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第11話 レヴァルタの真実。マグマと防衛戦。

「え、えっと……。それで、結局そのマグマに落下している状態から、どうやって脱したのです?」

 イザベラに対して、頬を掻きながらメルメメルアが問う。

 

「……オルドーに良い方法を考えて欲しいと言ったら、スリングショットとクロスボウ、それぞれを使って、肉眼でギリギリ見えるくらいの位置に設置された小さな的に命中させる訓練を延々させられましたわ……。それはもう朝から晩まで……」

「な、なるほどなのです。というか、クロスボウだけじゃなくて、スリングショットの訓練もしたですか? そんな遠くまで届きそうな感じはしないですが……」

「そうでもありませんわよ? 普通に100フォーネ(100メートル)以上は届きますわよ。特に私がその時から使っている『コレ』は、飛翔を強化する術式が組み込まれていて、300フォーネくらいなら減速も軌道のブレもなく狙った場所へ一直線に飛んでいきますわ」

 メルメメルアに対してそう返しながら、ストレージからスリングショットを取り出してみせるイザベラ。

 

「これはまた随分と『特化した』術式が組み込まれているな」

「そうね。まさに物を飛ばす事だけを考えて作られているわね」

 ラディウスとルーナは即座に術式を解析し、そんな風に言う。

 

「これもその遺跡で見つけたものだったりするんですか? です」

「いいえ。これは私の家――屋敷の倉庫の奥に、ずっと放置されていたものですわ」

 カチュアの問いかけに対し、そうイザベラが答える。

 そして、それを聞いたセシリアが首を傾げた。

「なんでそんなものが……?」


「これに関する記録は一切ないので、詳細はわかりかねますけれど……どうせ、ご先祖様がどこかで見つけたか、買ったかしたものの、結局使わずに倉庫に放り込んで、そのままになっていたとかだと思いますわよ」

「まあたしかに、大きい屋敷や城、それから拠点の倉庫には、そういったホコリを被ったままになっているガジェットというのが割とあったりしますからね……」

 イザベラの発言に、リゼリッタが頷きながらそんな風に返す。

 

「それで? 話の流れからすると、そのスリングショットを使って見えていた回廊に何かを飛ばして、更にそこに場所を入れ替えるマジックボルトを使ったんだと思うけど、その回廊にはなにかあったの?」

「ええまあ、あったにはあったのですけれど、その時は単に死を回避する事が目的だったので、深く探索しませんでしたわ。マグマへの落下を回避して、回廊に辿り着けた頃には、もう戦況が最悪な状況に――街が包囲されている状態に陥っていて、そちらの方をどうにか打開出来ないかという事ばかり考えていましたし」

 セシリアの問いかけに対し、そう答えるイザベラ。

 そして、一呼吸置いてから、

「もっとも、結局はどうにもならなかったのですけれど」

 とため息混じりに告げて、再び過去の話を始めた――

 

                    ◆

 

「くっ! 数が多すぎますわ……っ! クロスボウの練習がこんな所でも役立つとは思いもしませんでしたけれどっ!」

 街を取り囲む城壁へと攻撃を開始した帝国軍に対し、クロスボウで応戦しながらそんな言葉を発するイザベラ。

 

「お嬢様が手に入れてきたガジェットのお陰で、今の所なんとか防衛出来てはいますが、このままでは長くは保たないですね……」

 メイド服の女性――ヨナがそんな風にイザベラに告げる。

 

「もっとこう……大砲とかドールとか、そういうのが欲しかったのですけれどね……」

「それでも、防御障壁を展開するガジェットのお陰で、帝国軍の魔導砲を防ぐ事は出来ました」

「そうですわね。さすがに魔導砲を無効化されたのは想定外だったのか、直接城壁を乗り越える作戦に切り替えたのは、こちらとしても助かるというものですわ」

 イザベラがそんな風にヨナに返事をした通り、魔導砲による城壁の破壊が不可能と判断した帝国軍は、攻城櫓や梯子、雲梯といった古典的な攻城兵器を使った攻撃に切り替えていた。

 

 もっとも古典的とはいえ、それらは今の技術によって頑丈さや防御性能などが大幅に高められたものなので、簡単に破壊する事は出来ない。

 ――イザベラが手に入れたクロスボウなどのガジェットを除いては、だが。

 

「鋼鉄の雲梯車を一発で破壊するとか、さすがですね」

 今まさにその攻城兵器のひとつで、装甲車と梯子車が一体化したようなもの――レヴァルタの防衛部隊は『雲梯車』と呼んでいる――を破壊したイザベラに対し、そう告げるヨナ。

 

「このマジックボルト、思ったよりも破壊力があるんですのよね。幸い、術式構造も難しくはなかったので、ある程度数を増やす事も出来ましたし」

 そんな風にイザベラが返事をしたように、イザベラはそのクロスボウ型のガジェットの数を増やしていた。

 

 術式の構造がそこまで複雑ではなかった事もあり、イザベラを始め、魔工に詳しい者たちであれば、術式をコピーするのは容易かった。

 そして、コピーされた術式を鍛冶屋が作ったクロスボウに組み込む事で、即席のガジェットにしていったのだ。

 

 結果、帝国軍の繰り出す攻城兵器の数々を、ことごとく撃退する事が出来ていた。

 もっとも、数十という兵器を破壊してもなお、まだまだそれらの兵器がその姿を見せるという有様であり、帝国軍の圧倒的な物量とガジェットの魔力切れ、果たしてどちらが先なのか……という状態だったりするのだが。

またもや会話が思ったよりも長くなってしまったので、一旦ここで区切りました……


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、1月21日(日)の想定です!

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