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第8話 レヴァルタの真実。転移した先。

「手に取った瞬間、消えてしまいましたな……。一体今のは……?」

「私にもさっぱり分かりませんわ……」

 オルドーにそう返事をした直後、イザベラの頭に何かが浮かぶ。

 

 ――どこかの風景……? 一体どこですの……?

 

 そんな風に思った瞬間、視界がブレた。

 

「うぐっ!?」

 目眩に似た感覚が生じ、額を抑えながら目を瞑るイザベラ。

 

 と、次の瞬間、

「ぶふっ!?」

 激しい水の音と共に、頭に水が降ってきた。

 それも一瞬でずぶ濡れになる程度の。

 

「ちょっ!? な、なんなんですの!?」

 慌てて目を開くと、見えたのは上から下に流れ続ける水と岩盤だった。

 

 ――た、滝?

 イザベラがそう思いつつその場から離れる。

 

 バシャッという音と主に靴……どころかタイツやスカートまで水に浸かるが、今更だと諦める。

 

「……思いっきり滝ですわね……。水量が少なくて助かりましたわ……」

 イザベラの呟き通り、滝は滝でも水量が少なく、石がゴロゴロと転がっている事もあり、普通に滝つぼを歩く事が可能な程度だった。

 そもそも、滝つぼと呼べるほど広くも深くもないが。

 

 とりあえずイザベラはその場から離れ、河原へと移動。

 

 ――オルドーの姿は見当たりませんわね……。

 どうやら私だけ転移してしまったようですが……ここは一体……?

 

 そう思いながら周囲を見回すと、目に映るのは滝と岩盤、そして河原だけだった。

 しかも河原の周囲はこれまた岩盤に囲まれており、上に登るのは難しそうだった。

 

 ――この川を下っていくしかなさそうですわね……

 浅いのが幸いですわ……

 今更ですけれど、とりあえず靴とタイツは脱いだほうが良さそうですわね。

 ……正直、ビチャビチャして気持ち悪いですし。

 

 そんな風に考え、靴とタイツを脱いでストレージに放り込むイザベラ。

 さすがに衣服を脱ぐ気にはなれなかったので、びしょびしょではあるが、そのまま歩いていく事にした。

 

 ――ともかく、この谷間から脱出しない事にはどうにもなりませんわね……

 えぇーい……っ!

 

 心の中で気合を入れて川に足を踏み入れ、そのまま川下へ向かって歩き出すイザベラ。

 深さはないとはいえ、水がそれなりに冷たく、足に響く。

 更に裸足で歩いている為、石が足の裏に当たって結構痛かった。

 

 ――これ、裸足で歩くのは間違いだった気がしますわ……

 とはいえ、ここで靴を履くのは難しいですし……

 

 当然と言えば当然なのだが、イザベラは今までこういう所を歩いた事などなかった為、知識と経験の不足から、ビチャビチャの気持ち悪さを解消する方にばかり頭がいき、そちらに対して頭が回っていなかった。

 

 ――それにしても、どうしてこんな状況になっているんですの……私。

 考えられるのは、あのガジェットらしきものに転移系の魔法かなにかが組み込まれていて、それが暴走した……とか、そんな感じですけれど……

 

「きゃぁっ!?」

 

 思考に集中しすぎていて、深みに気づかずに思い切りはまってしまうイザベラ。

 さすがに全身が沈んでしまう程ではなかったものの、胸のあたりまで勢いよく川の水に浸かってしまった。

 

 ――うぅ……。更にびしょびしょですわ……

 

 そんな事を思いつつ、深みから出……ようとして、どうやって出ればいいのか分からなかった。

 

 ――え? これ……どうやって出ればいいんですの?

 

 手を前方の石に置き、どうにか這い出そうと試みるも、まったく這い出せなかった。

 

 ――ま、まずいですわ……。このままだと、寒さで力尽きかねませんわ……

 

 焦りの思考と共にあれこれ藻掻くが、胸のあたりまで水に浸かってしまっている事もあり、上手く抜け出せない。

 

 ――そ、そうですわ……。場所を入れ替えるマジックボルトで……

 

 イザベラはストレージからクロスボウと適当に放り込んであった遺物を取り出すと、遺物を正面に放り投げる。

 そして、石の上にクロスボウを置き、その遺物に向かってマジックボルトを発射。

 

 ……したものの、遺物には当たらなかった。

 マジックボルトは大きく逸れ、岩盤へと激突する。

 当然、岩盤とは入れ替わる事が出来ないので、何も起きない。

 

 ――うぐぐっ! 小さくて当てづらいですわね……っ!

 

 ゆっくりと川の流れによって遠ざかっていく遺物に何発か撃つも、全て外れてしまった。

 

「い、いい加減当たってくださいませぇぇぇぇぇっっ!!」

 どんどん遠ざかっていく遺物に対し、焦りと怒りから半ばヤケになり、そんな叫び声と共にマジックボルトを発射するイザベラ。

 が、それが運を引き寄せたのかなんなのか、そのマジックボルトは遺物に命中。

 イザベラは深みから脱する事が出来た。

 

 そして――

「……はぁ、はぁ……。な、なんとか脱出する事が出来ましたわね……。……こ、ここから無事レヴァルタへと戻る事が出来たら、クロスボウの練習をしますわ。絶対に絶対しますわ……」

 なんて事を呟くイザベラだった。

いきなり妙な場所に転移していますが……?


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、1月11日(木)の想定です!

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