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第1話 偽帝。リンクとガジェット。

 イザベラがデュオロードが姿を現した事を話した所で、

「……ん? そのデュオロードという奴が偽物の皇帝なのか?」

 という問いの言葉を投げかけるラディウス。

 

「ええ、その通りですわ。そして、そのデュオロードがラディウスたちと接触したいと言ってきているんですのよ」

「なるほどね。……ちなみに断ったら?」

 イザベラの発言に頷きつつ、そんな問いを試しに返してみるセシリア。

 

「……その場合は、私とヨナとリゼリッタが殺されるのが確実なので、断るのはやめてもらえるとありがたいですわね。時間逆行が発動する気はしますけれど、発動しなかったらシャレになりませんわ……」

「たしかにな。というか、アルフォンスもリゼリッタから話を聞いているだろうし、一旦、アルフォンスと話をしてみるか。折角の機会だし、俺は行くつもりでいるが」

「あ、来るのでしたら、そのアルフォンスは避けた方が良いですわよ。どうもデュオロードは、ゼグナム解放戦線の人間が関わっているとは思っていないようなんですのよ。なので、ゼグナム解放戦線の中心人物が来たら面倒な事になる気しかしませんわ」

「なるほど……わかった。まあ、リゼリッタの方もアルフォンスに来るなって言ってそうだけどな。じゃ、とりあえず戻るぞ」

 ラディウスはイザベラに対して頷きながらそう返すと、早速向こう側の世界へと移動。

 そしてすぐに、

「――偽物の皇帝……デュオロードの話は聞いたか?」

 と、アルフォンスに問いかけた。

 

「ああ。何かあってもしっかり脱出出来るように退路の方は用意しておくから、そっちの面々だけで行って貰えないか? どうやらゼグナムの者が関わっているとは思っていないようでな、リゼリッタは俺が行くのはマズそうだと言っていたし」

「それは俺もイザベラに言われたな。まあ……了解だ。俺たちだけでちょっと行ってくるとしよう」

 ラディウスがアルフォンスに対してそう返事をした直後、

「でしたら、私も同行させていただけませんか?」

 と、リリティナ。

 

「え? それもそれで面倒な事になりそうな気がするわよ?」

「うーん……五分五分といった所な気がするのです。案外、そのデュオロードは、私たちの事をリリティナ様の関係者だと思っているかもしれないのです」

 ルーナの発言に、顎に手を当てて思考を巡らせながらそう返すメルメメルア。

 

「あー……なるほど。たしかにそれはあるかもしれないわね」

 納得したルーナの言葉に続くようにして、

「うん。ここは敢えて『皇族』であるリリティナを接触させてみるのも良いかも? って、私は思うな。上手く揺さぶれるかもしれないし。仮に現時点では関係者だと思っていなくても、実際に接触すれば『そう思ってくれる』ような気がするし」

 と、セシリアがそんな風に言った。

 

「ああ。もし、そう思ってくれたら、こっちとしても色々都合がいいな」

 更にアルフォンスがセシリアに続きそう言ってくる。

 そんな声に対してラディウスは、少しだけ考えてから、

「……そうだな。ここは一緒に来てもらおうか」

 という結論を出した。


 それに対してルーナたちが頷いてみせた所で、

「ありがとうございます! もし、悪い方に転んだとしても、皆様の事はお守りします!」

 なんて事を喜びの表情で告げるリリティナ。

 そのリリティナの発言に、

「いや、うん、剣の腕が立つのは分かるけど『皇女』に守られるっていう構図はちょっと……」

 と、セシリアが頬を人差し指で掻きながら呟く。

 

「まあ、それはそれとして……だ。一緒に行くんなら、リリティナと『正式』に『リンク』しておいた方が良いだろうし、こいつを使ってくれ」

 アルフォンスはそう言いながら、懐中時計型のガジェットをストレージから取り出し、リリティナへと差し出した。

 

「まだ予備があったのです?」

「いや、予備っつーか、ちょっと前に向こう側の公国の国境付近で、ビブリオ・マギアス――魔軍の奴らと小競り合いがあってな。そこで新たに回収した代物だ」

 メルメメルアの問いかけに対し、アルフォンスがそう返すと、今度はセシリアがもっともな言葉を口にする。

「小競り合い? そんなのあったんだ」

 

「ああ。イザベラから得た情報をもとに網を張っておいたら、まんまと引っかかってくれた感じだな」

「なるほどねぇ。イザベラも自分が危機に陥りかねないだろうに、良くやるなぁ……」

 アルフォンスの言葉に納得しつつ、そんな風に言うセシリア。

 それに対してアルフォンスが、顎に手を当てながら返事をする。

「これもイザベラからの情報で……なんだが、実は事前にスパイを捕らえてあるんだ。多分奴らは、そのスパイから情報を得て網を張っていた……と、そう考えていると思うぞ」

 

「隠蔽工作もバッチリってわけだね。まあ、ある意味抜け目がないというかなんというか……」

 セシリアが、納得顔でそう口にしながら肩をすくめてみせると、アルフォンスはそれに「そうだな」と返し、そしてリリティナの方へと顔を向け直した。

「ま、そんなわけで手に入れたばかりの代物ってわけだ。壊れてはいなさそうだから、問題なく『リンク』出来ると思うぜ」

 

「なるほど……。ありがとうございます」

 リリティナが頭を下げながらお礼を述べた所で、

「それじゃ、早速リンクしちゃう?」

 と言いながら、ラディウスの方を見るセシリア。

 

 ラディウスはそれに対して「ああ」と短く肯定し、すぐに『リンク』を確立させた。

 そして、イザベラへの報告も兼ねて、試しに向こうの世界へと移動する。

 

「こっちへ来たという事は、結論が出ましたの? ……って、リリティナが唐突に現れましたわね? つまり、『そういう事』ですの?」

 イザベラの問いかけに対してラディウスは頷きつつ、

「『そういう事』だ。これからリリティナを連れてそっちへ行く」

 と、そう告げた。

 

「わかりましたわ。なら、デュオロードにはすぐに来ると伝えておきますわね」

 そう返事をしたイザベラに対し、

「ところで、どうやって行けばいいのかしら? 迎えでも来るの?」

 という疑問を投げかけるルーナ。

 

「この地図の通りに来てくださいます? 私たちが今いる場所まで侵入したルートですわ。あ、リゼリッタに作ったというセキュリティガジェットを無効化するガジェットが必要ですけれど、予備があったりしませんこと?」

「ああ、あれか……。予備はないが、素材は確保してあるからすぐに作れるぞ」

 イザベラの差し出してきた地図を受け取りながらそう言うと、ストレージから素材を取り出してガジェットを作り始めるラディウス。

 それに対してイザベラは呆れ気味な表情で、

「いとも簡単に作れると言いますわねぇ……。まあ、ちょっとどういう風に作るのか興味がありますし、見物させて貰いますわよ」

 と言いつつも、その声は興味津々といった感じだった。

 

「……それなら、イザベラが作ってみたらいいんじゃないか? イザベラでも簡単に作れるはずだからな」

「はえ?」

 唐突なラディウスの提案に、イザベラは想定外すぎたらしく、途轍もなく素っ頓狂な声を発するのだった。

前の節のまま行くかどうか迷ったのですが、皇帝宮殿の探索そのものは一段落している事もあり、ここで節を変える事にしました。


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新は先日記載しました通り、6月末~7月頭と同じような感じとなりまして……変則的に7月23日(火)を想定しています!(更にその次は7月28日を予定していて、そこからは元に戻る想定です)

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