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第6話 遺跡攻略。イレギュラーとガジェット。

「帝国軍――正確に言うなら、アルベリヒだが――は、本当は離宮を襲撃するだけで済ませるつもりだったのかもしれないって事だ。だが、実際に離宮に踏み込んだ所で『何か』が起きて、『そうせざるを得なかった』んじゃないか? そう考えると、辻褄の合わなさが逆に納得出来るし」

「つまり、イレギュラーな事態に対してイレギュラーな方法で解決を計った結果、あのようなチグハグな形になってしまった……というわけですか。言われてみると、たしかにそれなら納得がいきますね」

 ラディウスの推測に対し、リゼリッタが納得の表情でそう返す。

 

「なるほどだわ。アルベリヒがやったにしては妙に杜撰なのも、そういう事であれば理解が出来るのだわ」

 同じく納得の表情でそう口にしたクレリテに、

「はい。というか、どうしてその可能性に思い至らなかったのでしょう……」

 と、そう言って額に手を当てるリゼリッタ。

 

「……なんだか、これもマインドコントロールされている気がするのだわ……」

「不自然さをマインドコントロールで強引に封じ込めた……と?」

「あくまでも可能性なのだわ。でも、やっていたとしてもおかしくはないのだわ」

「それはまあ、たしかにそうですね」

 クレリテとリゼリッタのそのやり取りを聞いていたルーナが、

「そう言えば……だけど、レヴァルタの一件もイザベラが強引に結末を――過去を変えた事で、ベルドフレイムが無理矢理レヴァルタを壊滅させたような、そんな状況になっているわよね……」

 と、そんな事を言う。

 

「そうですね。その件もベルドフレイム陣営にとって、イザベラの言動が予想外すぎたせいで、あのようにせざるを得なくなったのかもしれませんね」

「もしそうだとすると、少なくともアルベリヒもベルドフレイムも過去に戻る手段は持っていないって事になるな。いや、持っていても困るが」

 リゼリッタの言葉に続くようにして、ラディウスが腕を組みながら、そう呟くように口にする。

 

「だわだわ。今の所、明確に手段を持っているのは、デュオロードだけなのだわ」

「もっとも、そのデュオロードも過去改変をしているようには見えません。もしかしたら、ふたつの世界を行き来する事は知っていても、過去へ戻れる事は知らない可能性もあるのでは……」

「ないとは言い切れないのだわ。でも、あのガジェットを作った時代の人間が、その機能について知らないとは思えないのだわ」

 リリティナの言葉に対し、クレリテが顎に手を当てつつそんな風に返す。

 

「それはまあ……たしかにそうですね」

 そうリリティナが返事をすると、

「ただ、使う為の条件を満たせない……というのはあるかもしれないのだわ」

 と、クレリテ。

 

「つまり……私たちは偶然条件を満たして過去に戻ったけれど、普通はそうそう条件を満たせるものじゃないのかもしれないって話ね」

「だわだわ。そもそも私たちも過去に戻った事がないのだわ。というより、死んだら発動するかもしれないと言われても、試しに死んでみるなんて行為は、さすがに出来ないのだわ」

 クレリテがルーナに対してそんな風に返し、肩をすくめてみせると、

「それはまあそうよねぇ……。私たちもわざわざ試してみたいとは思わないし」

 と、頬を拳で軽く叩きながら言うルーナ。

 

「私とイザベラさんは、数え切れない程過去に戻っていますですが、『死ぬ事』以外の条件と言われると、これといって思いつく事がありませんです。しいて言うのであれば……『殺意むき出しの人間や魔物によって殺された時』……でしょうか? です。私は毎回そういう感じでしたですし」

「あー……言われてみると、それはありそうな気もするな。俺もそんな感じだったし」

 カチュアの発言に、ラディウスは自身が過去へと戻った時の事を思い出し、そんな風に言う。

 しかしすぐに、

「でも、イザベラは溶岩に落ちて死んだ場合も過去に戻った感じだったわよね? 『人や魔物に殺された時』という条件だと、発動しなくないかしら?」

 という、もっともな疑問をルーナが口にしてきた。

 

「その死に方だが、イザベラの話からすると『トラップによるもの』だっただろ? だから、もしかしたら……ではあるんだが、『トラップを作った奴に殺された』という『判定』になるんじゃないか? トラップを作った奴は、『殺意むき出し』で作っただろうからな」

「ああー、なるほどね。そう言われてみると、たしかにそういう解釈も出来るわね」

 ラディウスの推測に対し、ポンッと手を打って納得の表情を見せるルーナ。

 そしてそこに、クレリテがウンウンと首を縦に振りながら続く。

「だわだわ。皇帝の影武者であるデュオロードが発動させられないのは、その立場的に『そう簡単に誰かに殺されたりはしない』からだと考えれば、辻褄も合うのだわ」

 

「ま、なんにせよ、狙って発動させられるような代物ではないという点に変わりはないって事だな。――っと、聖剣もどき化したぞ」

 と言いながら、蛇腹剣をカウンターの上に置くラディウス。

 

「そう言えばそうだったのだわ。すっかり忘れてたのだわ」

「いや、持ってきた人間が忘れるなよ……」

 ラディウスがクレリテに対して呆れ気味にそう言うと、

「カチュアさんに言った言葉がそのまま返ってきましたね」

 なんて事を口にするリゼリッタ。

 そして、

「むぐぐ……。何も言えないのだわ……」

 と口にするクレリテを横目に、

「ですが、これで計画を実行に移せますね」

 という続きの言葉を紡いで腕を組んだ。

 

「それにしても……こう言ったらあれだけど、あのガジェットを手に入れる為だけなのに、随分と大掛かりになってしまった気がするわね……」

 蛇腹剣を見ながらそうルーナが言うと、それに対して、

「あ、それなのですが……実は色々と調査した結果、例のガジェットを手に入れる方が『オマケ』になりそうな感じだったりするんですよ」

 と、ため息混じりに言って首を横に振るリゼリッタだった。

全然遺跡に入れていませんが、店での会話はあと1~2話で終わります……


ま、まあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、9月22日(日)の想定です!

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