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第22話 遺跡攻略。敵とシステム。

 しばらく待ってから遺跡へと突入したラディウスたちは、特に何も考えずに直進していく。

 それは、遺跡側が立ち入ったものの力量に応じて構造を変化させるのであれば、どのように進んでも最終的には同じ所に行き着くはずだと判断したからだ。

 

 そして、ひたすら直進する事しばし……

 ハリネズミのごとき鋭いトゲに覆われた装甲を全身に纏った機械の狼……と、そう表現するのが一番しっくりきそうな、そんなドールガジェットの群れがたむろしている広い部屋へとたどり着くラディウスたち。

 

 しかしそこで即座にイザベラが、

「――地を這う赤黒き刃、舞い踊りて、我が前に在りし全てを引き裂け! アビサルブランド・ダンスマカブル!」

 と、言い放った。

 

 直後、イザベラの身の丈の半分程度の高さを持つ、サメの背びれのような形をした赤黒い魔力の塊――魔法の刃が幾つも床に出現したかと思うと、それらが一斉に狼型のドールガジェットの群れへと襲いかかった。

 

「ガッガガッ!」

「ギギギギギッ!」

 

 狼型のドールガジェットたちが、ノイズ音を響き渡らせながら次々にズタズタに切断され、そしてその場に転がっていく。

 

 それを眺めながらルーナが、

「これ……ドールガジェット相手だからいいけれど、普通の人間や魔物に対して放ったら、もの凄いグロテスクな絵面になりそうよね……」

 なんて事を呟くように言う。

 

「まあ……それについては否定出来ませんわね……。だから、今までほとんど使った事がなかったりするんですのよねぇ、これ。威力も追尾性能も非常に高いんですけれどね……」

 イザベラがそうルーナに対して返事をした通り、放たれた魔法の刃は縦横無尽に部屋の中を駆け巡り、あっという間にドールガジェットの群れを一掃した。

 

「どうやら、掃討が完了したようですわね」

「むむぅ……出遅れましたか。まさか魔法ひとつで一掃してしまうとは……」

 魔法で魔法生物の群れを一掃したイザベラに対し、ヨナがそんな言葉を口にする。

 

「誰が攻撃を仕掛けても一撃で殲滅していたと思いますわよ……?」

 イザベラが頬を人差し指で掻きながらそう言うと、

「次こそは私が先んじます! イザベラ様、攻撃しては駄目ですよ!」

 などという言葉を返すヨナ。

 

「……仕方ありませんわねぇ……。わかりましたわよ、次はヨナに任せますわ」

 肩をすくめながらそうヨナに告げたイザベラは、そのまま周囲を見回し、

「ところで、通路が3つに分かれていますけれど、どれを進みますの?」

 と、そんな問いの言葉を続けて紡いだ。

 

 するとその直後、ガコンッという音と共に、3つの通路の内2つが壁に塞がれ、進めるのは右方向へと伸びる通路だけになった。

 

「こっちへ進めと言われていますですね」

 そんな風にカチュアが言いながら通路へと顔を向けると、リリティナが塞がれた壁を交互に見て、

「瞬殺した事で、左と正面では敵の強さが適正ではないと判断された……のでしょうか?」

 と、顎に手を当てながら呟くように口にする。

 

「そういう事なんだろうな。戦闘が終わった所で変化したわけだし」

「前に来た時と違って、かなりタイミングの良い変化なのです」

 ラディウスの発言に続くようにして、メルメメルアがそんな風に言う。

 それを聞いたセシリアが、

「たしかにあのデュオロードが言っていた通り、唐突に構造が変化したりしないね」

 と口にしつつ、ラディウスの方へと顔を向けた。

 

「ああ。処理が追いついている――変化のシステムが正常化されたという事なんだろう」

 ラディウスがセシリアに対してそんな風に返答した所で、

「でしたら、そのシステムに従ってこのまま進むしかありませんわね」

 などと肩をすくめながら言い、そのまま奥へと続く通路を歩み始めるイザベラ。

 

 そのイザベラに続いて、ラディウスたちも通路を進んでいく。

 

「マリス・ディテクターがまったく反応しないわね……」

「まあ、ドールガジェットに『害意』だの『殺意』だのなんてものを持ち合わせていないからなぁ……。マリス・ディテクターだと感知するのはちょっと厳しいな」

 ラディウスが腕を組みながらルーナに対してそう返すと、メルメメルアがそれに続くようにして、

「ちなみに、生命力に反応する探知魔法も駄目なのです」

 と言って、首を左右に振ってみせた。

 

「ドールガジェットに生命力なんてありませんもの、そうでしょうねぇ……」

「魔法生物の『疑似生命核』も、稼働に必要となるのは魔力ですからね……」

 イザベラとリリティナがそう返すと、今度はヨナが、

「ならば魔力探知を……と思ったのですが、なんというか……こう、反応がグチャグチャになりますね」

 そんな風に言った。

 

「単純に遺跡全体で魔力を有している物が多すぎるんだよ」

 セシリアが肩をすくめながらそう言い、さらにそれに、

「その上、ジャミングもされているみたいね」

 と続くルーナ。

 それを聞いたカチュアが、

「要するに、探知させないようにしている……という事でしょうか? です」

 という問いの言葉を口にする。

 

「そういう事だろうな。まあ……進む先の情報が分かっていたら難易度が下がってしまうし、それによって力量が正確に測れなくなってしまうのを防ぐ為の措置……といった所だとは思うが」

 カチュアに対してリリティナに代わってラディウスがそう答えると、

「なるほどですです。未知への対処法も測定対象というわけですか、です」

 と、納得の表情で頷きながら言うカチュア。

 

 その直後――突然、天井に魔法陣が出現した。

 

 セシリアがその魔法陣へと視線を向けながら、

「たしかに未知への対処法を測定する気満々って感じだね……っ!」

 なんて事を言って、聖剣を構える。

 

「ここで召喚――しかも、大型魔法陣ときたか」

「結構な大きさですけれど、一体全体、何が現れるというんですの?」

 ラディウスに続くようにして、イザベラがそう口にした所で魔法陣が光を放ち……

 

 ズドンッ! という重い音と共に、甲冑を鎧った巨人が『魔法陣から降ってきた』

 

 それを眺めながらラディウスは、

「これはまたデカいな……。多数の敵への対処能力の次は、大型の敵への対処能力を測定する……って感じなのか? なんていうか、随分と極端だな」

 などと、やれやれだと言わんばかりの表情で、首を横に振って呟くのだった。

1回スキップしてプロットを大幅に調整した結果、展開を短縮した部分が増えました。

これによって、かなり進行のテンポは上がるのではないかと思います。

(とはいえ、説明を飛ばしすぎるわけにもいかないので、部分的にテンポの遅い所はあります)


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新は予定通りとなります、11月21日(木)の想定です!

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