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第29話 遺跡攻略。滅界獣とラディウスたち。

「まあたしかに、ふたりならば連携も完璧だとは思うが」

「でもさ、それなら私とラディでも良くない? 連携もそうだけど、遠距離と近距離で組み合わせもバッチリだと思うし」

 納得しているラディウスに対し、セシリアの方はちょっと疑問と不満があるらしく、そんな風に返す。

 

「そうですね。『ふたり』という括りであれば仰る通りだと思います。ですが、ラディウス様を軸としてセシリア様とルーナ様とメルメメルア様の3人が連携して動けば、ふたりの時の2倍……ではなく、2乗と言っても過言ではない程の戦力アップとなるでしょう。そこが今回は重要なのです」

「ええ、ヨナの言う通りですわ。私とヨナがそちらに回っても2倍と2倍でしかありませんもの。二手に分かれて片方が動きを抑え、もう片方が速攻で撃破を狙うのであれば、撃破までの時間を短縮する事が出来れば出来るほど良いというものですわ」

 ヨナの言葉に頷き、説明を付け加えるようにそんな事を言うイザベラ。

 そしてそこにヨナが更に、

「なので、足止めは私とイザベラ様が適任なのです。そして、そんな皆様4人にカチュア様とリリティナ様が支援と遊撃をこなす形で加われば、なお万全というものでしょう」

 なんて事を付け加えた。

 

 若干……というか、結構無理矢理な理論であると言わざるを得ない感じもするが、イザベラとヨナは、こう言えば大丈夫だろうと判断していた。

 

 そして――

「うーん、なるほど……。そう言われてみると、たしかにそうかも」

 などと、まさにイザベラとヨナの判断通り、納得の表情でそう口にするセシリア。

 そして、そんな感じでようやく納得した様子のセシリアに対し、

「はいです。私たちならば速やかに倒す事が出来るというものなのです」

 と、メルメメルアも告げた。

 

 更に――

「私もしっかり支援いたしますね」

「同じくですです」

 リリティナとカチュアがそう口にし、

「ま、あまり待たせ続けるのもあれだし、そろそろ仕掛けてあげましょ」

 なんて事を、肩をすくめながら言うルーナ。

 そして最後はラディウスが、

「そうだな。戦闘開始までの時間が長すぎるとかいう『マイナス評価』がないとも限らないしな」

 と言いながら得物――銃型ガジェットを構え、

「というわけで、仕掛けるとしよう」

 と、宣言した。

 

 その宣言に続くようにしてカチュア以外の全員がそれぞれの得物を構える。

 カチュアは武器を持っていないので、先制して魔法を放つ事を考えた。

 しかし……

「金色の――」

 そうカチュアが詠唱した瞬間、

『ゴガアァアァァァァァアァァッ!!』

 という咆哮が同時に鳴り響き、2体の滅界獣が動き出す。

 

「詠唱に反応したのですっ!」

「さすがに先に詠唱させてくれる程、甘くも緩くもないみたいねっ!」

 驚くメルメメルアと、それに続いてそう口にしつつ、真正面から迫る滅界獣に即時発動の電撃魔法を放つルーナ。

 

 そして、それとほぼ同時に、

「ヨナ、私たちも行きますわよっ!」

「はい、先行しますっ!」

 と言い放ちながら、もう1体の滅界獣へ向かって駆けるイザベラとヨナ。

 

 ルーナの放った電撃魔法はあっさりと回避されるが、そもそもルーナ自身、それはただの牽制――というより『誘導』の為であった。

 

 回避したその先に、ラディウスとルーナの銃型ガジェットから放たれた魔弾、そしてメルメメルアのクロスボウから放たれたマジックボルトが殺到する。

 滅界獣は、まんまと『遠隔攻撃の嵐』の中へと誘導されたというわけだ。

 

「キィィィィィッ!」

 グリフォン頭がそんな甲高い咆哮を発した直後、滅界獣を半透明の青い甲羅のようなものに覆われる。

 

「防御障壁か……っ!」

「でも、この数ならっ!」

 ラディウスに、ルーナが続きそう口にした直後、魔弾とマジックボルトが一斉に滅界獣に着弾した。

 

 バチバチと弾け飛ぶ音が立て続けに鳴り響き、着弾した攻撃が次々に霧散していく。

 だが、さすがに凄まじい量かつ1発1発の威力も高い事もあり、全体の2/3程度が着弾、そして霧散した所で、パキィンンッ! というプラスチックが割れたかのような破砕音が響き渡り――

「グガガァァアァァアァァァアァァッ!!」

 という叫び声と共に残りの魔弾とマジックボルトをまともに食らう滅界獣。

 

「そこぉぉっ!」

「せぇぇいっ!」

 大きく跳躍して飛びかかるセシリアと、地面を滑るかのような動きで素早く、かつ鋭く迫るリリティナ。

 

 両者の斬撃がそれぞれ、竜頭とグリフォン頭へと命中。

 さらにそこにカチュアの放った石礫――否、鋭く尖った岩槍と言った方が妥当であろう、そんな『魔法』がバイコーンに命中する。

 

 ほぼ同時に3つの頭にダメージを受けた滅界獣は、

「ゴガッ!? ガアッ!? ギギィ!?」

 なんていう、混乱、驚愕、苦悶の入り混じった叫び声と共におおきくのけぞった。

 

 そして、その隙を逃すセシリアとリリティナではない。

 さらなる斬撃を連続で繰り出し、胴体を斬り裂く。

 

「グゲガガガァァッ!!」

 という身を悶えるかのような動きと共に竜頭から発せられた咆哮が、周囲に衝撃波を発生させる。

 

「わわっと!」

「っ!」

 セシリアとリリティナは即座に反応し、防御態勢をとった。

 

 しかし、衝撃波は『ダメージ』を与えるよりも『吹き飛ばす事』を主としているらしく、防御態勢を取ったセシリアとリリティナを、そのまま大きく吹き飛ばした。

 その余波はラディウスたちにも届き、

「あわわっ!? ひぐっ!」

 ――小柄なカチュアがその衝撃に転倒した。

 

「あ、危なかったのです……」

 と呟いたメルメメルアは、体勢を崩しつつも、どうにか両手を地面につく事で、転倒をギリギリ免れていた。

 

 ラディウスとルーナはというと、防御障壁を即座に展開し、完全に衝撃波そのものをブロックしている。

 

「瞬時に防御障壁を展開するとか、さすがなのです……」

 なんて言いながらメルメメルアが立ち上がる。

 と同時に、

「メル! カチュアに障壁っ!」

 ルーナからメルメメルアにそんなに指示が飛ぶ。

 

「っ!」

 メルメメルアは、カチュアへと視線を向けながら障壁魔法を発動。

 メルメメルアの目がいつの間にかカチュアの横に回り込んでいた滅界獣を捉えた。

 

 刹那、竜頭から紫色のブレスが放射されるのを見ながら、

「っ! 毒っ!?」

 という声を発するメルメメルア。

 

 ――でも、間に合うですっ!

 

 そう心の中で叫んだ通り、先程とは違い、今度は防御障壁の展開の方が早かった。

 紫色のブレスがカチュアを飲み込むも、カチュアは防御障壁によって完全に守られ、毒に塗れる事はなかった。

 

「このぉっ!」

「よっ!」

 ルーナとラディウスが魔弾を連続で放ち、滅界獣を牽制、それ以上の攻撃を阻止する。

 更にそこへ、

「よくもふっ飛ばしてくれたねっ!」

 なんて声と共に、セシリアが滅界獣に飛びかかる。

 

 さすがに長距離からの大ジャンプなので、当たる前にバックステップで避けられるも、カチュアから引き剥がす事には成功した。

 

「まさか、あれほど弾き飛ばされるとは思いませんでした……」

 と言いながらリリティナも戻ってきて、カチュアと滅界獣の間に立ち塞がる。

 

 イザベラは、そんな様子を横目で見ながら、

「やっぱり慣れてるだけはありますわねぇ」

 なんて呟く。

 すると、それに対してヨナが、

「はい。ですが、それはこちらも同じというものです」

 と、滅界獣に対して視線を向けたまま頷いて答える。

 

「そうですわね。このまま翻弄しながら惹きつけ続けますわよっ!」

 イザベラはヨナに同意しつつそう言い放つと、滅界獣へ向かって鞭のようにしならせた赤黒い鎖を振るった――

またもや思ったよりも長くなってしまったので、ちょっと中途半端な感じもしましたが、一旦ここで区切りました……


さて、そんなこんなで次回の更新ですが……前回記載した通り、更新のタイミングが平時とは違ったものとなります。

平時よりも1日多く間が空く形となりまして……12月16日(月)に更新する想定です!(その次の更新は、更に間が空いてしまうかもしれません)


※追記

誤字脱字を修正しました。

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