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第8話 遺跡で話す。あれこれと情報を得る。

「ああ、やっぱりそうだったのか。――俺はラディウス・アーゼル。グラスベイルで魔工屋をや……る予定の者だ。ちょっとばかしセシリアに用があって聖堂へ言ったら、昨日から帰ってきていないと言われてな。どうにも嫌な予感がしたから、探すためにこの遺跡に潜入してみたって感じだ」

 ラディウスはルティカに対してそう説明する。


「なるほど、そうだったっすか。それにしても今、さらっと潜入とか言ったっすけど、そんな事をあっさりやってのけるとか、凄いっすね……」

「んー? それほどの事でもないぞ。見張りらしい見張りは、入口の兵士くらいだし、障害となるのも、所々に配置されていたリビングアーマーくらいだったから余裕だったぞ」

「リビングアーマー? もしかして、あの不気味な動きをする鎧っすか?」

「ああそうだ」

「あれ、かなり強いっすよね……?」

 ラディウスの言葉に呆れ気味な口調で言うルティカ。

 

 ラディウスは腕を組んで「んー」と唸った後、

「……と言われても、ちょっとばかしインチキくさい魔法を使って、一発で倒してしまったからよくわからんな……」

 と、告げた。


「インチキて……。まあ、ボクをあっさり助けてくれるくらいっすし、そのくらいできても別に驚きはしないっすが……。あ、ちなみにやっぱり……というのはどういう事っす?」

「さっき、牢屋に囚われている冒険者から名前を聞いていたんだよ。ルティカがセシリアの護衛として一緒に伯爵について行ったと」

 ラディウスがルティカの疑問に答えると、 

「って事は、アイシャたちは無事だって事っすか!?」

 そんな驚きの声を上げるルティカ。

 驚いてはいるものの、ルティカは仲間が無事であるのが判明したからか、その表情には歓喜が宿っていた。

 

「まあ……牢屋に囚われてはいたが、少なくとも異形と融合させられていたりはしていないな」

「それはよかったっす……。あんなのはボクだけで十分っすからねぇ……」

 ラディウスの言葉に、ルティカがそんな事を言って胸をなでおろす。

 

「しかし、何故あんな異形と融合させられていたんだ? というか、セシリアも同じだったりするのか?」

「わからないっす……。昨日、ボクと聖女様はこの遺跡から繋がっている伯爵様の屋敷に案内されたっす。で、書斎のような所で聖女様が地下で見つけた書物の話がどうこうと話し始めたっすけど、途中から伯爵様の様子がおかしくなってきたっす」

「おかしく?」

「そうっす。狂気めいたというか切羽詰まったというか……何とも言い難い感じだったっすね」

 ルティカはその時の事を思い出しながら語っているのか、左手をこめかみに当てながらそう答える。


「……セシリアと伯爵は何を話したんだ……?」

 ラディウスがそう問うと、ルティカは目を瞑ってしばし思案した後、

「なにか、書の出処がどうとか言ってたっすが……すまないっす。あんまり聞いていちゃまずいと思って、あえて聞かないようにしてたっす。なんで、あまり良く覚えてないっす……」

 と、申し訳なさそうに答える。


「……護衛――それも、一時的な護衛要員でしかない雇われの身――としては正しい行動だから、それは仕方ないな……。まあいい……すまないが、伯爵の屋敷まで案内してくれないか?」

「乗り込むつもりっすか?」

「ああ。そこにセシリアがいるのなら、行かないわけにはいかないだろ?」

 ルティカの問いに、腕を組んで当然だと言わんばかりにそう答えるラディウス。

 

「それは……そうっすね。――わかったっす。案内するっす!」

 そう言って立ち上がるルティカ。

 と、その拍子に銀色の布がハラリと床に落ち、ルティカの裸体が晒される。

 

 それに気づいたルティカは赤面し、

「あわわわわわっ!?」

 と口走りながら、慌てて布を手に取り、前を隠した。

 

「し、失礼したっす……」

「い、いや気にするな……。戦闘中は何度も見ていたし今更だ……」

 そう答えつつも、ラディウスの顔もまた赤かった。


 ――やはりというか今気づいたというか……

 どうやら、こういった時の反応や思考は肉体の年齢に精神の方が引っ張られるみたいだな……。時を遡る前に俺なら、この程度で動揺する事はなかったはずだし……

 なかった……よな……? いや、そもそも女性とそんなに接触していなかったような気もするぞ……

 ……ま、まあ、いい。そんな事より今はセシリアと伯爵だ……!

 

 ラディウスは思考を途中で強引に切り上げ、無理矢理気合を入れるのだった――

うーむ……。思ったよりも話がなかなか進まない……です……

1章、もう少し続きます……

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