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第9話 遺跡攻略。湖の底へ。

「――というわけで、水中を息継ぎせずに歩く為の魔法を組み込んだガジェットを作ってみた。材料の都合で5つしか作れなかったが」

「何がどう『というわけで』なのか良くわかりませんけれど、しれっとまたとんでもないものを作りましたわね」

 イザベラはラディウスの言葉に肩をすくめながらそう返し、目の前に置かれたベルト型のガジェットへと視線を向ける。

 

「それにしても、ベルト型というのは結構珍しいですわね。腰に巻く感じですの?」

「ベルト型なだけで、巻く所は別に腰じゃなくてもいいぞ。手でも足でも首でもどこでも問題はない。巻き付けて始動ワードを口にすれば即発動するが、そのまま水に入っても10秒程で自動発動するようにもなってるぞ。その場合は濡れるけどな」

 イザベラの問いかけに対してそんな風に説明するラディウス。

 それに対して、

「先に発動させておけば濡れないというのはどういう仕組みなのです?」

 と、今度はメルメメルアがそんな疑問を口にし、更に、

「息継ぎ不要って事はどこかからか空気を取り入れる……? いえ、それだけだと足りないわね……」

 なんて事をルーナが呟いた。

 

「簡単に言えば、自分を中心に球形の障壁を展開して、その中を空気で満たすような感じだと思ってくれればいい」

「なるほど……。たしかにそれなら息継ぎなしで水中を歩く事が出来るわね」

 ラディウスの説明にルーナが納得した所で、

「ところで、5つしかないわけだけど……誰が行く感じ?」

 と、セシリアがもっともな疑問を口にする。

 

「ひとつはヨナの為に確保しておく必要がありますわね」

「そうですね。そうなると、実質4人になります」

 イザベラの発言に頷きつつ、そんな風に言うリリティナ。

 

「リゼリッタを加えたい所だけど、クレリテと一緒にセヴェンカームへ行ってるんだよねぇ……」

「代わりにアメリアさんかルティカさんを連れていけばいいのではないでしょうか? です。向こう側でクレリテさんに伝えて貰えば、そのままこっち側でリゼリッタさんにも伝えられると思いますです」

「そうね。私がどっちかと代われば問題ないわね」

 セシリアに対してカチュアとルーナがそんな風に言うと、それにセシリアが納得する。

「あ、なるほど、たしかにそうだね。そうなると、1枠はふたりの内のどっちかだね」

 

「ヨナに説明する要員としてイザベラも必要だよね」

「これを作ったラディウスさんも必要な気がするのです」

 セシリアとメルメメルアがそんな風に言い、それに対して特に異論もなかったので、5枠中4枠が確定した。

 

「残り1枠ですね……」

「――まあ、リリティナが妥当じゃないか? 洞窟を確認したら、向こうへ行く前にデュオロードと何を話すのか決めておく方がいいだろうし」

 リリティナの呟きにラディウスがそんな風に返す。

 

「まあそうね。それでいいんじゃないかしら」

「私は店番しておくのです」

 ルーナとメルメメルアがそう口にし、それに対してラディウスが腕を組みながら返す。

「ま、洞窟さえ見つかれば、そんなに時間がかかるわけでもないからな。ああ、言うまでもないとは思うが、向こうの世界へ一時的に移動するから、そこだけ気をつけておいてくれ」

 

「わかりましたです」

「ま、いつもの事だしね」

 カチュアとセシリアがそれぞれそんな風に言った所で、

「よし、なら行くとしようか。メル、店の方は頼んだ」

 と告げるラディウス。

 

「任されたのです。セシリアさんにも引き続きばっちり教えておくのです」

「あれっ!? 私も店番!?」

「当然なのです。まだ覚えきれていないではないですか」

「う、うん、まあ、うん、たしかにそうだけど……」

 

 そんな会話が繰り広げられるのを聞きながら、ラディウス、イザベラ、リリティナ、ルーナの4人は店の外へと出た。

 そして、

「さて、まずは古き籠手亭へ行かないと駄目ですわね」

 というイザベラの発言に、ルーナが頷く。

「そうね。私がアメリアかルティカのどちらかと交代しないといけないし」

 

「すまんな。代わらせてしまって」

「気にする必要はないわよ。元々、アメリアとルティカが私の代わりみたいなものなんだし。さ、行きましょ」

 ラディウスに対して肩をすくめてみせながら、古き篭手亭の方へと歩いていくルーナ。

 そして、ラディウスたちもその後を追って古き篭手亭の方へと歩き出した。

 

                    ◆

 

「ほっほー。これは凄いっすね。本当に空気の膜で覆われてるっす」

 ルティカがそんな事を言いながら水中で自身を覆う空気の膜――中に空気を満たした障壁を見る。

 

「ええ。さすがはラディウスさんですね」

「そうですわね、まったくもって驚きですわ」

 称賛の言葉を口にするリリティナに続くようにして、同意しつつも呆れ気味に言うイザベラ。

 そしてそのまま、

「驚きと言えば、アメリアが泳ぎが苦手だとは想定外でしたわね」

 と、そんな風に言った。

 

「水に潜るのも、あまりやりたくはないって言ってるっすからねぇ……いつも。あ、でも大丈夫っす! ボクはしっかり潜って泳げるっすから!」

「まあ、今回は泳ぐ必要はまったくないんだけどな……」

 ルティカに続くようにしてそう言って首を横に振るラディウス。

 

「というか、この状態だと泳げませんわね」

「そうですね。自分の周囲に水がありませんし」

「一応、浮上する事とゆっくり降下する事は出来るけどな。やり方は既に頭の中に流れ込んでいるだろうから省くが」

 イザベラとリリティナに対し、ラディウスがそんな風に返した所で、

「ちなみに、洞窟があるっぽいのはどの辺りなんすか?」

 というもっともな疑問を口にするルティカ。

 

「シェラさんの話からすると、位置的にはこの辺りのはずだが……」

 と言って周囲を見回すラディウス。

 そして、それに続くようにして、

「水草が多いですわねぇ……」

「そうっすね。しかも、長いのが多くて思った以上に視界が遮られるっすね」

 なんて事を言いながら、イザベラとルティカも周囲を見回す。

 

「手分けして探すしかなさそうだな……」

 というラディウスに対し、他の3人が頷き、それぞれ散っていく。

 

「うーん……。これはかき分けていかないと駄目ですね」

 そう口にしつつ、水草をかき分けて湖底を進むリリティナ。

 すると、その直後、「きゃぁぁっ!?」という悲鳴と共にリリティナの姿が消えた。

 

 何かあったのかと思い、慌てて3人がそちらへ駆け寄ると、

「い、いきなり穴が開いていたので落ちてしまいました……。まあ、落ちるという表現が正しいのかどうかわかりませんが……」

 なんて事を言いながら浮上してくるリリティナ。

 

「急に悲鳴が聞こえたから驚いたぞ……。というか……穴?」

 そう言いながら水草をかき分けるラディウス。

 するとその先――リリティナの真下には、湖底にポッカリと開いた漆黒の穴……洞窟の入口があった――

思った以上に長くなりましたが、どうにか湖底まではいけました……


とまあ、そんな所でまた次回! 

次の更新も予定通りとなります、10月3日(木)の想定です!

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