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第6話 レヴァルタの真実。隠された入口。

「な、なんと、そうなのでございますか!?」

「ええ。無論、必ずそこに入口があるとは言い切れませんけれど、それでも様々な角度から検証した結果、ほぼ間違いない……と、そう言えるレベルにまでなっていますわ」

 驚くオルドーに対し、イザベラはそう告げながら1枚の地図を広げる。

 

「これは……冒険者ギルドで買える地図でございますね。何やら丸印が付いておりますが……もしやここが?」

「その通りですわ。多くの者が普通に通り過ぎるだけであろうこの場所――『外壁』こそが、隠された区画への入口なのですわ」

 イザベラはオルドーの問いにそんな風に答えると、手に持っている本を開きながら、

「この本によると、この施設では入口の所で出入りのチェックを行っていたそうですわ。ですけれど、こちらの記述とこちらの記述を照らし合わせてみると、この施設にある研究室や開発室――各部門の総人数と、研究所そのものの総人数が合っていないのですわ」

 と、ページを捲りつつ言葉を続けた。

 

「……入口から施設内に入っていない者たちがいる……と」

「ええ、そういう事ですわ。そして、他の資料に残されていた『工事の記録』によると、その丸印を付けた辺りで、度々『定期点検』が行われていましたのよ。表向きは『壁の内側にある魔法実験場の壁の強度が十分であるかの点検』という事になっておりましたけれど……点検は『外側』で行われていたようですわ」

 オルドーに対して頷きながらそう言った所で、

「魔法実験場が内側にあるのなら、内側から点検を行った方が妥当というものですな。しかも、外からも点検が行える……と、そう言い切ってしまえば『当時は』特に怪しまれなかった可能性が高いですな」

 と返すオルドー。

 

「まさにその通りですわ。普段から外側で点検が行われていて、魔法実験場に何の問題もなければ、皆、そこに対して何の疑問を抱かなかったと思いますわ」

「……なるほどですな。そうして点検と称して隠された区画の出入りが秘密裏に行われていた……と、そういう事ですな」

 イザベラに対し、オルドーがそんな風に言うと、イザベラは机の上に本を置き、代わりにそのすぐ近くに置かれていたノートの切れ端数枚をオルドーへと手渡しながら、

「ええ。複数の資料を漁って、それらの裏付けとなる情報も見つけて、こうして纏めてありますわ。そしてこれらの内容から、その可能性は限りなく高い――ほぼ間違いなくここである……と、私はそう判断しましたわ」

 と、告げた。

 

「なるほど……。さすがでございますな。……して、イザベラお嬢様は、ここを実際に調べてみたい……と、そうお考えなので?」

「無論ですわ。調べた感じ、なんらかの仕掛けがあるようですし、誰かに任せたのでは、何も発見出来ない可能性がありますもの」

 オルドーの問いかけに対し、そう返しつつ腕を組んで見せるイザベラ。

 そして、

「……というわけで、どうにか屋敷から出る方法はありません? オルドー。普通に出たいと言っても出して貰えるとは思いませんし?」

 と、そんな言葉を続けながら笑みを浮かべるのだった。

 

                    ◆

 

「まさか、ヨナを私の代役に使うとは思いませんでしたわ……。まったく似ておりませんし……」

「だからこそなのです。ヨナには、もしもの時にイザベラお嬢様の変装をして、身代わりとなるよう、様々な教育を施してきましたからな。ああして変装さえさせておけば、イザベラお嬢様と寸分違わぬ言動が可能となります。しっかりと代役をこなしてくれるでしょう」

 イザベラの発言に、オルドーがそんな風に返す。

 そう、オルドーは何かの時のためにと用意していた影武者を使ったのだ。

 

「それに関しては頷く他ありませんわね。まさか、変装するだけで、あそこまで私と同じくなるとは……」

「そういう技術ですからの。個人的にはイザベラお嬢様をこうして外に出すのは気が引けるのですが……っと、ここでございますな」

「ええ。……というか、ここだけ外壁の損傷が少ないですわね。周囲の外壁は酷く崩れておりますのに」

 イザベラがオルドーに頷いてみせつつ、周囲を見回してそう呟くように言う。

 

「たしかにそうですな。もっとも……怪しいと疑ってかからなければ、単にこの辺りの壁だけ崩れにくかったのだろう、運良く崩れずに残ったのだろう、としか思いませぬが」

「ですわね。……さて、壁を砕いてみますわよ。――グラビティスフィア!」

 そんな風に返しながら、ガジェットを構え、魔法を発動するイザベラ。

 

 イザベラの頭上に出現した黒の中に薄っすらと紫の帯が混ざった魔法球が、ゆっくりと壁へと向かっていき……

 壁に接触すると同時に、凄まじい圧力で壁を砕いた。

 

「これはまた……。向こう側まで貫通するかと思いましたが、そんな事はありませんでしたな……。まさか、こうなるとは……」

 オルドーがそんな驚きの言葉を発したのは、壁の中から狭い階段が出てきたからだ。

 しかも、ぶつけた魔法球は、階段の手前側の壁を砕きはしたが、階段のその向こう側――施設の内側と面する壁には何の損傷も与えていなかった。

 

「思ったよりも魔法に対する強度が高くて、グラビティスフィアでも片方の壁を砕くだけで精一杯でしたわ。かなりの年月が経過していますのに、ここまでの強度を維持している辺り、さすがは古の時代の代物……といった感じですわね。この感じだと、下は割と状態が良さそうな気がしますわ」

「ですな。イザベラお嬢様がお望みの――いえ、我らの現状を打開出来るガジェットが見つかるのではないか……と、儂も希望が湧いてきましたわい」

 オルドーはイザベラの発言に対して頷き、微笑みながらそう返すのだった。

いまいち区切りどころが難しく、今回も少し長くなりました……


とまあそんな所でまた次回! というかまた来年! 今年も1年ありがとうございました!

次回も予定通りとなります、1月4日(木)の更新を想定していますので、よろしくお願いします!

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