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第7話 隠れ拠点。拘束魔法とキャンセル。

「ところで、南へ向かうのは良いけれど、北はどうするの? 見張り役ならば、放っておくのは危険じゃないかしら?」

 グローリアと表示されている人物のもと――作戦会議室と思しき場所――へと向かう途中、ルーナがラディウスに対してそう問いかける。

 

「そっちはセシリアとザイオンがどうにかすると思うぞ。だからこそ、俺とルーナに倉庫へ行かせたんだろうし」

「なるほど……。私たちがグローリアという人物を確保するのを見越して、あっちももうひとりを確保するべく動くってわけね」

「そういう事だ。っと、あそこを右に曲がった先だな」

 ラディウスはそんな風に応えつつ、マリス・ディテクターで動きがないかを確認する。

 

「まだ動きはなさそうだな。メルたちが通信を行っている最中って所か?」

「なら、一旦そこの所に隠れて様子を伺ってみましょうか」

 ラディウスにそう返事をするルーナに従う形で、角の部分を利用して身を隠しつつ、様子を伺う。

 

「特に『作戦会議室』とか書かれているわけじゃないけど、グローリアという人物がいる以上、ここで間違いのよね?」

「そうだな。あの扉を良く見ると防音と障壁の常駐魔法が展開されている上に、ご丁寧に魔法による鍵までつけられている。あそこが作戦会議室で間違いないだろう」

 小声でそう会話しつつしばらく待機していると、ガチャンという音と共に扉が開かれた。

 そして、

「ありがとうございましたです」

「いえ、このくらいはお安い御用です。私は今の通信が傍受されていないか確認してから戻ろうと思いますが、おふたりとも帰りは大丈夫ですか?」

「はいです。道順は覚えたので大丈夫なのです」

 なんていう会話と共に、3人が姿を見せる。

 

「やっぱりグローリアだけ『残る』つもりみたいね」

「だな、予想通りだ。――あの扉、外から強引に開けるのには時間がかかる。メルとカチュアがグローリアから離れたら、扉を閉められる前に踏み込むとしよう」

「ええ、了解したわ。拘束用の魔法を組み込んだガジェットはバッチリ持ってるから、いつでもいけるわ」

「わかった。なら(さっ)そ……ん?」

 ラディウスはルーナに対して頷いてみせた所で言葉を切る。

 念の為にと解析を行ってみた所、何らかの常駐魔法が引っ掛かったのだ。


「いや、ちょっと待った。常駐魔法が発動しているな……」

 そう言ってラディウスは更に解析を進め、その常駐魔法についての詳細を確認し始める。

 そして程なくして、

「……あのグローリアという女スパイ、どうやら自身に向けられた魔法の発動を自動的にキャンセルするガジェットを持っているみたいだな」

 という解析結果をルーナに告げた。


「自動的にキャンセルって……。それはまたなんともレアな物を持っているわねぇ。どこかの古代遺跡とかで見つけたのかしら?」 

 そんな風に言って首を傾げるルーナに対し、

「おそらくそうだろうな。あのレベルのものはこっちの世界の技術力でも生み出せないと思う。そして、俺の魔法でもアレが発動したら確実にキャンセルされる」

 と答えるラディウス。


「そこまでの性能があるだなんて、驚きだわ」

「まあでも、高威力の魔法をぶつけてやれば、常駐に必要な魔力を全部奪えるとは思う」

「なるほど、実質的には1度だけ防がれるって感じね。もっとも、初手を封じられるという事に変わりはないけれど、でもそれなら――」

 ラディウスとルーナがそのまま二言三言やり取りした所で、メルメメルアとカチュアがグローリアから離れた。

 

「おっとまずい!」

「今の方法で仕掛けましょ!」

「ああ、行くぞ!」

 ラディウスの掛け声と共にふたりが加速魔法で加速しつつ、一気に移動。

 メルメメルアとカチュアの横をすり抜けた所で、ラディウスがグローリアを標的に、影から巨大な剣を出現させる魔法を発動。


 ……させようとするも、その直後、パキィンという破砕音と共にそれがキャンセルされる。

 しかし、同時に常駐魔法の反応が消失した事も、常駐魔法のサーチを通してラディウスに伝わった。


「よし! 魔力が枯渇したぞ!」

 ラディウスがそう告げると同時に、ルーナが拘束魔法を発動させた。

 既にグローリアのガジェットには、魔法をキャンセルさせるのに必要な魔力が残っておらず、グローリアは無抵抗のまま、強烈な電撃を纏った蛇に絡みつかれて「ぎっ!?」という短い悲鳴と共に、その場に倒れ伏した。


「それ、拘束どころか気絶させてないか……?」

「……そ、そうね。拘束魔法って、これまで使う機会がなかったから威力と性質の調整をミスっていたかもしれないわ」

「というか、確実にミスってるな……」

 と、少し呆れ気味に言いながら倒れ伏すグローリアに近寄るラディウス。


「き、気絶で済んでる……わよね?」

 ルーナがバチバチと放電を続ける蛇を消滅させながら、そんな問いの言葉を投げかけた。

 それに対してラディウスは、グローリアが生きているかどうか確認しつつ返事をする。

「……とりあえず大丈夫そうだな。とはいえ、後で調整は必要そうだけどな」


 それを聞いたルーナは、ホッと胸を撫で下ろし、

「そ、そうするわ……。『拘束』だから、強すぎても弱すぎても駄目なのが難しいわね……」

 なんて事を言いながら肩を落とした。


「え、えっと……ラディウスさんにルーナさん?」

「どうしてここにおふたりが?」

 驚きの表情で硬直していたカチュアとメルメメルアが今更ながら、ラディウスとルーナに対してそう問いかける。

 

「ま、色々あってな。スパイを取り押さえにきたんだ」

 と答えるラディウスに対し、カチュアが更に問う。

「ス、スパイ!? ま、まさかグローリアさんがですか!? です!?」

 

「そのまさかという奴だ。とりあえず改めて拘束しなおしてから説明するから、ちょっと待ってくれ」

 ラディウスはそう告げると、改めて拘束魔法でグローリアを縛り上げてから、これまでの事をふたりに対して説明し始めるのだった――

なんというか、今回は『無自覚にラディウスのチートを引き継いでしまったルーナの、やりすぎ魔法の回』みたいな感じになってしまった感がありますね……

(もっとも、魔法キャンセルを魔法1回で使用不能にしてしまうラディウスも大概ですが……)


ま、まあ、そんな所でまた次回! 次の更新は月初めで色々と立て込んでいます為、平時よりも間が空きまして……10月4日(水)を予定しています。

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