第2話 レヴァルタの真実。災厄の兆候。
「ここがサウスロードエンドか……」
ラディウスが到着したその場所を見回しながらそう呟くと、
「結構ここも大きな街になっているわね。グランベイルのあまり変わらないくらいの規模があるんじゃないかしら……」
と、同じように見回しながら言うルーナ。
「それだけ車で来る人もいるって事なんだろうね」
「それもあるですが、車や鉄道以外の手段――徒歩や船などで訪れる人も必ずここを通る必要があるのです。なので、人の通りも多くなって、それらの人々に食べ物を売ったり寝る場所を提供したりする人が集まってきた結果、これだけの規模にまで発展した……という感じなのです」
メルメメルアがセシリアに対してそんな風に説明すると、
「なるほどねぇ……。大きな街っていうのは、大体そういう風に出来上がっていくよね」
と返し、首をウンウンと縦に振ってみせるセシリア。
そしてそのままラディウスの方へと顔を向け、
「――逆に人の流れがまったくない場所だと、人はどんどん減っていくよね……」
なんて言った。
「そうだな。俺の生まれ故郷なんて、行商人……セシリアとセシリアの親父さんが定期的にやって来るくらいで、他に訪れる人なんて皆無だったから、子供はみんなある程度の年齢になったら、外へ出て行ってしまっていたものなぁ……。いやまあ、俺もそのひとりだけど」
ラディウスがそんな風に返事をした所で、
「でも、どんな所なのか見てみたい気はするのです」
「そうね。たしかに気にはなるわね」
と、そんな風に言うメルメメルアとルーナ。
「まあ、機会があったらな……」
そう答えたラディウスに続くようにして、
「小規模だけど、ほぼそのままの形で現存している古代の遺跡があるから、ふたりにとっては、ちょっと探索しがいがあるかもしれないね」
と、セシリアが言うと、ラディウスはそれに対して腕を組みながら、
「あー、たしかにな。あそこって、図書館……あるいは資料保管庫の類だったのか、古い記録だけはやたらと保存状態の良い形で遺されているからな。ガジェットの技術レベルを高めるのにはもってこいかもしれん」
なんて事を告げる。
「その遺跡、私も興味がありますわね」
そう言いながらイザベラがラディウスたちの方へと歩み寄ってくる。
「あ、イザベラさん。到着しましたですか」
「ええ。思ったよりも時間がかかってしまいましたわ。レヴァルタからここ――帝都まで出て来るのには、どうやっても3日かかるのが問題ですわね……」
カチュアの問いかけに対し、そんな風に返事をしつつ肩をすくめてみせるイザベラ。
そしてそのまま、
「それで……来たはいいですけれど、どうすればいいんですの?」
という、もっともな疑問の言葉を発する。
「クレリテが話をするのにちょうどいい宿に案内するって言ってたけど……」
セシリアがそう返事をした所で、
「全員揃っておられますね」
という声がラディウスたちに向かって投げかけられた。
「リゼリッタさん?」
メルメメルアが声のした方へと向きながら、そう口にした通り、そこにはリゼリッタの姿があった。
「はい。クレリテは少し到着が遅れてしまいそうなので、代わりにお迎えに参りました」
「遅れる? クレリテに何かあったの?」
リゼリッタの言葉に対し、セシリアが首を傾げながら問うと、
「とりあえず、歩きながら話させていただきますね」
と返しながら、自分についてくるようラディウスたちに告げるリゼリッタ。
「さて、クレリテなのですが……実はこちらへ来る道中で、大型の魔物――滅界獣と遭遇してしまい、倒すのに時間を要してしまったそうです」
と、そんな風に理由を述べるリゼリッタ。
「め、滅界獣って……。道中で遭遇するような存在じゃない気がするのだけど……」
そう呟くように言ったルーナに続くようにして、
「そう言えば……最近、見た事もない大型の魔物を、大陸のあちこちで見かけるようになって、対処に苦慮している……と、先程冒険者ギルドへ行ったら言われたのです。もし、その見た事もない大型の魔物というのが、滅界獣だったとしたら……」
と、そんな事を口にするメルメメルア。
それに対してリゼリッタが、
「……古の時代にも見られた『危険な兆候』です。……と、妖姫さんが言っていました」
なんて事を告げた。
レヴァルタの(イザベラの過去)話に入る予定だったのですが、思ったよりも会話が長くなってしまったので、一旦ここで区切りました……
次の話では、レヴァルタの(イザベラの過去)話に入りたい所です……
そして……レヴァルタの(イザベラの過去)話も、このままだと結構長くなってしまいそうなので、ちょっと調整して短めにしたいと思っています。
とまあそんな所でまた次回!
次の更新も予定通りとなります、12月21日(木)の想定です!




