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第12話 隠れ拠点。アーディスと帝国北方。

 ――イザベラに直接聞かないとそこら辺は分かりそうにないが、イザベラの性格や雰囲気からすると有り得そうなんだよなぁ……

 まあ、もしそうであったとしたら、何故そんな事をしたのかという『理由』が今度は謎だが。

 無論、いくつか考えられる可能性自体はあるが……

 いや……どの道、近い内に再度遭遇する事になりそうな気しかしていないし、その時に上手く情報を引き出せればいいか。

 

 思考の結果、そんな結論をラディウスが出した所で、

「ところで、そのアーディスってどの辺りなの?」

 と、広げられた地図を見ながらセシリアが問いの言葉を発した。

 それに対してメルメメルアが、とある森林地帯を指さす。

「ここなのです」

 

「ここって……向こうの世界だとどの辺り? 随分と北の方だけど……」

 セシリアが首を傾げながら呟くと、

「そうだな……。おおよそだが、ガルディア砦の向こう側――ヴィグナス城のある辺りだな」

 と、ラディウスが答える。

 

 そう……それはラディウスが時を遡ってくる直前に、ラディウスの生み出した兵器によって破壊された城である。

 

 ――あの辺りが、こちらではアーディス州と呼ばれているとはな……

 

 ラディウスがなんとも言えない感情でそんな事を考えていると、ルーナが首を傾げながら疑問の声を発する。

「ヴィグナス城? 北の国の王城かなにか?」


「ううん、北の国の王城はもっと北東だね。ここは『辺境伯』――要するに国土防衛を担う伯爵家の居城だよ。たしか、古いお城を改築して使っているとかなんとか」

「へぇ、そうなのね。北の国の事って、良く知らないのよねぇ……私」

 セシリアの説明を聞いたルーナが、ため息混じりにそう返して首を横に振る。

 それに対してセシリアが、

「まあ、グランベイルから見たらかなり遠い場所だからね。そこまで気にしないのが普通だと思うよ。仮にあの国が攻め込んで来たとしても、王都よりも更に遠い位置にあるグランベイルにまでやってくるような事はないだろうし」

 と、そんな風に言って肩をすくめてみせた。

 

「その一夜反乱というのが起こった後は、どうなったのですか? です」

 と、カチュアが疑問の言葉を口にした。

 

「アーディス州の半分近くは、人がほとんど住んでいない土地になっているのです。……というのも、アーディス州最大の都市であったレヴァルタが一夜反乱の際に徹底的に破壊され、焼き尽くされたですが、その炎は周囲の森林地帯をも焼いたのです。そして今では州の半分近い土地が、草木の生えていない赤茶けた荒野か腐った沼地と化し、人や獣のみならず、魔物ですらあまり生息していないような状況なのです」

 カチュアの問いかけに対し、そう答えるメルメメルア。

 

「うわぁ……そんな事になっているんだ。見せしめだとしても、ちょっとやり過ぎって感じ」

「……その一件ですが、どうもベルドフレイム兄様……そして、父様がその地で『何か』を探していたようです。そして、その為にレヴァルタと森を焼いたとも……」

 セシリアに続くようにして、そんな事を口にするリリティナ。

 

 それに対してセシリアが、「そこまでして探す物って?」というもっともな問いの言葉を投げかけると、

「すいません、そこに関しては分かりません。というのも、私も偶然執務室の前を通りかかった際に、中から兄様と父様が何やらそのような話をしていたのを聞いてしまっただけなので……」

 と、そう説明してくるリリティナ。

 

「なるほどね……。前皇帝と現皇帝が秘密裏に何かしようとしていた……といった感じかしらね? そして、その為に必要となるものが、アーディス州のどこかにあった……と」

「うん、そういう事だろうね。それと……なんだろう? なんとなく、イザベラもその辺りに絡んでいそうな気もするんだよねぇ……」

 ルーナとセシリアがそんな風に言うと、リリティナが考える仕草をしながら、自身の意見を述べる。

「――処刑されそうになった側ではあるので、直接的に絡んでいるようには思えませんが、間接的に絡んでいる可能性はありそうですね」

 

「……イザベラの事はさておき、なんだか色々な物が『北方』に集中しているな」

「言われてみると、たしかにそうだね。帝国軍も南方より北方を重要視しているみたいだし」

 ラディウスの発言にセシリアがそんな風に返しながら地図を見る。

 

「一度、『北方』をしっかり調べてみたい所だが……」

「……それには、帝国軍どうにかしないと駄目なのです」

「ああそうだな、その通りだ。とはいえ、すぐにそれをどうこう出来るものではないし、今は出来る所から順番に事を進めていくしかないんだけど……な」

 メルメメルアに対して頷きながらそう返し、ラディウスは机の上に置いた調整中のガジェットへと目を向けるのだった。

帝国北方に辿り着くと、この話もかなり終わりが見えてきます。

(まあなんというか、一番最初に北方で時を超えて(物語が始まって)いるので、時の(物語の)流れの収束地点もまた北方になる……という感じでしょうか)


というわけで(?)ここからは、そこに向かって着実に進んでいきますよ!

(と言っても、ガーディマ遺跡とか魔軍とかもまだ残っているので、簡単には行きませんが……)


とまあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなりまして……10月22日(日)を予定しています!

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