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第14話 隠れ拠点。複雑なる監視網。

「なるほどな。妖姫への伝言はともかく、監視の方への対処は必要だな。現時点で判明している情報によると、敵――ビブリオ・マギアスは、既に法国領内に入り込んでいる者による直接的な監視と、法国領内のいたるところに仕掛けられたガジェットを利用した監視、その双方を組み合わせているそうだ」

「ふむ……。その感じだと、手近にあるガジェットを見つけて潰したとしても駄目そうだな」

 ザイオンの話を聞いたラディウスが、腕を組みながらそんな風に言う。


「どういう事なのです?」

「多分だけど、ソナー……コウモリが障害物を超音波の反響で認識しているような感じじゃないか? 詳しく説明するなら、複数のガジェットによって大きな『波』の反響を作り出して、その波の『揺らぎ』によって状況を察知している……って感じか」

「あ、それそれ、そんな事を王国の諜報部からも最近聞いたよ。あっちのやり方を真似て、似たような事をしようと最近考えてるって聞いたし」

 首を傾げるメルメメルアに対し、ラディウスとセシリアがそう答える。


「でもそれって、一朝一夕にそんな方法を確立出来るものではないわよね?」

 と口にしたルーナに、ラディウスが頷いてみせる。

「そうだな。それなりに長い時間と労力をかけて、法国のかなり根の深い部分にまで侵蝕し、仕込んでいったものだと思う。つまり――」

「非常に強固で隙がない状況だというわけね。相変わらず厄介な連中だわ……」

 ラディウスの言葉を引き継ぐようにしてそんな風に言い、ため息をつくルーナ。

 それに対してセシリアは頷き、

「うん、厄介だね。……って、そう言えばビブリオ・マギアス――というか、魔軍や幻軍の排除に異端審問執行官と聖堂騎士団が動いていたはずだけど、状況はどんな感じなのかな?」

 と、そんな事を言ってザイオンの方を見る。

 

「ああ、結構な人数を潰したらしいが、完全に駆逐したと言える程ではないらしい。というのも、こちらの動きに気づいた連中が、こちらの追跡しにくい奥地や地下などに潜っちまったようでな。一筋縄ではいかなくなってきてんだとさ」

 そう言って肩をすくめてみせるザイオン。

 

「法国領はなんというか、人が足を踏み入れた事のないような場所が多いし、少し山奥へ逃げ込まれただけで、見つけるのに苦労しそうな感じはあるな」

「そうだな。法国は領土の広さに反して、人口はそこまで多くない。そのせいで新しい街を作る必要が全くと言っていい程なくて、結果的に手つかずの場所ばかりだ。法国領内へ連中の侵入を許してしまった原因のひとつは、そういった山間部を監視しきれなかった事だしな」

 ラディウスに対し、ザイオンが腕を組みながらそんな風に返す。

 そして、そのままセシリアの方を見て、

「王国領内に入り込まれたのも、そう言えばそんな感じの理由じゃなかったか?」

 という問いの言葉を投げかけた。

 

「あ、うん、そうだね。グラスカーナ山地とディゲルタの岩峰から奴らが侵入してきたのが判明しているよ。前にラディが『ビブリオ・マギアスには、あの危険地帯を突破する為のガジェットを作れる可能性がある』って言ったから、それを諜報部に伝えたんだけど、そしたら本当に突破してきた形跡が見つかったんだよねぇ……」

「たしかにそんな話をした事があったな。形跡が見つかったってのは始めて聞いたが」

 ラディウスがセシリアの発言に対してそう返すと、セシリアは、

「つい最近――正確に言うなら聖木の館の一件が一段落した頃に――ようやく判明した所だからね。……まあ、何故かテオドールさんから伝えられたんだけど」

 と、そんな風に告げた。

 

「テオドールさんは王国の諜報部というものとも、何か繋がりがあるのですかね? です」

「うーん……本人に聞いてみないとなんとも言えないけど、繋がりがあってもおかしくはない気はするね」

 カチュアの疑問に対してセシリアがそう返す。

 

「まあそうだな。……にしても、本当につい最近だな……」

 ラディウスがセシリアに同意しつつ呟いた所で、

「ちなみに、どうやって入り込んできたのです?」

 という、もっともな疑問を口にするメルメメルア。

 

「あ、うん、何らかの特殊な魔法が組み込まれたガジェットを使って、地中を掘り進んできたみたいだね。隠蔽されてはいたけれど、『トンネル』の形跡があったって話だったから」

「それはまた、なんともとんでもない方法ね……。ある意味『らしい』けれど」

 セシリアの説明を聞いたルーナが、呆れ気味の言葉と共に、やれやれと首を横に振る。

 

「まあ、何気にあいつら高度なガジェット製作技術を有しているからな」

「――ところで、その地中を掘り進むガジェットというのは、ラディウスさんは作れるのです?」

 肩をすくめるラディウスに、そんな質問を投げかけるメルメメルア。

 それに対して、

「以前は難しいと答えたんだが……今なら『作れる』と答えられるぞ。もっとも、それなりの時間が必要になるから、今すぐにってのは無理だけどな」

 なんていう返答をするラディウス。

 そして、ふと思う。

 

 ――うん? そう言えば、トンネルは隠蔽されていたと言っていたな。

 隠蔽……。そして、トンネル……か。

 こちらもトンネル……のようなものを使うとかすれば、あるいは……

 

 と。

なんだか思ったよりも説明が長くなってしまいました……


とまあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなりまして、10月29日(日)を予定しています!


※追記

ラディウスの思考部分に「――」が入っておらず、地の文との区別がつかなくなっていた所を地の文の表現に調整しました(こっちの方がわかりやすかったので)

「 」が途中で閉じられておらず、同一人物が話しているかのようになってしまっている所があったので修正しました。

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