表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

514/636

第15話 レヴァルタの真実。レザン家とベルグド家。

「え、ええっと……。とりあえず、その……話が大きく逸れすぎているので、元に戻すのです。レザン家とベルグド家が色々やって私腹を肥やしていた事と、イザベラさんの家が邪魔な事が、どう繋がるのです?」

 メルメメルアがどうしたものかと言わんばかりの困惑顔で、頬を掻きながらそんな疑問の言葉を紡ぐ。

 

「あ、ああそうだな、それが重要だな」

 セシリアに対して何を言うべきか分からなかったラディウスは、とりあえずメルメメルアに同意する事で、一旦色々と後回しにした。

 

「簡単に言うと、ウチは至ってまともだったのですわよ」

 イザベラがそんな風に肩をすくめながら言うと、

「それはつまり、イザベラの家は、レザン家やベルグド家の悪事を暴こうとしていた……のだわ?」

 という問いの言葉を投げかけるクレリテ。

 

「――まあ、言ってしまえばそういう事ですけれど……レザン家やベルグド家は隠蔽工作が上手く、不法や違法な行為が表に出る事はありませんでしたわ。なので2家が『悪事』を働いているという確信は、『あの時点では』持っていませんでしたのよ」

「なるほど……。要するにレザン家もベルグド家も、かなり上手く立ち回っていたわけね」

 そんな風に言ったルーナに、イザベラは頷き、

「そういう事ですわね。実際、今考えても、よくもまああそこまで上手く隠せたものだと感心する程ですわ」

 と返事をして肩をすくめてみせた。


「でも、明らかに怪しい――不道徳な行為をしているのでは? というのは、父上も兄上も感じていましたわ。なので、皇帝の名代として、皇帝に変わって統治する我が家としては、2家が皇帝のイメージが悪くなるような行為をしているのであれば、それを野放しに出来るものではなかったわけですわね」

「ふむふむなのだわ。とりあえずその時点では、何か黒い疑念があると考えて、動き始めた……とそういう事なのだわ?」

 イザベラに対してクレリテが再び問いの言葉を投げかけると、

「その通りですわ。なんらかの情報を得て巡検使を動かそうと父上や兄上は考え、色々と探りを入れ始めたんですのよ」

 と、頷きながら答えるイザベラ。

 

「なるほどなのです。たしかにそれは邪魔に思うのです」

「しかも、向こうとしてはなるべく怪しまれる要素は減らしたいわけですし? 探りを入れてきた者を暗殺といった方法を用いて排除する事も簡単には出来ず、まあ……正直、あちらからしたら鬱陶しい上に手を出しづらい、厄介過ぎる存在だったでしょうね」

 納得顔のメルメメルアに対し、イザベラはそんな風に返すと、再び肩をすくめる。

 

「でもイザベラは動きすぎて、さすがに放置出来なくなったから暗殺された、と?」

「簡単に言えばそういう事ですわね。まあお陰であの2家が黒も黒、真っ黒だという事が判明したので、私としては良かったですけれど」

 セシリアの問いかけに対してイザベラがそう答えると、

「まあ……相手が、殺したら過去に戻るような存在だなんて、誰も思わないだろうからね……」

 と、やれやれと言わんばかりの表情で首を横に振りながら言うセシリア。

 

「ですけれど、過去に戻れるからといって、簡単にどうにか出来たわけではないんですのよ? それから何度も色々な方法で暗殺されましたし? お陰で暗殺の仕方を学ぶ事が出来ましたけれど。ホント、色々あるものだと感心してしまうくらいですわ。中には、正気を保ったまま死に戻れなかったらどうしようかと思ったものもありましたし……」

「そ、そう……。あまり詳しく聞きたいとは思わないわね……」

 ため息混じりに告げてくるイザベラに、少し引き気味にそう返すルーナ。

 

「で、そんな事を繰り返していって、最初は悪事を暴いて連中に突きつけてやろうとかそんな風に思っていたのですけれど、それでは絶対にどうにもならないと理解して、方法を変える事にしたのですわ。――それが、その方法というのが、今のレヴァルタに繋がるわけですのよ」

「なるほど。最初は白かったイザベラが遂に黒い手段に出たわけだね」

「言い方に棘がある気しかしませんけれど、さすがに何度も殺され続けていたら『正しい方法』では駄目で、『真っ黒な相手に対しては、時には正道ではない方法を取らなければならない』という事くらい学ぶというものですわよ」

 イザベラはセシリアに対してそんな風に返しながら、腕を組んでみせる。

 

 そして、大きく嘆息した後、

「まあ、正直……レヴァルタの全ての民に辛い生活を強いる事になってしまうのは、私としても大いに悩みましたわ。ですけれど、それでも皆殺しにされてしまうよりは良い……と、そう判断して、実行に移す事にしたんですのよ。それ以外に取れる手がもうない事は『私自身が』理解していましたし」

 と告げて、その時の事を話し始めるのだった――

長くなっている第1節も、ようやく終わりが近づいてきました……

もっとも、ちょっと会話が長くなってしまって、過去話にまで入れませんでしたが……

それでも、あと数話で第1節は終われると思います。……おそらく。


ま、まあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、2月4日(日)の想定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ