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第4話 隠れ拠点。企みと企み。

「それで、この後どうする感じ?」

「そうだな……。セシリアがあそこでああ言ったという事は、一番怪しいのは、メルとカチュアと案内しているあの女性だ。ザイオンが実は……という可能性も考えたんだが、もしそうだとしたら、もっと前に何らかのアクションをするはずだからな」

「なるほど……。たしかにそうね。なら、作戦会議室へ向かう感じかしら? 場所がどこなのかさっぱりだけれど……拠点内の地図とかこの辺りにないかしら?」

 ラディウスの説明を聞いた、ルーナはそんな風に言いながら、拠点内の地図がないかと思い、周囲を探る。

 

「さすがにないだろうな。だが、緊急性が高い状況であるのなら、他のやり方をするはずだ。あんな風に遠回りな告げ方をしてきたという事は、あのふたりをすぐに追う必要はないという事だろう」

「言われてみるとたしかにそうね。……でもそうだとしたら、セシリアは私たちに一体何をさせたいと言うのかしら?」

 ラディウスの言葉に納得したルーナだったが、新たな疑問と共に首を傾げる。

 

「正直、それに関しては俺も良く分かっていない。ザイオンやセシリアが動けない状況にあって、俺たちが動かないと駄目だというのは分かるが……」

 ラディウスはそんな風に返すと腕を組み、思考を巡らせながら続きの言葉を紡ぐ。

「いや、待てよ……。思えばザイオンが急にセシリアに対して、『この周辺で注意すべき地点がないか教えてくれ』という話を振ったのが、そもそも妙だな」

 

「そうねぇ……たしかにちょっと変な感じがするわね。ザイオンは私たちと同じく向こうの世界との行き来が出来るわけだから、テオドールさんとかに相談すればいい話だし」

「ああ、その通りだと俺も思う。だからあれは諜報に長けた人間ならば、『何か』を理解するのではないかと考えて、ああいう言動をとったんじゃないだろうか?」

 ラディウスがそう推測を述べると、ルーナの方も考えながら、

「うーん……。となると、ザイオンが向こうの世界でこの拠点にスパイが入り込んでいるという情報を得て、それを私たちに伝えようとしてきた……とかだったり?」

 という推測の言葉を口にした。

 

「なるほど、その可能性は高いな。俺たちとザイオンたちとはリンクが繋がっていない。何かを伝えようとしたら、直接話すか、ああいった方法と取るかしかないだろうし」

 ルーナの推測に納得したラディウスは、あれこれと考えながらそう返すと、こめかみに人差し指を当て、

「……もっとも、セシリアが向こうの世界に移動して俺たちに伝えて来なかったのは良く分からんが」

 と、呟くように言った。


 それに対してルーナは、うーんと唸ってみせてから言葉を紡ぐ。

「たしかにそうね……。なるべくカチュアを無窮の混沌に戻したくなかったから……とか?」


「そうだなぁ……。その可能性はないとは言えないな。実際、無窮の混沌については良く分からんし、唐突に妙な力が働いてリンクが崩壊する可能性もないとは言い切れない状況だから、俺もなるべく向こうへ行かないようにしているし」

「ええそうね、私もそうしているわ」

 ルーナはラディウスに対して頷きながらそう返すと「――話を戻すけれど」と切り出してから、そのまま更に言葉を続ける。

「ザイオンが直接話して来なかったという事は、それをするのが不可能な状況下にある……ってわけよね」


「そうなるな。……あの部屋に対する盗聴、盗撮……そんな所だろうか」

「たしかにその辺りが一番ありえそうな感じだけど、でもそれって今更じゃないかしら? あの女性がいつからここにいたのか知らないけど、とっくに盗聴も盗撮もされていそうな気がするわ」

 ルーナはラディウスの発言に納得しつつもその点が気になり、そんな風に返して肩をすくめてみせる。

 

「それはまあそうだな。だが、既に盗聴や盗撮がされていたとしても、その情報は『敵』に渡っていないんじゃないか?」

「なるほどね……。ここって周囲との接点がないし、通信装置は作戦会議室にしかないしで、中で得た情報を外に伝えるのは結構難しそうだから、あり得るわね。いくら通信装置の場所を知っていても、無断で作戦会議室に入って使おうものなら、すぐにバレるだろうし」

「ああ。あの女性――スパイにとって、今日この時が絶好の機会だというわけだな」

「でも、すぐにあの女性の動きを阻止しようとかそういうわけじゃないのよね? 一体どういう事なのかしら?」

 一応納得は出来たものの、やはりそこが疑問として残るルーナがそんな風に言う。


 ラディウスもまたその点はたしかに疑問が残っていた為、「うーん」と唸りながら考え込む。

 

 ――そうだな……。スパイとてメルやカチュアを害してまで通信を行うような真似はしないはずだ。そんな事をすればそれこそ即バレる。

 だとすると、あちらもこちらも動くべきはその後……か。

 しかし……そもそもの話として、メルやカチュアを囮に使うような方法をセシリアがOKするとは思えない。だとすると何かがあるはずだが……

 ……俺たちをここへ誘導した事、直接話して来なかった事……それらにも意味があると考えるとどうなる……?


 と。

今回は他に区切れそうな場所がなかった為、ちょっと長くなりました……


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も平時通りの間隔となりまして、9月24日(日)を予定しています!

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