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第20話 遺跡攻略。準備完了。

 ――5日後。

 

「ふぅ。これで全部ですわね」

「ああ。思ったよりも時間がかかってしまったな……」

 イザベラに対して頷きながらそう返すラディウス。

 それに対してヨナが、

「いえ、これだけのガジェットを5日で作るというのは、十分早いと思いますが……」

 と、突っ込みめいた事を呟くように言った。

 

「まったくもってその通りだと思いますです」

 カチュアはそんな風に頷きながら口にすると、そのままリストの方を見て、

「残っている素材の方を確認しておきますです」

 と告げた。

 

「結構色々使ったから大変だと思うです。私も手伝うですよ」

「いえいえ、大丈夫ですです。こういうのは得意ですし! です」

 メルメメルアに対してそう返すなり、すぐに素材の残量をチェックし始めるカチュア。

 それを見ながら、

「……たしかに早いな……。これは、下手に手伝う方が遅くなるかもしれん……」

 なんて呟くラディウス。

 

「こういうのが得意って……ある意味、商人の娘だから……なのかしら?」

「もしくは、異能的な何かだったりするかもしれませんわね」

 ルーナとイザベラがそんな風に言うと、

「どちらもあり得るかもしれないのです」

 なんて答えるメルメメルア。

 

「まあ何にせよ、ここはカチュアさんに任せた方が早く終わりそうですね」

「そうですわね。他に残っている『やるべき事』はなんですの?」

 ヨナに対してイザベラがそう返事をして皆を見回すと、

「あとは各方面に話をするだけじゃないかしら?」

 と、ルーナ。

 

「それは一番の難題ですわね……。どうすれば理解して貰えるのか……というのがありますもの」

 そんな風にイザベラが口にした直後、

「あ、それなんだけど、実はばっちり話をつけてあったりするんだ」

「はい。既に了承していただいていますし、混乱は最小限に抑えられると思います」

 などと、さらっと返事をしてみせるセシリアとリリティナ。

 

「ゼグナム解……いえ、メルティーナ法国の教皇であらせらるアルヴィンス様を巻き込む形にはなりましたが、お陰で色々と都合良く『でっち上げ』る事が出来ました」

「い、いつの間に……。私、全然気づきませんでしたわ……」

 ヨナの発言に対し、イザベラが驚きの表情でそう返すと、

「イザベラ様には、ガジェットの制作の方に集中して欲しかったので、今回は気取られぬよう、最新の注意を払って動きましたからね」

 なんて事を言って腕を組むヨナ。

 

「な、なかなかやりますわね……。いえ、さすがというべきですけれど……」

 イザベラが嬉しさ半分、不満半分といったなんとも言い難い表情でそんな風に返す。

 そんなイザベラに対してヨナは更に、

「そうそう……皆様を監視していたという何者かですが、どうやらビブリオ・マギアス――いえ、『朧』の人間のようですね。『誰』かまでは突き止められなかったというか、これ以上の調査は危険と判断して、一旦引き上げさせました」

 と報告した。

 

「やっぱりそうでしたのね。……というかヨナ、しれっと幻軍を掌握していません?」

「掌握はしていませんが、把握はしていますね。『副官』ですから」

 少しジトッとした目でヨナを見ながら言うイザベラに、『副官』の所を強調しながらそう答えるヨナ。

 そしてそれに「うぐっ」と呻くイザベラを見ながら、

「先程も言いましたが……イザベラ様には、ガジェット制作の方に集中して欲しかったので、それ以外の対応は私の方に全て集めただけです」

 と、そんな風に言葉を続けた。

 

「……むぅ。不満は不満ですけれど、そう言われると、これ以上は何も言えませんわねぇ……。ガジェットの制作の方に集中する事が出来たのは事実ですもの……」

「そうね。集中しすぎて性能が想定よりも強化されたものね」

 ちょっと不満げなイザベラの呟きに対し、ルーナがそう言って肩をすくめる。

 

「お陰で、こっちも調整する必要があったのです。先に言って欲しかったのです」

「うぐっ。そ、それについては謝りますわ。作っていたらこう……興が乗ったというか、改良点が頭に湧いてきてしまったというか……」

 ため息混じりに言うメルメメルアに対し、頬を掻きながら返事をするイザベラ。

 それを聞いたヨナが、

「……すいません。集中させすぎない方が良かった気もしますね……」

 なんて事を言った。

 

「あ、いえ、強化された方のが物としては良いので問題ないのです。気にしないで欲しいのです」

 ヨナに対して右手を横に振りながら、そんな風にメルメメルアが返し、

「そうね。工数が増えただけで出来た物は、より完璧な代物ではあるわね」

 と、ルーナがそれに続く。

 

「恐縮です。ですが、次はご迷惑をかけない程度に集中させようと思います」

 なんていう返事をしたヨナの方を見ながら、

「……なんだかこのやり取り、ちょっとモヤっとしますわね……」

 などと呟くイザベラ。

 そして、ため息をついてから、

「まあいいですわ……。それより、さっきの監視の話ですけれど……その朧軍の何者かが、魔軍――もっと言うならオルディマあたりと接触したかどうか、掴んでいたりしません?」

 という問いの言葉をヨナへと投げかけた。

 

「魔軍……オルディマとの接触……ですか? 詳細まで掴めていないのでなんとも言い難い所ではありますが、その何者かが『朧の者』であると断定する事が出来た理由のひとつが、その魔軍との接触の痕跡があったからですね」

「なるほどですわ。つまり、オルディマと話をする機会があったかもしれないという事ですわね。――ここは少し危険なのは承知の上で、朧軍の中で魔軍と接触した可能性のある者を調べてみるのが良さそうですわね」

 ヨナの返答に対し、イザベラがあれこれと思考を巡らせつつそう告げる。

 

 その発言に首を傾げながら、

「何か気になる事でもあるの?」

 と、そんな風に問いかけるセシリア。

 するとイザベラは、素材の残量を物凄い速さでチェックしているカチュアを一瞥しつつ答える。

「ええ、少しばかり気になっている事があるんですのよ。ただ……現時点では漠然としすぎていてなんとも言えないので、話すのはやめておきますわ。ガーディマ遺跡の攻略に集中した方が良いですし」

 

 ――これで、魔軍……いえ、オルディマと接触していたとしたら、カチュアが特異点であるという思考へと誘導し、そして無窮の混沌へ落とすべきだと煽っていたとしても、おかしくはない……という事になりますわね。

 まあ、まだまだ『可能性』の域を出ないというか、私の勘違い、見当違いの『可能性』すらある状態ではありますけれど……

 というか……そもそも、もしそうだとしても、どうしてカチュアに対して『そうするのか』が、良くわからないんですのよね……

 カチュアには、本人も知らない秘密があると考えるのが妥当かもしれませんけれど、結局は『それ』が一体なんなのか……という話になってしまうんですのよね……

 それこそ、今のこの『処理速度』が、もしかしたら……

 

 なんて事を考えながら――

次回から、ようやく遺跡です!

ただ、想定以上に遠回りになってしまっているんですよね……

どこかで一度更新を1~2回分休んで、プロットを大幅に修正しようかどうか考え中です……

(なにしろ、今年の当初の予定の1/3も来ていないですし……)


まあ、とりあえず次は普通に更新しますが!

というわけで次の更新も予定通りとなりまして、11月10日(日)の想定です!

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