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第10話 無窮の混沌。イザベラとレヴァルタ。

 ――なんにせよ、一番の懸念点だったイザベラの動きが『こちらの支援』であった事と、そのイザベラの動きを、ある程度だが制限および把握出来るようになった事、このふたつは、ある意味『嬉しい誤算』であると言えるな。

 ……いずれ、嬉しくない誤算になる可能性もなくはないが、今はまあ良しとしよう。

 

 そうラディウスが考えていると、

「それにしてもこのふたつの世界を移動出来るガジェット、死んだ時に時を遡る力以外にも、こんな力があったとは思いませんでしたわ」

 なんて事を呟くように言うイザベラ。

 

「そっちは知ってたんだな」

「ええ、それは当然ですわ。『レヴァルタの乱』の際に、自分でその力を使っていますもの」

 ラディウスの問いかけに対し、イザベラがサラッとそう答える。

 

「え? あの一夜反乱の時にです?」

「ええ。……というか、最初は一夜反乱ではありませんでしたのよ? あれ」

 メルメメルアの問いかけに対して頷きつつも、そんな風に返すイザベラ。

 それに対して、クレリテが射抜くような目でイザベラを見ながら問う。

「……もしかして、イザベラが『歴史を変えた』のだわ?」

 

「当然ですわ。そのままだと私は帝国軍に嬲り殺されるだけですもの」

 イザベラは当然だと言わんばかりの表情でそう告げると、肩をすくめて、

「もっとも、最初に嬲り殺されて時を遡った際は、帝国軍に対抗する方法を考えましたけれどね。……そして、何度やっても嬲り殺されましたわ。なので、私は方向性を変えたんですの」

 なんて事を言った。

 

「……イザベラが生き残る為に、レヴァルタの住民と家族をすべて差し出した? と、そういう事なのだわ?」

「……ちょっと待って欲しいですわ。私、自分自身だけが生き残ればいいとか、そこまで冷酷で自己中心的な人間ではありませんわよ?」

 クレリテに対してそんな風に返しながら腕を組むイザベラ。

 

「え? でも、現にレヴァルタは滅びてイザベラの一家……どころか、その一族郎党すべて処刑されたんじゃ?」

「何を言っていますの? 一族郎党処刑されたのは『首謀者の一族』ですわよ?」

 セシリアの問いかけに対し、イザベラはそう言いながら再び肩をすくめてみせた。

 

「あれ? 首謀者ってイザベラの家じゃないの?」

「そうですわね。それは半分正解ですわ」

「……半分? どういう事?」

 イザベラの返答の意味が理解出来ずに再度そう問いかけるセシリア。


「……それ、説明しないと駄目ですの? 私の行った過去改変の内容も含める必要があるので、かなり長い話になりますわよ?」

 面倒くさげにそう告げるイザベラに対し、

「まあ、説明してくれた方が信頼度は上がると思いますよ? 私の肉体に妖姫の魂を封じて幽閉した件も含めて。……今までの感じからすると、直接的ではなくても、何か間接的に関係がありますよね?」

 なんて事を言うリリティナ。

 

「なるほど……。言われてみるとたしかに何かありそうだな……」

 ラディウスがそう呟きながらイザベラへと顔を向けると、イザベラは諦めの表情で、

「……仕方ありませんわね。その話をして差し上げますわよ。……でも、こちらの世界で悠長に長話をするのは、あまり得策ではありませんわ。向こうの世界で合流してからにしますわよ」

 という返事を、ため息混じりにした。

 それを聞いたクレリテが、

「なら、とりあえず『サウスロードエンド』に来るといいのだわ」

 と、そんな風に告げる。

 

「サウスロードエンド? それってどこなの? 私、そこ知らないわよ? ラディは知ってたりするのかしら?」

「いや、俺も知らんな」

 ルーナの疑問に対し、ラディウスが首を横に振ってそう答えると、

「帝都郊外にある車置き場兼宿酒場街のような場所なのです。帝都の中へは車で入る事が出来ないので、帝都へ車で来た人たちは帝都の四方にある各『ロードエンド』で車を停めて、地下トラムで帝都に入る形になるのです」

 と、メルメメルアが説明する。

 

「ああなるほど、そういう事か」

 ラディウスはそう返しながら、いわゆるパークアンドライドって奴だな、とそんな風に思う。

 そして……

 

 ――多分、クレリテは今の発言をする直前に、向こうの世界に言ってアルフォンスたちと話をして何か色々と決めて来たんだろうし、ここはその提案に乗っかるのが妥当だろう。

 

 なんていうクレリテの発言の意図を推測しつつ、

「まあなんだ? とりあえず帝都に近い場所みたいだし、色々と都合が良さそうだ。そこに集まるとしよう」

 と、告げるのだった。

というわけで(?)第7章はこの話で終わり、次からは第8章に入ります!

帝都(郊外)まで戻るという展開から分かるかもしれませんが、8章は帝国の話がまず来ます。

これを一区切り付けないと、各遺跡や古代文明と災厄、そしてビブリオ・マギアス(魔軍)といった残りの話を進められないので……(もっとも、冒頭はイザベラの過去話の節からですが)


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、12月14日(木)を想定しています!


※追記

誤字を修正しました。

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