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第16話 隠れ拠点。ラディウスと3人を見て。

「というわけで、撹乱する算段を立ててきたぞ!」

 ザイオンが1秒ほどでそんな風に言ってくる。

 

「相変わらず、感覚がおかしくなるわね……」

 額に手を当てながらそう呟くように言うルーナに続くようにして、

「まあ、こればかりはしょうがないな。それで……算段を立ててきたという事は、こっちはガジェットさえ作れば、どうにかなるって事でいいのか?」

 と言ってザイオンの方を見るラディウス。

 

「ああ。奴らの目をまったく別の所に向けるよう、ラディたちの偽物を用意する事にした。その上で『奴らの手の者』が居ても大丈夫なように、『本物がいる場所』の偽りの情報を複数パターン用意して各部隊に個別に通達する想定だ」

 そう説明するザイオンに対し、セシリアが顎に手を当てながら、

「なるほどね。もし『その場所』にビブリオ・マギアスが現れたら『その部隊にスパイがいる』ってのも、一緒にわかるね」

 と、納得顔で返事をする。

 

「ま、そういう事だ。本当の意味で本物がいる場所は、俺たちだけしか知らないってわけさ」

「それならバッチリ行けそうなのです」

「うん、そうだね。少なくとも私たちがいる場所は奴らにバレなさそうだね」

 ザイオンに続くようにして、メルメメルアとセシリアがそう言うと、 

「テオドールさんとしては、本当は安全の為にもう一手――主に、ビブリオ・マギアス側の動きを逆に監視する手段なり人員なりが欲しい所らしいけど、さすがにそれをする為に使える手はないようでな」

 と、腕を組みながら返すザイオン。

 

「そこはどうにもならないわね……」

「そうだな。どうしてもそこら辺の差で後手に回ってしまっているのはたしかだし、どうにかしたい所ではあるが、今すぐにというのはさすがに無理だ。……ま、ともかく今はガジェットを作ってしまうとしよう」

 ため息混じりに呟いたルーナに対し、ラディウスはそう言うと、新たにガジェットを作り始める。

 

「しばらくかかりそうだから、俺は一度戻るぜ。完成したらまた呼んでくれ」

 ザイオンがそう告げて部屋から去っていく。

 それを見送ったルーナとメルメメルアが、

「さて、私たちも急いで作ってしまいましょうか」

「はいです。バッチリ作り上げるのです!」

 と言って、ラディウスと同じくガジェットを作り始めた。

 

 ……

 …………

 ………………

 

「ラディウスさん、これで問題ない感じです?」

 ラディウスから任せられた部分を仕上げたメルメメルアが、ラディウスにそう問いかけた。


「ああ、ばっちりだ。さすがだな」

 確認し終えたラディウスにそんな風に言われたメルメメルアは、心底嬉しそうな表情をする。

「良かったのです!」


「こっちももうすぐ完成するんだけど、どうかしら?」

 メルメメルアの顔を見ながら、そうラディウスに問いかけるルーナ。

 問わずとも万全である事はルーナ自身がわかっているのだが、どうしても問わずにはいられなかったのだ。


「ああ、これでまったく問題ないぞ」

 ラディウスが確認しながらそんな風に告げる。

 それに対してルーナは、

「それは良かったわ」

 と返しつつも、なんだか褒められ方がメルメメルアよりも足りていない感じがして、少しだけ不満だった。

 もっとも、それを眺めているセシリアが一番不満そうな顔をしていたりするが。


「……これは、もしかしてその……3人とも『そういう感じ』なのですか?」

 リリティナが困惑と興味の入り混じったなんとも言えない表情でカチュアに小声で問うと、

「ですです。そういう感じなんですよです。……ラディウスさんが『それ』を理解していないというか、認識出来ていないというか……そんな状態なのですが、3人とも踏み込み方が弱いせいで、ずっとこんな感じなんですよです。そして、このまま変わらないんじゃないかとも、ちょっと思っていますです」

 と、ため息混じりにそう返事をするカチュア。


「それはまた、なかなか面白……いえ、なんとももどかしい状況ですね」

 リリティナがそんな風に返した所で、

「よし、これで完成だな。ふたりとも助かったぞ」

 と、ルーナとメルメメルアに対して言うラディウス。


「あとは――」

「あ、ザイオンさんならもう呼んだよ。もうすぐ来ると思う」

 というセシリアの声が、伝声管の前から聞こえてきた。

 

「お、そうか。さすがはセシリアと言うべきか。動きが速いな」

 ラディウスにそう言われ、今度はセシリアが少し嬉しそうな表情をみせる。


「……まあ、なんというか……これで満足してしまっているのが問題なのかもしれませんです」

 カチュアは、ちょっと呆れ気味にリリティナに対してそんな風に呟いてみせた後、

「――全ての準備が整った感じなのですか? です」

 と、ラディウスたちに問いかけるのだった。

ガジェットを作る話だけが続いてしまうのもあれだったので、ちょっとだけそれ以外の要素も入れてみました。

……まあ、その影響で若干展開の進展が遅くなりましたが、入れないよりは入れておいた方が良いかなと思いまして……


とまあそんな所でまた次回! 次の更新も予定通りとなりまして……11月5日(日)を予定しています!

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