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第4話 偽帝。円卓。

 ラディウスたちが応接間へと入ると、既にイザベラ、ヨナ、リゼリッタの姿がそこにはあった。

 

「見ての通り、ここにあるのは『円卓』だ。『どこに座ろうとも』構わん。好きに座ってくれ」

 デュオロードが一部分を強調しつつそう言って、窓を背にして座る。

 敢えて『一番奥』ではなく、『側面』に座った形だ。

 

「なら適当に」

 と言いつつも、ラディウスはデュオロードの正面になる席へと座った。

 そしてそれに続いて、

「では、一番奥に――フギィッ!?」

 ……一番奥の席に座ろうとしたメルメメルアが急に素っ頓狂な声を発した。

 と同時に、

「なんで、メルがそこに行こうとするのかなぁ?」

 という声と共に、既に掴んでいる尻尾を更に強くギュッとするセシリア。

 そして、

「ミッギャァッ!?」

 という悲鳴と共に、視界が切り替わった。

 

「ど、どうして尻尾を握るのです……っ!? 一番奥に座っては駄目なのです!?」

「うん。座る位置って重要なんだよ」

「まあ、そうですわね。デュオロードが敢えて強調したのは罠ですわ。『円卓』というのは、一見すると席の位置に『上』も『下』もなさそうに見えますけれど、実際にはあるんですのよ」

 困惑するメルメメルアに対し、そう返すセシリアとイザベラ。

 

「そ、そうなのです?」

 というメルメメルアの問いに対し、

「本来、円卓であっても、部屋の一番奥に一番位の高い人間が座るものだったりするんだが……デュオロードは、どこでも構わないと言いつつ、自ら側面に座ったからなぁ……。罠と言えば罠だな」

 と、そう返すラディウス。

 そして、セシリアがそのラディウスに同意するように頷きつつ、

「だねぇ。ま、ああする事でこちらがどう動くのか……それを『見ている』のは確実だけど」

 と言って、肩をすくめてみせる。

 

「ああ。おそらくそういう事なんだろうと判断して、俺は相対する位置にした感じだ」

 今度はラディウスが頷きながらそう返事をすると、それを聞いていリリティナが、

「これ、私はどこに座るのがいいのでしょうね……?」

 なんていう問いの言葉を口にした。

 

「その辺りの作法というのは、良く知りませんですが、一番奥が一番位の高い人間なのでしたら、リリティナさんが一番奥に座るのがいいのではないでしょうか? です?」

 カチュアが、顎に手を当てながらそう言うと、

「そうですわね。というか、デュオロードもリリティナを『そこに座らせようとしている』感じがありますわね」

 と、イザベラが同意しつつそんな事を告げる。

 

「なるほど……。……では、一番奥――」

 リリティナは納得顔でそう口にした後、顎に手を当てて何かを考え始める。

 それに対し、

「どうかしたですか? です?」

 とカチュアが小首を傾げながら問いかけると、

「……いえ、やはりここはラディウス様に奥へ座って貰うよう促す方が、良さそうな気がしてきまして」

 なんて事を言うリリティナ。

 

「えっ? どうして?」

 少し驚き気味にセシリアが疑問の声を発すると、リリティナはセシリアの方を見て、

「私とデュオロードは『対等』と思わせるためです。そして、私がラディウス様をそちらに促すことで、デュオロードは私が一番上に立っているわけではない……と、そう判断するでしょう。そう判断してくれたら、ちょっと良い話し方を思いついたので、それを実行してみようと思っています」

 と、そんな風に説明した。

 

「な、なるほど?」

 説明ではイマイチ納得しきれなかったセシリアがそう返すと、

「うーん、なんだか良く分からないけど……まあ、リリティナに何か考えがあるというのなら、ここはそれに乗ってみるのが良い気がするわね」

 などと言いながら、ラディウスの方へと顔を向けるルーナ。

 

「そうだな。とりあえずそうしてみるか」

 ラディウスがそう言いながら頷いてみせた所で、

「あ、私からもひとつ話しておきますわ。私、ラディウスたちを呼び寄せるのに『特殊な伝達用のガジェット』を使った事にしましたわ。その前提で話をするようお願いしますわね」

 と、付け加えるように報告するイザベラ。

 

「なるほどね。そっちも了解したよ!」

 セシリアがそう反応し、ラディウス、ルーナ、メルメメルアも頷いて了承を示す。

 そしてその後、

「わかりました。では、向こうへ戻るといたしましょうか」

 と、リリティナが頷きながら言葉を紡いだ。

 

 そしてその直後、再び視界が切り替わる。

 

「あ、あの……。ラディウス様にはそこではなく、あちらの一番奥に座っていただけますと……」

 リリティナがそんな風にラディウスに告げると、ラディウスは敢えて、

「ん? いや……。……まあ、正面の方が話がしやすいか」

 などと思案するフリをして見せてから立ち上がった。

 

 それとほぼ同時に、デュオロードが「ふむ……」と小さく呟く。

 

 そして再び視界が切り替わり、

「デュオロードが『ふむ』と小さく呟きましたわね」

 と、告げるイザベラ。

 

「はい、上手くいったような気がします。あとはラディウス様が一番奥に座るだけなのですが……あの席、罠とかはありませんよね……?」

「ん? ああ、魔法――ガジェット的なトラップはなかったぞ」

「物理的なのもなかったよ。メルを止めた時に確認しておいたし。上手い具合にデュオロードの視線がメルの方へ向いたから、調べたのもバレてないはずだよ」

 リリティナの懸念に対し、ラディウスとセシリアがそんな風に返すと、

「なら、安心ですね。……というか、まさかセシリアさんがメルメメルアさんの尻尾を握ったのは、カムフラージュだったのですか?」

 なんて言ってくるリリティナ。

 

「あー、うん、そう……だね。うん、そんな感じかなぁ?」

 セシリアは曖昧に肯定するが、ラディウスは絶対違うな、この感じは……と、そんな風に思った。

 

「ま、まあ、とりあえず向こうに戻ろうか」

 ラディウスの視線に気づいたのかなんなのか、セシリアはそう言って会話を中断。

 そのまま向こう側の世界へと移動するのだった――

なんというか、説明が長くなってしまっていて、いまいち進展していない感じが……


ま、まあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、8月4日(日)の想定です!

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