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第2話 ディーゲルとアルベリヒ。撹乱作戦立案。

「偽装であると思い込ませる……とは、どういう事ですの?」

 カチュアに代わり、そんなもっともな問いの言葉を投げかけるイザベラ。

 それに対してラディウスは、

「レヴァルタの話で出てきた『幻影』のガジェットがあるだろ?」

 と、返す。

 

「ありますわね。……いえ、ありましたわね。レヴァルタの壊滅の際にガジェットも破壊されてしまって、今はもうありませんわ。あれを使うつもりなんですの?」

「いや、あれだと動かせないから、そこは別になくても問題ない」

 ラディウスがイザベラにそう返事をすると、今度はラディウスの発言の意味に気づいたルーナが問いかける。

「もしかして……ディーゲルさんの幻影を作るつもりなのかしら?」

 

 ラディウスはルーナに、「ああ、その通りだ」と頷きながら答えた後、自身のストレージから、もしもの為にと思って確保しておいた『帝都周辺地図』を取り出す。

 そして、

「まず、普通にサウスロードエンドへ向かい、そこで一度クルマを降りる」

 と、指で指し示しながら言う。

 

「ふむふむ。ちなみに、アルベリヒの配下が真っ向から攻撃を仕掛けて来たら、強引に突破する感じ?」

「そうなるな」

 セシリアの問いかけにそう答えると、サウスロードエンドを指さしたまま、

「で、このサウスロードエンドで適当に『逃げるフリ』をしながら、本物のディーゲルさんと幻影を入れ替えて再びクルマで移動するんだ」

 なんて事を言いながら、地図上で指を北へと動かす。

 

「つまり、クルマにディーゲルさんが乗っていると思わせつつ、別の場所へ行くですか」

「なるほどですわ。サウスロードエンドは『追手を撒くために寄っただけ』だと、そうアルベリヒたちに誤認させるんですわね」

 メルメメルアに続いて、顎に手を当てながらそんな風に言うイザベラ。

 それに対してラディウスは首を縦に振って肯定しつつ、

「そういう事だ。で、他のロードエンドへ向かい、そこで再びクルマを降りて撹乱する」

 と告げる。

 

「そのロードエンドが本当の目的地だと思わせるわけね」

「ああ、そういうわけだ。……まあ、そこから俺たち自身がどうやって連中を撒くかってのは考えてないんだがな……」

 ラディウスはルーナに対してそう返事をすると、両手を左右に広げ、首を横に振った。

 

「ま、ディーゲルさんを連れていなければ、やりようはいくらでもあると思うよ」

「そうですわね。それこそ帝都を敢えて抜けるとか、一度別の場所に行ってしまうとか、色々手はありますわね」

「はいです。ディーゲルさんの幻影がそこで消えれば、アルベリヒは勘違いしてくれると思うです。そのロードエンド付近にいるはず……と」

 セシリア、イザベラ、メルメメルアの3人が続けてそんな風に言った所で、

「そうだな。……しかし、どうせならやはりこのタイミングで帝都内に踏み込んでおきたい気はするな」

 と、頷きながらそんな事を言って顎に手を当てるラディウス。

 

「まさか、アルベリヒなり皇帝なりと接触を試みるつもりですの?」

「どちらかというと妖姫を連れ出す方……だな。アルベリヒに捕捉された時点で、俺たちへの警戒――ひいては皇帝宮殿内の警戒を強めるであろう事は確実だし、それならいっそ連れ出してしまおう……と、そんな風にふと思ったんだ」

 ラディウスは、イザベラの肩をすくめながらの問いかけにそう返す。

 

「まあ……たしかに状況的にはやってもやらなくても、警戒が強まるであろう事は間違いありませんわね……」

「だとしたら、それ前提で動き方を決めた方がいいね」

 イザベラに続くようにしてセシリアがそう口にして、地図へと視線を向ける。

 そしてそのまま、

「ちなみに、ディーゲルさんの幻影を生み出すって、それ『動かせる』の?」

 という問いの言葉をラディウスへと投げかけた。

 

「少しなら動かせるようには出来ると思うぞ。まあ、別に幻影そのものを動かさなくても、誰かにディーゲルさんの幻影を『纏わせる』という方法もあるしな」

「そうですわね。別に幻影自体を動かせるようにしなくても良いと思いますわ」

 ラディウスの返答に対してイザベラが頷いてそう言うと、そこに更にルーナが頷きながら言葉を紡ぐ。

「そうね。どの道ディーゲルさんを迎えに行く必要があるし、その時に私が入れ替わる形にすれば、手っ取り早い気がするわ」

 

「ふむ。なら、その方向でガジェットの術式を構築するか」

 ラディウスが顎に手を当てながら呟くように言うと、

「でしたら、貴方がその幻影魔法のガジェットを作っている間に、私は魔軍……というかビブリオ・マギアスの方を、ちょっと対処しつつ様子を伺ってきますわ。貴方たちはガジェットを作るのと並行して、ゼグナム解放戦線の面々と、どう動くのかを決めておくと良いと思いますわよ」

 と、イザベラはそんな風に告げて、ラディウスとセシリアを交互に見た。

 

「そうだね。ガジェット作りはラディウスに任せておいて、その間にザイオンとクレリテを呼んでどうするか決めるとするよ」

「ああ、そうしてくれ……と言いたいが……すまん、ルーナは俺の方を頼む。ディーゲルの幻影をルーナに纏わせるとなると、本人が術式調整を行った方がいいからな」

 ラディウスはセシリアにそう返しながらルーナの方へと顔を向ける。

 

「あ、たしかにそうね。わかったわ! ――セシリア、そういうわけだからそっちはお願い」

「了解! ルーナが入れ替わる前提で動き方を考えるよ!」

 

 こうしてラディウスたちは、妖姫の救出を含めた撹乱作戦を形にするべく、すぐさま動き始めるのだった――

ここから帝国(帝都)関連の話が一気に進んでいきます(会話は長くなりそうですが……)


とまあそんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、3月21日(木)の想定です!

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