表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

532/636

第7話 ディーゲルとアルベリヒ。作戦開始。

「それってつまり、その先はルティカが案内してくれるって事でいいのかしら?」

「そういう事なのだわ。そこからは――第3段階はルティカやアルたちがサポートする手はずになっているのだわ。詳しくは直接その場で説明されるはずなのだわ」

 ルーナに頷いてみせながらそう説明するクレリテ。

 ルーナはそれに対して納得の表情で、

「なるほどね。了解したわ」

 と返した。

 

「というわけで……大体の流れはこんな感じだね。ちょっと大雑把だけど……」

 そう言って肩をすくめてみせるセシリア。

 イザベラがそれに続く形で顎に手を当て、

「……普通なら雑すぎる計画だと言う所ですけれど、今回は状況が状況ですし、私たちはこちらの世界を介せば、向こう側の時間を進めずに色々出来る……という事を考えると、逆にガチガチに固めない方が――このくらい緩い計画の方が――むしろ良いというものですわ」

 と、そんな風に言う。

 

「ま、たしかにそうだな。元々かなり行き当たりばったりな所があったし、これだけ流れが決まっただけでも十分すぎるというものだ」

 ラディウスは頷いてイザベラの発言を肯定すると、

「さて……大体の流れも把握したし、そろそろ向こうに戻って作戦を開始しようと思うが……問題はないか?」

 と問いかけながら、その場にいる全員を見回した。


 するとそれに対して――

 

「ええ、大丈夫よ」

「うん、大丈夫だよ」

「大丈夫なのです」

「問題ありませんです」

「はい、いつでも大丈夫です」

「ええ、問題ありませんわ」

「いつでもいいのだわ」

 

 ほぼ同時に全員からそんな肯定の言葉が発せられる。

 それを確認したラディウスは、

「よし、それじゃ開始するぞ!」

 と告げて、向こう側を思い浮かべた。

 

 ……そして、視界が向こう側の世界――クルマの中へと切り替わった所で、

「――ノースロードエンドへは行かずにサウスロードエンドへ直行する」

 と、ディーゲルが混乱しないよう、敢えてそう口にするラディウス。

 

 それに対してメルメメルアとセシリアは、

「了解なのです!」

「敵は蹴散らすよ!」

 そう返事をしつつ、グッと拳を握ってみせた。

 

 ラディウスはそんなふたりの言動に頷くと、マリス・ディテクターを再度発動。自身へと向けられる敵意――アルベリヒの配下の位置を把握すると、クルマをそちらへ向けて進ませる。

 

 ――さて、ここからが厄介だ。

 俺たちの動きが『偽り』なのではないかと、そう連中に思われないようにしないといけないからな……

 

 そんな風に考えつつ、

「間違ってもビームをぶっ放したりはするなよ?」

 と、セシリアに釘を刺すラディウス。

 それに対してセシリアが、

「え? あ、そ、そうだね。うん。分かってるよー」

 なんて返事をしてみせる。

 

 ラディウスは、これは絶対ぶっ放す気だったな……と思ったが、それを口にする前にアルベリヒの配下が乗ると思しきクルマが現れた。

 

「あれに乗っていると思うが……とりあえず、様子見だ」

「了解!」

 セシリアはラディウスに対して、敢えて敬礼してみせながらそう返す。

 そしてそのまま、

「えっと……マリス・ディテクターの反応からすると、クルマは10台……かな? あ、いや、固まっているのが、乗った状態で静止していると考えると、12台だね」

 と、マリス・ディテクターを発動しながら続きの言葉を紡いだ。

 

「はいです。もっとも、間近にいるクルマはあの1台だけっぽいのです」

「そうだな。近くにいる他の反応は明らかにクルマには乗っていなさそうな感じだし、あのクルマは威力偵察って所か」

 メルメメルアの発言に対し、ラディウスがそう返事をした所で、アルベリヒの配下が乗ると思しきクルマの窓が開き、そこから火炎弾がラディウスたちのクルマ目掛けて発射された。

 

「ま、魔法攻撃が来るぞ!?」

 突然の魔法攻撃に少し恐怖の表情をみせるディーゲル。

 それに対してセシリアとラディウスが、

「うわぁ、いきなりだねぇ……。まあ、大した事ないけど」

「あのくらいなら耐えられるので大丈夫です」

 と、どうという事はないと言わんばかりの表情で口にする。

 

 そして、ふたりがそう口にした通り、火炎弾はラディウスたちのクルマに接触する直前でバチィッという激しいスパーク音と共に消し飛んだ。

 クルマには傷一つ付いていない。

 

「こ、これは……障壁?」

 恐怖から驚きと困惑の入り混じった表情へと変化したディーゲルが、そう呟くように言う。

 

「その通りなのです。クルマの周囲にあらゆる攻撃を防げる障壁を展開しているのです」

「ラディ製だから、あんな弱い魔法じゃ100万発は耐えられると思うよ」

 メルメメルアとセシリアがそれぞれそんな風に説明する。

 

 ――さすがにあらゆる攻撃を防げるわけでも、100万発も耐えられるわけではないぞ……?

 帝都全域を荒野に変えるような大爆発くらいまでなら防げるが、それ以上となるとちょっと厳しいし、あの魔法もせいぜい3万発耐えられれば良い方だ。

 

 ラディウスは心の中でそう突っ込むが、ディーゲルには、ふたりが口にした通りの性能だと思わせておいた方が安心出来るだろうと考え、何も言わなかった。

 

 もっとも……仮に訂正した所で、文字通り『桁違いな障壁』である事には変わらないので、ディーゲルの反応に大差はなかっただろうが……

実の所……もっと作戦開始までが長くて、作戦開始の所で終わる流れだったのですが、さすがに作戦開始までが長過ぎる上に描写しなくても良さそうな内容だったので、スパッとカットして作戦開始後まで入れる形にしてみました(少し、作戦説明が雑になってしまった感もなくはないですが……)


とまあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、4月7日(日)の想定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ