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第19話 遺跡攻略。素材確保。

「とりあえず、確保出来たのはこれだけっすね」

「見た感じ、ほぼ全部ありそうな気がしますけれど?」

 ルティカに対してイザベラがそんな風に問いかけると、

「この『ゾーティア雷晶』というのだけ、ゼグナム解放戦線のどこの倉庫にもなかったよ。様々なガジェットに使われているからか、帝国が発見されている鉱床は全て抑えてしまっているみたいなんだ」

 と、ルティカに代わってアメリアが答える。

 

「ゾーティア雷晶って、雷と光の力を宿した紫色の結晶だよね? 砕け散る時に、閃光と共に強いスパークを発生させるから、逃げる時に使ったりする奴」

 セシリアがそう口にすると、

「そうですわね。正確には雷と光の力を宿しているのではなくて、『電気』を帯びているんですけれどね。たしかに、向こうの世界ではもっとも良く使われる素材ですわね」

 と返すイザベラ。

 

 ――トルマリンに近いけど、砕け散る時に閃光と共に強いスパークを発生させるというのが理解不能だよなぁ……あれ。

 いくら電気を帯びているとはいえ、普通なら砕けただけでは、そんな現象なんて起きるわけもないし……

 まあ……ある意味、ファンタジー世界の魔法結晶ならではって感じではあるけど。

 ……というか、イザベラが『電気』を知っているとはな。ちょっと驚きだ。

 

 ラディウスはそんな事を思いながら、

「ゾーティア雷晶なら、たしか……王都の近くと、それからセヴェンカームにも大きな鉱床があったはずだ。セヴェンカームまでは行ってられないが、王都ならそこまで遠くもないし、王都で売っている店を探した方が早いかもしれないな。こっちの世界だと、まだそこまで需要のあるような代物じゃないし、手に入れやすい気がする」

 と口にした。

 

「なら、王都まで買いに行ってくる?」

「そうですね。私たちで行ってきてもいいかもしれませんね。私たちは作る側ではないので、手も空いていますし」

 セシリアに対して、リリティナがそんな風に返した所で、

「手に入れて来たっすよ!」

「セヴェンカームにもあるって話だったから、クレリテとリゼに頼んで買ってきて貰ったよ」

 と、言いながらルティカとアメリアが箱を追加する。

 

「行く前に手に入ったね……」

「そ、そうですね……」

 セシリアとリリティナがそう呟くように言った直後、

「あ、ウチの兄からも、王都で手に入れたって言われたっす」

 なんて事をルティカが言いながら、更に箱を追加した。

 

「やはり、このリンクごとに時間が違うというのは便利ですね」

「はいです。まあ……こうやって次々に素材が送られてくると、少し驚きますですが」

 目の前に積まれた素材を眺めつつ、そんな事を呟くように言うヨナとカチュア。

 同じくそれらを眺めていたイザベラが、

「ここまでは必要にならない気もしますけれど……まあ、他のガジェットにも使えますし、問題はありませんわね。むしろ、確保してくださってありがたいというものですわ」

 と言った。

 

「そうね。これを見ていたら、ちょっと作ってみたいものが出来たし」

「作ってみたいものとはなんなのですか? です」

 頷きながら答えたルーナに対し、カチュアがそんな疑問を口にする。

 

「セシリアが『逃げる時に使う』と言っていたでしょ? だったら、もう少し『整えて』あげれば、敵を麻痺させたり、閃光で目を眩ませたりする特殊な魔法弾を発射する銃とかも作れそうな気がしてきたのよ」

「なるほどですです。それは便利そうな気がしますです」

 ルーナの説明に、カチュアが納得の表情でそう返すと、

「面白いですわね。ならば、私も対抗して……」

 なんて事を呟くように言うイザベラ。

 そんなイザベラに、

「どうしてそこで『対抗』するんですか……」

 と、ヨナが呆れた表情で肩をすくめながら告げた。

 

「――なんにせよ、これで素材はばっちり揃ったのです。すぐに作り始められそうなのです」

 リストを確認しつつそう口にしてきたメルメメルアに対し、「ああ」と頷きながら返すラディウス。

 そして、ルティカとアメリアの方へと顔を向け、

「まさか、全て手に入れてくれるとは思わなかったぞ。本当に助かった」

 という感謝の言葉と共に頭を下げた。

 

「そうね。素材を手に入れる手間がなくなるだけでかなり違うし、凄く助かったわ」

「はいです。おふたりとも、わざわざ手に入れてきてくれてありがとうなのです」

「ええ。感謝いたしますわ。他の皆さんにもお礼を言っておいてくださいませ」

 ラディウスに続くようにして、ルーナ、メルメメルア、イザベラもまた、感謝の言葉を口にする。

 

「どういたしましてっす。むしろ、このくらいお安い御用っすよ」

「だね。今までの事を考えると、これでも足りないくらいだよ」

 ルティカとアメリアはそんな風に返してから、

「さて、それじゃ宿酒場の方に戻るっすね」

「ルーナの分もしっかりやっておくよー」

 と続けて言葉を紡ぎ、店を後にした。

 

 そして、そのふたりを見送った所で、

「よし、それじゃ早速作り始めとするか」

 と、ラディウス。

 しかしすぐにイザベラが、置かれた素材の山を眺めつつ、肩をすくめてみせ、

「まあ、その前に素材の山を奥に運び込まないと駄目ですけれどね」

 なんて事を言った。

 

「たしかにそうだな……」

 と答えたラディウスに続くようにして、

「そもそも、奥にも置ききれない気がしますです」

 と言って素材の山を見回すカチュア。

 

「ストレージに入れておくにしても、この量だと厳しいわね」

「すぐに必要になるもの以外は、倉庫――コンテナ型のストレージガジェットを並べただけの部屋だが――に運び込んで、必要に応じて引っ張り出してくるしかないな……」

 カチュアに対し、ラディウスはそんな風に返しながら素材とリストを交互に見て、すぐに必要になるものを確認していく。

 

 そしてそれを見ながら、

「……最初から、その倉庫にしている部屋で話をすれば良かったかもしれないね……」

 などと呟いたセシリアに対し、ルーナは肩をすくめながら、

「倉庫で話をするってどうなのよ……と突っ込みたい気持ちと、そうかもしれないわね……と同意したい気持ち、今の私にはどちらもあるわ……」

 なんて答えるのだった。

ようやく、遺跡に入るまでもう少しという所まで来ました……

あと2話~3話くらいで遺跡内に移ります。

なんというか……今更ですが『遺跡攻略』と付けない方が良かった気がします……


ま、まあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、11月7日(木)の想定です!

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