表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/636

第1話 伯爵の屋敷へ踏み込む。そして見つける。

「この先が伯爵の屋敷っす!」

 ルティカが装飾の施された木製の扉を指さしながら言う。

 どう考えても遺跡に元々あったようなものではない事は、一目瞭然である。

 

「いかにもって感じだな。しかし……ここまで階段を上ったり下りたりと、なかなかややこしい通路だったが、ルティカは良くルートを覚えていたもんだ」

 ラディウスはここまでの道のりを思い出しながら、感心の声を発する。

 

「ボク、昔から道を覚えるのは得意だったんすよ! 一度通った所は完璧に記憶出来るっす!」

「ほぉ……。それはまたなんとも冒険者に向いた能力だな。遺跡や洞窟で迷わなくて済むだろうし」

「そうっすね! だからなのか、オートマッパーとかよく言われるんすよ!」

 ルティカがそんな風に言って胸を張った。

 

「なるほど……。一度通った場所を完璧に記憶出来るわけだから、たしかにその通りだな」

「もっとも……その反面、頭を使うのは苦手っすから、遺跡の仕掛けとかは大体他人任せっすけどね……」

 今度は肩を落とした。

 

 ――なんともまあ、リアクションの激しい人だなぁ……

 っと、それはいいとして……マリスディテクターの反応は……なし、か。

 少なくとも、扉の向こうに魔物の類はいないようだな。

 

 ラディウスは問題ないだろうと思い、扉を開いてみる。

 マリスディテクターの反応どおり、魔物の類はおろか、人の気配もなかった。

 

 ラディウスは扉の先――遺跡とは違うレンガで作られた小部屋を見回す。

 すると、木箱や樽が部屋の隅に積まれているのが見えた。

「――ここは……倉庫か?」


「伯爵の話だと、ここに地下遺跡に搬入する物を一時的に置いているらしいっすよ」

 ラディウスの呟きにそう返してくるルティカ。

 

「なるほど、そういう事か。――出口は……あの階段だけか?」

 ラディウスは納得しつつ、部屋の奥にある上へと続く階段へと顔を向ける。

 よく見ると、階段の上には木製の扉があった。

 

「そうっすね。あそこから屋敷の――伯爵が執務室として使っている部屋に出るっす」

「……それはまたいかにもな構造になってるな。よし、ならば行ってみるか」

 ルティカの説明にそう返しつつ、階段を上り、そーっと少しだけ扉を開く。

 マリスディテクターの反応はないが、伯爵自身、あるいは使用人や兵士の類がいる可能性は、ゼロではないためだ。

 

 ラディウスは開けた扉の隙間から執務室の様子を伺う。

 と、その目に立ち尽くしたままのセシリアの姿が飛び込んできた。

 

「セシリア!」

 ラディウスは扉を勢い良く開けると、そう呼びかけながら執務室に飛び出す。

 

 しかし、そんなラディウスに対して、セシリアの反応はない。

 ヘイジーミストを受けた遺跡入口の兵士たちの如く、焦点の定まらない目で立っているだけだった。

 

「セシリア! 聞こえているか!?」

 ラディウスが再び呼びかけるが、やはり反応がない。

 

「聖女様! ボクっす! 一緒にここへ来たルティカっす!」

 ルティカもまた呼びかけるが、こちらにも反応を示さない。

 

 ――何かの魔法の影響下にある……のか? 

 だが、だとしたら何故、マリスディテクターが一切反応しないんだ?

 意識――精神に干渉するような魔法なんて、どう考えても悪意のある魔法だと判断されると思うんだが……

 ……いや、待て……。何だか魔力っぽいけど、どこか違う……そんな不可思議なオーラを纏った代物が、かすかに見えるような……

 

 セシリアの様子を見ながら、そんな事を思案しているラディウスの耳に、

「おや、ここまで侵入してくる者がいるとは……。それに……エクリプスに食わせたはずの女冒険者が元に戻っている……?」

 という声が聞こえて来た。

 その声に反応する形で、ラディウスが即座にそちらへと顔を向ける。

 

 すると、そこには金の刺繍が入った黒いコートを身に纏ったいかにも貴族といった雰囲気の男が立っていた――

オートマッピング機能って便利ですよね……

手書きは大変です……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ