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第11話 遺跡攻略。大空洞。

「うぅーん……ずーっと下り坂っすね、ここ」

「そうですわねぇ。これ、先程の場所が増水して溢れたりしたら、この坂を水が凄い勢いで流れていきますわね。確実に」

 ルティカに対してイザベラがそんな風に返事をする。

 それに続くようにして、

「この先が大空洞ならば、ある意味、先日リリティナが言っていた『滝』と化すかもしれないな」

 と、そんな風に言うラディウス。


「たしかにそうですね。しかもこの坂……直線というわけではなくて、少しずつですが曲がっていますからね。水鏡の楼閣がある方へと向かって」

「大当たりである可能性は高そうだが、果たしてどうなのやら……だな」

 ラディウスはリリティナにそう返しつつ、洞窟の先へと視線を向ける。

 暗闇が延々と続いており、終わりはまだ見えない。

 

 そのまま歩いていく事しばし……

「あれ? 急に洞窟の雰囲気が変わったっすね?」

 と、ルティカが口にした通り、いつの間にか周囲の岩盤の色が変わっていた。

 

「むむむ……。この岩の色、あの反転塔があった周辺のものに近いですわね……」

「たしかに言われてみると見覚えがありますね」

 イザベラに対して、リリティナがそう返した所で、

「あ、横穴があるっすよ」

 と、正面方向を指差しながらそんな風に告げるルティカ。

 

「たしかにあるな。というか、横穴の少し先で坂も終わりっぽい感じだな」

 ラディウスが腕を組みながらそう口にすると、イザベラが顎に手を当てながら、補足するように言う。

「本当ですわね。正面は真っ平らで少し狭くなっていますわ」

 

「正面、暗くて確定は出来ないっすけど、雰囲気的には少し行った所で道が途切れている感じがするっすね」

「再び崖になっているのでしょうか?」

 ルティカの発言を聞いたリリティナが、小首を傾げながらそんな言葉を口にする。

 ラディウスはそれに対して、

「わからんが、そんな感じはたしかにするな。まあ、横穴を調べる前に奥を調べてみるとしよう」

 と返すと、一度横穴をスルーしてそのまま奥へと向かった。

 

 すると、程なくして――

「これはまた凄い空洞っすね……」

 と、ルティカが口にした通り、巨大な空洞がそこにはあった。

 更に言うと、今ルティカたちが立っている場所は切り立った崖になっており、空洞の底は見えない程の高さだった。

 

「この感じ……反転塔のあった場所に似ていますわね……。塔自体は存在していないですけれど」

「つまり、件の大空洞で間違いないって事っすか?」

 イザベラに続いてルティカがそんな問いの言葉を投げかけると、

「そうですね。これは反転塔のある場所の近くです。向こうの崖の所を良く見ると、踊り場のようになっている場所がありますが、あそこが塔の入口にあたりますね」

 なんて事を言いながら正面やや下を指差すリリティナ。

 

「あそこが塔の入口だと良く分かるな」

「崖に近い所に、幼少期に何度も見た『氷柱を逆さまにしたような3連岩』がありましたので……」

 リリティナはラディウスに対してそう言いながら、少し指を動かす。

 

 ラディウスがそちらを見ると、確かに氷柱を逆さまにしたかの如き鋭く尖った岩が3つ連なっていた。

 

「なるほどな。まさにさすがといった感じだ」

 頷きながら納得するラディウスに続くようにして、

「となると、水鏡の楼閣のある空洞もこの近くにあるという事になりますわね」

「さっきの横穴から下に行けたりするっすかね?」

 と、そんな風に言うイザベラとルティカ。

 

「むしろ、行けないと面倒な事になるな……」

「ですね。まあ、とりあえず横穴を進んでみるとしましょうか」

 ラディウスの呟きに頷きながらそう口にするリリティナ。

 

 それに対して3人は頷き、そして来た道を引き返すと、今度は横穴へと入っていく。

 すると、横穴は階段のようになっており、一気に下へ向かっていた。

 

「これは少し段差が急というか……高さがあるっすね……飛び降りる……のは、下が狭くて怖いっすね。ロープで慎重に降りるしかなさそうっす」

「そうですわね。でも、ロープで降りるにしても、気をつけないと足を踏み外して一気に下まで落ちかねませんわ」

「ロ、ロープですか……。なかなか怖いですね……」

 ルティカ、イザベラ、リリティナがそれぞれそんな風に言う。

 

「うーん……ここまでだと、もう1段1段下りていくよりも、レビテーションとグラビティコントロールを使って一気に下りてしまった方が良さそうだな。あ、帰りを考えるとロープは垂らしていった方がいいかもしれないな。なくても問題ないとは思うが、念の為に」

「レビテーションとグラビティコントロール……っすか?」

 ラディウスの発言に対し、首を傾げながら問うルティカ。

 そのルティカに、

「ああ。以前、カレンフォート市で魔軍から逃げるのに城壁から飛び降りたんだが、その時に使ったのが、今言ったふたつの魔法を重ねるという手だ」

 と、答えるラディウス。

 

「あー……。そう言えばそんな報告されましたわね。よくまあ、ふたつの魔法を重ねて制御するなんて事が出来るものですわ」

 イザベラは呆れ気味にそう言って、やれやれと首を横に振る。

 そしてそのまま、

「でも、それってこの高さでもいけるんですの? カレンフォート市の城壁とは比べ物にならないくらい高いですわよ? どう考えても」

 と、ラディウスの方を向いて問いかけた。

 

「そこに関しては心配しなくても大丈夫だ。あれからあの魔法を組み込んだガジェットも強化改良を施したからな。このくらいの高さであれば問題ない」

「またもやしれっと言いますわねぇ……」

 ラディウスの返答に再び呆れながらそう返すイザベラ。

 そんなイザベラに、

「というわけで、レビテーションの方のガジェットは任せた」

 と言って、ストレージから取り出したガジェットを手渡すラディウス。

 

「何が『というわけで』なのかさっぱりですけれど、まあ任されましたわ。……って、この広域レビテーション、ちょっと範囲が広すぎじゃありません? 魔力消費の節約の為に範囲を絞れるようにしておきますわよ。――マジックストラクチャーオープン!」

 イザベラは受け取るなり、マジックストラクチャーを使って術式を展開。そのまま弄り始めた。

 

 それを見ながらルティカは、

「しれっと強化改良するラディウスさんもとんでもないっすけど、それを受け取るなり即座に弄り始めるイザベラもとんでもないっすね……」

 と、そんな事を呟くのだった。

遺跡攻略ではなく、洞窟探索になってしまっているので、洞窟はあと1~2話でケリをつけたい所です。


とまあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、10月10日(木)の想定です!

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