表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

522/636

第23話 レヴァルタの真実。遺跡と遺跡。

「例の溶岩の遺跡と同じ位置にレヴァルタがあるとしても、あくまでも向こうの世界――つまり、私たちの世界の側だよね? こっちの世界にも同じ遺跡があるものなの?」

「ある程度の時代からはそこそこあるな。例えば、古の時代の遺跡であるガーディマ遺跡なんかは向こうの世界にしかないが、ヴィンスレイドの屋敷の地下遺跡くらいの古さだと、こちらの世界にも一部存在している。カレンフォート市の離宮も似たようなものだな。まあ……向こうの世界には全体が残っているが、こっちの世界では僅かに残っているだけっていう大きな差はあるが、離宮自体はどちらにもあるからな」

 セシリアの問いかけに対し、そう答えるラディウス。

 そしてそれに続き、

「あの遺跡はガーディマ遺跡などの古の時代に造られたものには見えませんでしたわ。ガジェットの類もほとんど見つからなかったというか……残っていたものは、別の遺跡で発見されたであろうものだけでしたわ。なにしろ、ガジェット――というか、魔法を構成している術式がバラバラすぎましたし」

 と、そんな風に告げるイザベラ。

 

「古代の遺跡で確保したガジェットを保管しておく倉庫だった……とか? です?」

「ううーん……。そんな感じにも見えませんでしたわねぇ……」

 イザベラはカチュアの問いかけに首をひねって思い出しながら、そう答える。

 それを聞いていたリリティナが、

「……なんにせよ、レヴァルタの地下には同じような遺跡があり、その遺跡に立ち入る為に、ベルドフレイム兄様はレヴァルタを破壊した……と、そういう風に考えるのが妥当ではありますね」

 と、顎に手を当てながら言う。


「そうだな。まあ……レヴァルタの住人が地下に遺跡がある事を把握していて、その入口も知っている……とかなら、破壊する必要はなかったかもしれないがな」

 ラディウスがリリティナにそう返事をすると、

「それはつまり、ベルドフレイムは街を破壊してから穴を掘るなりした方が早いとかそんな風に考えた……と、そういう事なのだわ?」

 と、そんな風に言って首を傾げる。

 

「そこまで雑な方法を取ったのかはわからんが、街がそのままの状態で残っているよりは、街を完全に破壊してしまった方が、遺跡への入口を開くのには都合が良い……と、そう考えたのはたしかだろうな」

「なるほどです。ベルドフレイムが何をしたかはともかく、遺跡の為に街を壊す必要があったですね。でも、そこまでして遺跡に入ろうとするとは、そこに一体何があると言うですかね……? 向こうの世界では何かあったです?」

 メルメメルアはラディウスに対して頷いてみせた後、そう疑問を口にしながらイザベラの方へと顔を向けた。

 

「昔の記録……というか、古い時代についてあれこれと記された石板や書物が結構残っておりましたわ。石板はともかく……書物の方は、よくもまああんな場所に、読める状態で残っていたものだと思いましたわね。あとは先程言った通り、どこかの遺跡から手に入れてきたであろうガジェットがあったくらいですわ」

 なんて言ってくるイザベラに対し、

「うーん……。あくまでも可能性のひとつだが……レヴァルタの近くには、古の時代にガジェットを研究、開発していた施設があったようだし、向こうの世界――俺たちの世界側にも、同じような施設があって、そこで発見されたものを調べる為に作られた……研究施設とかだったのかもしれないな」

 と、肩をすくめながら、そんな風に返事をするラディウス。

 

「つまり、古の時代の研究所に関する研究をしていた研究所という事よね? それはそれでなんだか面白いわね」

 ルーナはそんな風に言うと、こめかみに人差し指を当て、

「……でも、そうなると、その遺跡の更に下に別の遺跡が――古の時代の遺跡があった……というのも、十分ありえるかもしれないわね」

 なんて事を口にする。

 

「ふむふむ……。向こうの世界では溶岩に沈んでしまっていて既に失われてしまっていても、こちらの世界であれば、まだ残っている可能性もある……という事ですね? です。納得しましたです」


「まあ……古の時代の遺跡に関しては、向こうの世界にあっても、こっちの世界にはない場合もあるから、確実にそうだとは言い切れないが……ベルドフレイム自らわざわざ調べたであろう事を鑑みるに、遺跡には何かしら重要な物が存在している……いや、存在していたのは間違いないだろう」

 カチュアに対してラディウスがそう返すと、

「なら、その遺跡に行ってみる?」

 と、セシリア。

 

「気にはなるが……今からすぐに行くってのはないな。さすがに遠すぎるし。それに……だ。ここまで戻って来たのだから、まずはディーゲルさんの娘さんをどうにか元に戻して、ディーゲルさんの家に帰す事、それから妖姫を牢――拘束から解き放つ事、このふたつをやっておきたい所だ。あとは可能なら、情報収集だな」

「そうですね。それが良いのではないかと私も思います」

 ラディウスの言葉に、リゼリッタが頷いて肯定。

 それに対し、

「妖姫の拘束を解くのは、地下の遺跡から侵入するのであれば、そこまで厄介ではない気もしますけれど……おそらく、その情報が伝わると、防衛網――セキュリティが強化されてしまう気がしますわ」

 と、思考を巡らせる仕草をしながら口にするイザベラ。

 

「たしかにそうだな……。となると、まずはディーゲルさんの娘をどうにかする事か」

「魂の込められた肉体と本来の肉体、両方とも既にこちらに向けて移送中でして、明日には到着する予定です」

 ラディウスに対し、テオドールがサラッとそんな風に告げる。

 

「さすがの手際の良さなのだわ。なら、明日を待って早速実行に移すのが良さそうなのだわ」

「そうだな。……明日までに最終的なチェックを済ませてしまうとするか」

 クレリテに対してラディウスはそう返事をしつつ思う。

 

 ――ガジェットそのもの……正確に言うなら、術式そのものに問題はないはずだ。

 だが、ぶっつけ本番に近い状態なのが少し怖い所だな……

 

 と。

なんともなサブタイトルですが、どうにか第1節が終わりました……次からは第2節です!


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、3月3日(日)の想定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ