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第18話 遺跡攻略。向こうの世界と素材。

「さ、さすがにラディウスさんやイザベラさん程の技術はないのです。でも、たしかになんとなく術式の構造は想像がつくのです。手伝う事は出来ると思うです」

 頬を掻きながら、そんな風に言うメルメメルア。

 そして、それに頷きながら、

「そうね。基礎的な所は大体わかるわ。でも、小規模なものであれば作れるけど、大規模なもの――範囲を広げつつ継続時間も伸ばす為に、魔力の消費を軽減させたもの――となると、ちょっと厳しくなってくるわね」

 と、そう言って顎に手を当てるルーナ。

 

「まあ、範囲を広げるのはそこまで難しくはないぞ」

「……普通に難しいと思いますけれど……。魔力の消費を抑える工夫の方がまだ簡単ですわよ」

「そうか? 魔力消費を抑えるのにも、結構限度があるが……」

 なんて事を言うラディウスとイザベラを見ながら、

「どちらもとんでもない技術ですが、少しずつ得意なのが違うんですね」

「そのようですです」

 と、リリティナとカチュアがそんな事を呟いた。

 

「でも、4人でそれぞれ分担すれば、問題なく作れそうというのは理解しましたです」

「たしかにそうだね。あとはどう動くか……だけど、そこは私たちでなんとかすればいい感じかな」

 カチュアに対して頷きつつ、セシリアがそう口にすると、

「そのようですね。こちらの世界については、まだあまり詳しくありませんが、ギルドなどとの交渉では、ある程度私もサポート出来ると思います」

 なんて返事をするヨナ。

 

「まあたしかにヨナの話術と交渉術は、かなりのもの……というか、私以上ですわよね。……昔はそうでもなかったのですけれど」

「イザベラ様の影武者をする事もありましたからね。色々と学んだんですよ」

 イザベラの言葉に対し、そんな風に答えるヨナ。

 そして、

「もっとも、リリティナ様ほどではないと思いますけれど」

 と言った。

 

「え、ええっと……。たしかにある程度の話術や交渉術は学んでいますが、そこまで期待される程の技量はありませんよ……?」

 頬を掻きながら、困惑気味にそう答えるリリティナ。

 それに続くようにして、

「セシリアさんも結構そういうの得意な気がし……いえ、やっぱりしませんです」

 なんて事を口にするカチュア。

 

「え? なんだって?」

 すっとぼけた言葉を紡ぎながら、カチュアの尻尾をギュッと握るセシリア。

 その直後、

「ひぎゅぅっ!?」

 という素っ頓狂な声がカチュアから発せられる。

 

 ――どうして途中でいきなり否定したのです……?

 と、セシリアとカチュアを見ながら思ったメルメメルアだったが、それは敢えて口にはしなかった。

 

「でもまあ、たしかに得意か不得意かで言ったら不得意だけどね。撹乱とかなら得意だけど」

 尻尾から手を放しつつそんな風にセシリアが言うと、それに対して、

「そう言えば、カレンフォート市から逃げる時の欺瞞工作に、魔軍の連中が大いに騙されていたと聞いておりますわね」

 などと返すイザベラ。

 

「というか、あの一連の流れも把握してるのね……」

「それはまあ……幻軍も監視していましたもの。あの場を。もっとも、『監視しか』していませんけれどね?」

 ルーナの突っ込みに、イザベラはそう返事をして肩をすくめてみせる。

 

「――それはそれとして、ガジェットを作る素材は足りるんですの? どう考えても、かなりの素材が必要になりそうですけれど……」

「そうだな。必要になると思われる素材に関しては、正直足りない。どうにかして集めるしかないだろうな」

 イザベラの発言に対して、ラディウスが頷きながら返答した所で、

「その素材というのは、どういうものが必要なんすか? ゼグナム解放戦線全体の倉庫を調べたら、ある程度は確保出来るかもしれないっすよ」

 なんて事を口にするルティカ。

 

「ある程度でも確保出来るのならありがたいが……いいのか?」

「問題ないっす! あ、これはボクの言葉だけではなく、テオドール様やアルヴィンス様たちを含めた全員の言葉っすよ」

 ラディウスの問いかけに、ルティカはサムズアップをしながらそんな風に答える。

 

「そうか……。ならまあ、頼むとしようか。一応、今の段階で必要だろうと思われるものを書き出してリストにするから、明日まで待ってくれ」

 ラディウスはルティカに対してそう返事をして、カウンターの上に紙を広げると、そこに素材の名前と量を記載し始めた。

 

                    ◆

 

 ――翌朝。

 

 ルティカがアメリアと共にラディウスの店を訪れると、

「今日は、おふたり揃っていらっしゃったのですね」

 と、店番をしていたリリティナが問いかけた。

 

「はい。ルティカだけだと不安だったもので。……それにしても、帝国の皇女様が店番というのも、なんだか妙な感じがしますね」

 そんな風に答えながら、リリティナの方を見るアメリア。

 

「そうでしょうか? こちらの世界に帝国は存在しませんからね。『ここではただの冒険者兼店員』でしかありませんし、『ここで店番しているのも普通の事』だと思いますが……。ともあれ『そういうわけ』ですので、そのようなかしこまった言葉を使わなくても構いませんよ。もっとも、向こうでも使う必要はありませんが」

 リリティナから所々強調する形で言われたアメリアは、なにやら妙な含みを感じつつも、それが何を意味しているのか分からなかった為、そこには触れずに、

「そ、そうですか? あ、じゃなくて……そう? なら、普通に話すね」

 と、返事をした。

 そしてそのまま、

「それで、必要な素材のリストの方はどんな感じなの?」

 という問いの言葉を投げかける。

 

「先程、イザベラさんたちが追加で記載していましたが――」

 リリティナがそう言いながら店の奥へと顔を向けた所で、

「――バッチリですわよ」

「そうね。これで問題ないと思うわ」

「はいです」

 というイザベラ、ルーナ、メルメメルアの声が返ってきて、その姿を現す。

 

 そして、その3人に続くようにしてラディウスも姿を現し、

「これがそのリストだ。無理せず、手に入りそうなものだけでいいぞ」

 と告げながら、リストの束を半分ずつルティカとアメリアに手渡す。

 

「思った以上に多いっすね」

「だね。まあ、とりあえず向こうで確認してみようか」

 ルティカとアメリアがそんな風に言ったその直後、ふたりの目の前に荷物が積み上がり始めた。


 当然ながらルティカとアメリアにとっては、『直後』ではなく、向こうの世界で素材の有無を確認して、更に倉庫へ向かって……と、色々やっている。

 とはいえ、ラディウスたちからすれば一瞬でしかない。


「……まるで、素材が転移してきているみたいに見えますわねぇ……これ」

 なんて呟くイザベラに、ラディウスたちも同じ事を思うのだった。

まあ、どんどん物が積み上がっていくわけですからね……


さて、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、11月3日(日)の想定です!

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