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第25話 遺跡攻略。残敵撃滅。

「てりゃぁぁぁぁぁっっ!!」

 掛け声と共に青い雷光を纏った聖剣を振るうセシリア。

 

 しかも、その纏われている青い雷光は、既に剣身を遥かに超える長さ――というか、最早天井に届きそうな程の長さになっており、それはもうまさに『巨大な雷の刃』と呼んでも過言ではない程だった。

 そんな大質量の雷光が勢いよく巨人型ドールガジェットへと叩きつけられる。

 

「まだまだぁぁぁっ!」

 そんな風に言い放ったセシリアは、その叩きつけで終わりにする事なく、そこから更に振り上げ、左右に振り回し……と、連続で攻撃を仕掛けていく。

 

「バースト状態を維持しつつ剣を振り回すとか、無茶苦茶な事してんなぁ……」

「というか、あんな事が出来る仕組みになっていた事に驚きなのです」

 ラディウスの言葉に続くように、メルメメルアがそう口にすると、

「壁を作る術式を組み込んだ時に、勢い余って、出来るようにしちゃったのよねぇ」

 などと、腕を組みながら少しため息混じりに答えるルーナ。

 

「一体、どんな勢いの余り方をしたですか……」

 呆れ気味にそんな事を呟いたメルメメルアに、

「魔力の消耗が異常すぎですわ。聖剣……いえ、古の時代に作られたガジェットの剣だからこそ耐えられているものの、普通の剣だったらとっくに剣そのものが消し炭になっていますわね、あれ。無茶苦茶にも程があるというものですわ」

 なんて事を言うイザベラ。

 

「そう言いながら、あの巨人を雁字搦めにしているイザベラ様も大概ですけどね」

 そんな突っ込みめいた事をヨナが口にした通り、イザベラは赤黒い鎖を伸ばし、巨人型ドールガジェットを完全に絡め取っていった。

 

「ある意味、リリティナ様が一番普通な戦い方をしているような気がしますです」

 などとカチュアが言いながら、リリティナへと視線を向ける。

 

 その視線の先では、リリティナが凄まじい数の衝撃波を剣から放ちながら、超高速で巨人型ドールガジェットの周囲を旋回していた。

 

「あれは普通……と言っていいんでしょうかね? あんな速度で動き回りながら、大量の衝撃波を放つなんていう芸当、並の人間には出来ないと思いますが……。というか、皇族というのは常人を遥かに凌駕する戦闘能力を持つ者ばかりなのでしょうか?」

 そんな事を口にしたヨナに対し、

「たしか……何世代か前の皇帝が、古の秘術を用いて、肉体の強化を行ったという記録があった気がするのです。もしかしたら、皇族の方々は『その強化された肉体』を代々受け継いでいるのかもしれないのです」

 なんて返すメルメメルア。

 

「遺伝する肉体強化とか、それはそれでとんでもないな……」

「人間そのものを『災厄』に抗えるよう『改造』してしまおうという思想ですわね。前にとある遺跡で、そんな思想に基づいて行われた実験の記録書を見つけた事がありますわ」

「そんなものが遺跡に遺されていたのか」

「ええ。どうやら当時は人体実験用の研究施設だったみたいですわね。まあ、その記録書の内容を見た限りでは、その遺跡で行われていた実験の被検体の末路は全て悲惨なものでしたけれど……」

 ラディウスに対して頷きながらそう答えるイザベラ。

 それに続くように、

「要するに聖木の館で行われていたような事を、大昔もやっていたというわけね。なんというか、いつの時代でも外道な思考をする人間というのは、必ず出てくるものなのかしらね?」

 と言って、やれやれと首を横に振るルーナ。

 

「それはまあ……人間というのは、焦りや恐怖にかられると、狂気に走りがちですもの」

「うーん……。たしかにそれは否定出来ないわね」

「皮肉な事に、その狂気的な実験の果てに生み出されたものよりも、その実験で暴走した被験体を『拘束する為に生み出された鎖』の方が、非常に優秀な性能を有していたりするんですのよねぇ……これがっ!」

 そう言い終えると同時に、イザベラが手に持った鎖を引っ張る。

 すると次の瞬間、鎖で雁字搦めにされていた巨人型ドールガジェットが一瞬にして砕け散った。

 

「えっ!? ええっ!? な、なにがどうなっているのですか!? です!」

「……頑丈さに物を言わせて『圧壊』したですか……」

 驚きの声を発するカチュアに続き、そんな風に呟くメルメメルア。

 

「ええ、そういう事ですわ」

 イザベラは頷きながらそう返すと、セシリアの方を見て、

「……それはそれとして、『肉体強化』されているのは、あっちも同じなんじゃありませんの?」

 なんて事を、ため息混じりに言って肩をすくめてみせた。

 

「まあ、あれは聖剣の力――術式による所が大きいけどな。元々高性能だったが、ルーナが施した改良によって、更に大幅に性能が向上しているようだし」

「あと、本人の武術センス……とでも言えばいいのでしょうか? 戦闘に関する資質が非常に高い事で、『その圧倒的なブーストに振り回される事なく、完全に制御しきっている』のも大きいですね」

 ラディウスとヨナがそんな風にセシリアについて述べた所で、セシリアの対峙していた巨人型ドールガジェットが『爆発』と共に光の粒子となって消し飛んでいくのが、皆の視界に入った。

 

「――ルーナの無茶苦茶すぎる改造と、それをあっさりと扱ってしまうセシリアのセンス、そのふたつが組み合わさった結果……というわけですわね」

「まあ、剣を持っていない状態だと、ちょっとポンコツな部分もあるしな」

 光の粒子を眺めながら口にしたイザベラに対し、そんな風にラディウスが返す。

 

「たしかに、なのです」

「それに関しては否定出来ませんです」

 なんて事を『何かを思い出しながら』言うメルメメルアとカチュア。

 その言葉にラディウスは小さく首を傾げる。

 

 ――はて? 店番をしている時に何かあったんだろうか……?

 

 と、そんな事を思いながら。

 

「それはそれとして、あとはリリティナ様だけですが……」

 ヨナがそう口にしつつリリティナの方へと顔を向ける。

 そして、

「……問題なく終わりましたね」

 と、言葉を続けた。

 

「こっちは見事にバラバラになっているわね」

 そうルーナが言った通り、リリティナと対峙していた巨人型ドールガジェットは、幾重にも切断され、バラバラになった状態で床に転がった。

 

「まあ、あれだけの衝撃波を立て続けに喰らい続けたら、いかに頑丈な装甲や対魔法コーティングであろうとも、その耐久力は確実に削られ続けますからね。脆弱な部分が必ず生じるというものです」

「そしてその脆弱になった場所めがけて、更に衝撃波が殺到すれば、ああなるのは必然というものですわね。もっとも、それをさらっとやってのけるリリティナには末恐ろしいものを感じますけれど」

 ヨナに続くようにして、そんな補足めいた言葉を口にするイザベラ。

 そして――

 

 ――というか、今更ですけれど……この面々、『天才』が多すぎやしません……?

 私が『巻き戻りながら』長い時間をかけて蓄えてきた知識や技術を、簡単に超えていきますし……

 

 なんて事を心の中で呟くのだった。

残敵3体に1話も使うべきか迷ったのですが、3人にもちゃんと(?)戦闘させようと思いまして……


ま、まあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、12月1日(日)の想定です!

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