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第9話 隠れ拠点。部屋に戻りて。

「あ、ラディ、さすがだね。しっかり伝わってくれて一安心だよ。もし伝わってなかったらどうしようって、ちょっと思っていた所だったし」

 ラディウスがグローリアを背負ったまま作業室へ入るなり、セシリアがそう言ってきた。

 そんなセシリアに対し、ラディウスはグローリアを床に下ろしながら、「まあなんとかな」と返事をする。

 そして、そのまま部屋の中を見回してから、

「……で、ザイオンがいない所を見ると、そっちも確保した感じか?」

 と、問いかけた。

 

「あ、うん。こっちで捕まえた奴は、ザイオンが下のフロアにある独房に連れてったよ。ラディたちが捕まえてくれたそっちの奴も連れていかないと、だね」

「ああ、たしかにそうだな。それじゃあそこへ運ぶとするか。どうやって行けばいいんだ?」

 ラディウスがセシリアの発言に頷き、そう問いかけた所で、

「それなら俺が運んでいくから大丈夫だ」

 と言いながら、ザイオンが部屋に入ってくる。

 

「おっと、戻ってきたのか。そのまま尋問なりなんなりしていると思っていたぞ」

「いや、さすがにグローリアを運ぶ手間までかけさせるつもりはないさ。……まあ、そうは言いつつも、ここまで運んで来させてしまってはいるが……」

 ラディウスに対してそう返事をして頭を下げるザイオン。

 それに対してラディウスは、

「なに、大した手間でもなかったから気にするな。――ここから先は任せる」

 と言いながら、グローリアを見る。

 

「ああ、任せてくれ。色々な意味でな」

 そう返事をしつつグローリアを担ぎ上げるザイオンに対し、ラディウスが言葉を投げかける。

「――そうだ。可能ならでいいんだが、魔法をキャンセルするガジェットをどこで手に入れたのかを聞き出してくれるとありがたい」

 

「あ、やっぱりそっち『も』あのガジェット持ってたんだね」

 ザイオンが返事をするよりも先に、セシリアがそんな風に言う。

 

「……『も』という事は、セシリアたちの方のスパイも、あれを持っていたのね」

 ルーナが腕を組みながらそう口にすると、

「そうそう、だから私が剣の腹をバチコーンって叩きつけて対処したんだけど、そっちはどうやって?」

 と、セシリアが首を傾げつつ問い返す。

 

「バチコーンじゃ済まない気がしますです……」

 なんていうカチュアのツッコミめいた呟きを聞きながら、

「魔法の発動を自動的にキャンセルする仕組みは良く分からんが、魔力によって魔力を霧散させているであろう事は大体想像がつくからな。ならば、圧倒的な量の魔力をぶつけてやれば、ガジェット側の魔力が枯渇すると踏んだんだ」

「ええ。だからラディが高威力の魔法を発動させる事でガジェットの魔力を枯渇させて、そこに私が魔法を叩き込んだのよ」

 と、そんな風に説明するラディウスとルーナ。


「うわぁ……。魔法の力押しというかゴリ押しというか……ラディじゃないと無理な方法だよね、それ……。まあ、さすがって感じだけど」

 と、感心と呆れの入り混じったなんとも言い難い表情でそう返すセシリア。

 

「たしかになかなかとんでもない方法だな。――っと、それはともかく……ガジェットの出処については、俺たちも気になる所だかんな。しっかり情報を得ておくさ。あとは、向こうの世界のスパイをどうにかしたい所だが……」

 ザイオンがそう言うと、

「話を聞く限り、なかなか難しそうな感じだよねぇ。……イザベラを上手く使えば、どうにか出来るかもしれないけど……それには、イザベラをまずどうにかしないといけなくて、そこのリスクもあるのがねぇ…」

 と、ため息混じりに返すセシリア。

 

「イザベラですか……。あの人に関しては、次に接触してくるまでに方針や対処を決めておかないと駄目な気がするのです」

「ああそうだな。だがまあ、今はガジェットを作るのが先だ」

 メルメメルアの発言に対して頷きつつ、そう告げるラディウス。

 それに対して、メルメメルアも頷いてみせる。

「もちろんなのです! ささっと作るのです!」

 

 そんなメルメメルアたちを見ながら、

「私はその間に、リリティナさんから色々聞いておきますです」

 と告げるカチュア。

 それに続くようにして、セシリアも言葉を紡ぐ。

「それなら、私もそうしようかな。いくつかヴィンスレイドの件で気になる事があるし」


「――俺はしばらく戻って来られないと思うが、もし何か用があったら、そこの3番と書いてある伝声管から呼びかけてくれ」

 ザイオンがそんな風に言いながら、部屋の隅に並ぶ伝声管へと顔を向ける。

 

「3番だな。了解だ」

「んじゃ、改めてこいつらとちょいとばかし話をしてくるぜ」

 頷いたラディウスにそう返しつつ、ザイオンがグローリアを担いだまま部屋の外へと出ていく。

 

「それじゃあ、俺も早速調べるとするか」

 ラディウスはそんな風に呟きながら、魔法をキャンセルするガジェットを机の上に置くと、早速あれこれと調べ始めるのだった――

第8節はそろそろ区切りがつく想定です。


といった所でまた次回! なのですが……都合によりしばらくの間、火曜日が更新出来ない関係で、しばらくは『木曜日』と『日曜日』が基本的には更新日になります(状況によって1日程度前後したりはしますが……)


その為、次の更新は……10月12日(木)を予定しています。

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