないのだわっ! ――グラビティ・コントロールッ!」

 という言葉と共に、クレリテも馬車から飛び出してくる。


 ラディウスとほぼ同じ方法を用い、こちらも難なく着地。

 同時に馬車も制止した。

 

「グラビティ・コントロールなしに、馬車から飛び出すとか無茶苦茶なのだわっ!」

「いや、使ったぞ? ドライブワードをスキップしただけで」

「ドライブワード? それは魔法の発動文言――呪文の事なのだわ?」

 ラディウスの言った言葉が良く分からず、推測で問うクレリテ。

 問われたラディウスは、この頃は呪文と呼ばれていたのだという事を思い出す。

 

「まあ、そうとも言うな」

「普通は、そうとしか言わないのだわ。ドライブワードなんていう言い回しは初めて聞いたのだわ」

 これ以上深く追求されると面倒だと考えたラディウスは、

「それより、何でクレリテまで飛び出して来たんだ?」

 と、クレリテに尋ね、話の流れを強引に変えた。


「それは簡単なのだわ! ラディだけに任せて先に行くなんてありえないのだわっ! 戦うなら私も一緒に戦うのだわっ!」

「あ、ああ、なるほど。なんか巻き込んですまん」

 

  ――何かの時のために、時を遡る前に作り出した強力な攻撃魔法も1つだけこいつには仕込んであって、それを使う予定だったんだが……あまり強力な魔法を人に見せるのは避けたいんだよなぁ……

 なにしろ、それをやりすぎた結果があれだからな……。うーん、ここはあえて使わずに、クレリテに手伝って貰う方がいいかもしれない。

 

 そうラディウスが心の中で結論を出した直後、 

「クレリテ様! ラディウス殿! カラミティエイビスです!」

 という、マクベインの声が響く。

 

 見上げると、騎士が馬上で使う円錐型の槍の如き、金色の長く鋭いくちばしと、燃え盛る炎を思わせる緋色の翼を4つも持つ巨大な鳥の姿がそこにはあった。


 直後、餌が増えたとでも思ったのか、カラミティエイビスの歓喜めいた甲高い咆哮が響き渡る。

 

「お前からしたら餌が増えて喜ばしいだろうな、カラミティエイビス。……けど、こっちは餌になってやるつもりなんざ、さらさらないんでね」

 そうラディウスが呟いた直後、カラミティエイビスがくちばしを下に向け、4つの翼を大きく広げた。

 

 原理はいまいちわかっていないが、カラミティエイビスはその4つの翼によって、巨躯でありながらも高速での移動を可能にしている……と、魔物を研究する者たちの間では言われている。

 つまり、それを広げてくちばしを下に向けたという事は、急降下による攻撃を仕掛けてくる……という事だ。

 

「く、来るのだわっ! どう迎え撃つつもりなのだわ!?」

 というクレリテの問いかけに対し、ラディウスは、

「――まずは叩き落とす」

 と、短く言い、カラミティエイビスを見据えて右腕を突き出した――

前の話で戦闘! と言ったのですが、長かったので2話に分けました……。すいません。

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