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第14話 レヴァルタの真実。クレリテとセシリア。

「レザン家、そしてベルグド家、この2家が帝国と通じていたのですわ。そして、それを知らずにあれこれと反乱を起こさないように動いた結果……『正体不明の集団』に襲われて嬲り殺しにされましたわ」

「正体不明の集団……ねぇ。たしかにそれは分かりやすすぎる程に『暗殺』だね」

 イザベラに対してそんな風に肩をすくめながら返すセシリア。

 イザベラはそれに頷きつつ、

「ええ、まったくですわ。……もっとも、当時の私はそういった事に疎かったので、『その事』に気づかず、何度も嬲り殺されましたけれど……。なんというか、我ながら間の抜けた話ですわ」

 と、ため息混じりに言って、首を横に振ってみせた。

 

「なるほど、それがイザベラの家が首謀者じゃないのかと問いかけたセシリアに対して、『半分正解』と返した理由か」

「その通りですわ。私の家はあの2家に騙された形ですわね。どうやら、どちらも私の家が相当邪魔だったようですわ」

 ラディウスの発言に対し、イザベラがそんな風に答える。

 すると、それを聞いていたリリティナが、

「邪魔……ですか? それは一体どういう……?」

 という、もっともな疑問を口にした。

 

 それに対してイザベラが返事をしようとした所で――

「――遅くなったのだわっ! やっとついたのだわー!」

 という声と共にクレリテが姿を見せた。

 

 そして、クレリテはその場にいる皆を見回し、

「……もしかして、タイミングが悪かったのだわ?」

 なんて言いながら頬を掻く。

 

「いやまあ、どのタイミングで入ってきてもタイミングが良かったとは思えないし、別に問題はないんじゃないかな……。うん」

 そんな風に返したセシリアに続くようにして、

「まあ……なんだ? とりあえず、これまでの話を軽く説明するとするか」

 と告げ、クレリテに対してあれこれと説明するラディウス。

 

「――なるほどなのだわ。レザン家とベルグド家が『敵』だったというのは理解したのだわ」

 説明を聞き終えたクレリテが、ウンウンと首を縦に振りながらそう口にする。

 そして、

「それで、何故イザベラの家がその2家にとって邪魔なのだわ?」

 という問いの言葉をイザベラに投げかけた。

 

 イザベラは「それを話そうとしていた所ですわ」と肩をすくめながら返すと、一呼吸置いてから、

「それでは改めて話しますわね。――アーディス州は、私の家とその2家が皇帝の名代として、分割統治していたのですけれど……帝都から遠く離れていて、巡検の目が行き届いていないのを良い事に、レザン家とベルグド家は様々な方法を用いて私腹を肥やしていたのですわ」

「なるほど……。まあ良くある話よね」

 ルーナがイザベラの説明に頷きつつそんな風に言うと、リリティナもまた、

「そうですね……。恥ずかしい話ですが、領土が広すぎて地方までは管理しきれていないのが実情だという事は、私も認識しています……」

 と、額に手を当てながら、申し訳無さそうな声でそう口にした。

 

「でも、そのお陰で、私たちはこうして帝国に抵抗出来ているとも言えるのだわ」

「クレリテ……。それをこの場で口にするのはどうかと……」

 クレリテの発言を聞いたリゼリッタが、クレリテとリリティナを交互に見ながら、呆れ気味に言う。

 するとクレリテは、

「はっ! そう言えば皇女様がいたのだわ! ごめんなさいなのだわ!」

 なんて事を言って勢いよく頭を下げた。

 

「忘れていたんですか……」

 リゼリッタはクレリテに対して更に呆れた様子でそう呟いた後、

「ウチのバカがアホな事を口にして申し訳ありません……。なにぶんマヌケなもので……」

 と、リリティナに対して頭を下げながら言葉を続けた。

 

「罵詈雑言なのだわっ!?」

「何を言っているのですか? 罵詈雑言ではなく端的に真実を告げただけですよ? それとも真実ではないと?」

「ぐ……ぎぎ……。否定出来ないのだわ……」

 リゼリッタの言葉に、クレリテが歯ぎしりをしながらそんな風に返した所で、

「あ、あの、その、私の事はお気になさらず……。事実ですし……」

 と、少し困惑しつつ、ふたりの間に言葉を挟むリリティナ。

 そしてそのまま、

「――というか……ですね、正直な事を言うと、私としては大陸全体を帝国が統治するのは限界があると考えています。なので、あなたがたのやろうとしている事を否定するつもりはありません。むしろ肯定です」

 などと告げた。

 

「……こ、これは……嘘偽りのない本心からの言葉なのだわ……」

「そ、そうですわね。昔の私もこんな感じだったのを思い出しますわ……」

 クレリテとイザベラがそんな事を言いながら、手を自分の胸に当てる。

 そして、そんなふたりに対し、

「まあ、ふたりとも今はもうドス黒くなっちゃってるしね」

 なんて事を言うセシリア。

 するとふたりはそれに対して、

「……何を言っていますの? あなたもそうですわよ?」

「その通りなのだわ。セシリアも真っ黒なのだわ」

 と、ジトッとした目を向けながら返した。

 

「残念! 私は最初から黒いんだよ! ラディ以外には!」

「お、おう、そうなのか……?」

 セシリアのいきなりな発言に、ラディウスはどう答えていいのか分からず、そんな風に困惑気味な言葉しか口から出てこなかった。

 

 しかし、そんなラディウスの言葉を聞いたセシリアは、ハッとした表情になり、

「……あっ! し、しまった! 勢いでつい口にしちゃった……っ! うぐぐっ! クレリテとイザベラのせいだぁぁっ!」

 なんて事を言いながら、その場に崩折れる。

 

 そんなセシリアを見ながら、

「自業自得なのだわ」

「自業自得ですわね」

 と、そんな風に呟きながらやれやれと首を横に振るクレリテとイザベラだった――

今回の部分、展開的にはほとんど進展しないのでカットしようかどうか迷ったのですが、ここの所ギャグっぽい会話がなかったので、今回は敢えてカットしない方向にしました。

……たまにギャグっぽい会話を挟まないと落ち着かないもので(何)


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、2月1日(木)の想定です!

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