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第13話 レヴァルタの真実。死に戻る者。

「なるほど、それが一夜で終わらなかったレヴァルタの攻防戦ってわけか」

 イザベラの話を聞いたラディウスがそんな風に言い、

「たしかに歴史が改変されているのです」

 と、メルメメルアが続く。

 

「まあもっとも……そこから簡単に事が運んだわけではないのですけれどね。父も兄もなかなか頷いてくださりませんでしたし」

「それはそうだろうねぇ……」

 やれやれと言わんばかりの評定をするイザベラに、セシリアは少し呆れ気味の表情と声でそう返事をして、指で頬を掻く。

 

「ですけれど、どうにか説得して帝国軍との交渉には持ち込めましたわ」

「その言い方だと失敗したって事ね」

「ええ。防衛力の要が『私である』と思われてしまったのが失敗でしたわね。私さえ排除すればどうにかなると帝国の将は考えたのですわ」

 ルーナの言葉に対し、イザベラは頬に手を当てながら答え、嘆息する。

 

「そうですね。たしかにそうなる可能性は十分に考えられる話ですね」

「それで、結局どうなったのですか? です」

 リゼリッタに続くようにして、もっともな疑問を口にするカチュア。

 

「――『八つ裂きにして兵器に括り付け、レヴァルタの者どもに見せつけてやる!』と、そう言われて、本当に八つ裂きにされた所までしか分かりませんわね。多分、文字通りにしたんじゃありません? その先の歴史に私は存在しませんし、推測でしかありませんけれど」

 なんて事をサラッと言って肩をすくめてみせるイザベラ。

 

「や、八つ裂きって……」

「八つ裂きと言えるかどうかは微妙なのですがです、バラバラにされた経験は何度かありますです。ものすごーく痛いのですです」

 絶句気味に口を開くルーナと、淡々と経験を語るカチュア。

 それぞれの温度差が凄まじいのが、なんともな感じである。

 

「……さ、さすがは死に戻りの大先輩ですわね……。色々な意味で平伏したくなりますわ」

 イザベラが冗談とも本気ともつかない返答をしつつ、カチュアを見る。

 それに対してカチュアは、困惑の表情で、

「え、ええっと……。死に戻り大先輩って、なんだか嬉しくないのですです……。平伏されても困りますです……」

 と、口にした。

 

「ま、まあ、カチュアの死亡回数の事は一旦置いておくとして……それで死に戻ったわけだよね?」

「その通りですわ。しかも、帝国に対して反旗を翻す直前にまで戻りましたわ」

 セシリアの問いかけに、イザベラは頷きながらそう答える。

 

「随分と戻ったね……」

「死に戻る先がどこなのか、いまいち法則が分からないんですのよね……」

 セシリアに対してイザベラがそんな風に返事をして肩をすくめると、

「たしかにそうだな。少しだけ戻ったり、大幅に戻ったりするし……」

 と、ラディウスが同意する。

 

 それを聞いていたカチュアが頷きながら、

「ですです。ただ、経験的には少しだけ戻った時は、少しだけ動き方を変える事で死を回避出来て、大きく戻った時は、根本的に動き方を変えないと死を回避出来ない……という感じではありますです」

 なんていう、ある意味確信めいた事をサラッと口にした。

 

「……さすが大先輩ですわ。恐ろしい事をサラリと口にしてきますわね。どう考えてもそれが『法則』ですわね。まあ、どうやってガジェットが『その状況』を判断しているのかという新しい謎が生まれましたけれど……」

「え? あれ? 何か変な事言いましたです?」

 良く分かっていない表情で、イザベラに対してそう返して小首を傾げるカチュア。

 

「ある意味、カチュアらしいのです」

「うん、まあ、たしかにね」

 メルメメルアに続くようにしてセシリアがそう口にする。

 そして、一呼吸置いてから、

「――それはそれとして、それだけ時間が戻ったという事は、そのタイミングから動き方を変えないと駄目って事だよね。結局どうしたの?」

 という問いの言葉を続けた。

 

「その時は、もっと早い段階から防衛ラインを強化する方向で動いたんですけれど、敗北するまでの月日が伸びただけでしたわ……。途中までは上手くいったのですけれどねぇ……。物資と兵力がもたなくなって押し負けましたわ」

「まあ、帝国相手に正面からぶつかって勝つのは無理に等しいですからね……。というか、それが出来るのならば、我々も苦労はしませんし」

 イザベラの返答に、セシリアに代わる形でそう返すリゼリッタ。

 

「そうですわね。私も根本的に戦う事を考えては駄目だと気づきましたわ。――皇帝宮殿のアイアンメイデンの中で」

 肩をすくめながら告げるイザベラに、

「……あの悪趣味な見た目の物ですか。たしかに宮殿の地下に置かれているのを見た事がありますが、あの針の長さでは死なないのでは……?」

 と、そんな風に問うリリティナ。

 それに対しイザベラはというと、

「ええ、そうですわね。簡単には死ねませんわね。要するに、私を長い間苦しませながら、じわじわと殺す……そういう処刑方法だったというわけですわ。……あの腐れ外道、いつか必ず始末してやりますわ……」

 なんて事を忌々しげに口にした。

 

「ま、まあ、たしかに外道というか非道な処刑方法ですね……」

「まったくですわ。……もっとも『見せしめ』としては、最良だったのかもしれませんけれどね」

 イザベラはリリティナに対してそう返事をすると、

「それでまあ……どうにか死ねた後は、もう一度そんな処刑のされ方をするのは御免被る話ですし、そもそも反乱を起こさないように出来ないかと考えまして、その方向で動いてみたのですけれど……暗殺されてしまいましたわ」

 と、そんな風に言葉を続け、盛大にため息をついてみせた。


 それを聞いたルーナとセシリアが、ほぼ同時に「「暗殺!?」」という驚きの声を上げる。

 

 そんなふたりを交互に見ながらイザベラは、

「ええ。要するに『敵は味方だと思っていた側にもいた』という事ですわね」

 と返し、やれやれと首を横に振ってみせるのだった。

さらりととんでもない事を言うのがイザベラとカチュアです(何)


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、1月28日(日)の想定です!


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