表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

474/636

第2話 隠れ拠点。それぞれの行動。

「ふぅむ、これはまた随分と色々な機材が揃っているな。これだけ機材があれば、材料以外で困る事はなさそうだ」

 ラディウスは開かれたドアから部屋の中に入りつつ、周囲を見回してそう呟くように感想を口にする。

 

「ああ、材料なら向こう側の世界との行き来が出来るメンツで、ストレージのガジェットを使って各地の拠点に『輸送』しているからな。倉庫にいけば色々あるぞ」

「おっ、そうなのか。なら割と簡単に作れそうだな」

 ザイオンの説明を聞いたラディウスがそう返した所で、ルーナとセシリアもまた納得顔で、

「あ、なるほど。たしかにそうやって物を運べば、バレにくいわね」

「うん。この山道にそのまま物資を大量に運ぼうとしたら、この辺りに張り巡らされている帝国の監視網に引っかかっちゃうと思うけど、少人数の移動であれば引っかかりにくくなるね」

 と、そんな風に言った。

 

「この辺りの帝国の監視網……です? セシリアさん、帝国の監視網なんて調べてあったですか?」

「あ、うん。一応、念の為来る前に少しだけね。まあ、装甲車1台で移動するくらいなら引っかかりそうになかったから、特に言わなかったけど」

 メルメメルアの問いかけに対してセシリアがそう答えると、

「そういう所は、さすが諜報員って感じがしますです」

 と、カチュアが感心しながら言葉を紡ぐ。

 

「褒めても何もないよ!」

 などとちょっとだけ恥ずかしそうに返すセシリア。

 そんなセシリアに、

「ふむ……。なら、ちょいとばかしこの周辺で注意すべき地点がないか、諜報員としての視点で見て教えてくれないか? セシリアのような諜報系の人間がここは少なくてな。敵の諜報に対する『隙』がないかが少し不安要素だったりするんだわ」

 と、言いながら部屋の奥に丸めて置かれていた地図を作業机に広げるザイオン。

 

「あ、うん、ラディが例のガジェットを作っている間、私は特にする事ないから別にいいよ」

 そう返事をしつつ、机に広げられた地図を眺めながら、ザイオンとあれこれ話をし始めるセシリア。

 

「うーん……。なんというか、セシリアって聖木の館の制圧戦では部隊長もやっていたし、ほとんどゼグナム解放戦線の人間と変わらないわね……」

 セシリアを見ながらそんな事を呟くルーナ。

 それに対してラディウスは、

「ま、セシリアは元々そういう方向に特化しているタイプでもあるし、水が合っているってのもあるんだろうな」

 と、返事をする。

 そしてそのまま、壁へと移動すると装甲車から取り外してきたガジェットを設置し、

「で、俺たちは『こっち』に特化しているタイプだ」

 と言いながら起動。再びリリティナの姿が壁に映し出される。

 

「早速だが、情報を得ながらガジェットを作るとしよう」

「そうね。それで……なにから手をつければいいのかしら?」

 ラディウスに対して頷きつつ、そう問いかけるルーナ。

 

「カチュアとリリティナを、無窮の混沌から引っ張り上げる為の物――ガジェットを作るのが最終的な目標ではあるが……いきなりそれを作るのは難しいというか、色々と他に補助機能となるガジェットが必要そうな感じなんだ。だから、まずはそれらを作っていこうと思う」

「なるほどね。結構大変な感じだけど……でもまあ、どうにかなりそうな気がするわ」

 ラディウスの説明に腕を組みながらそう返すルーナ。

 そのルーナに対し、

「ああそうだな。ただ、これと同時にあの子――ディーゲルさんの娘さんの件もどうにかしないといけないってのがあってな。ディーンさんの調査がどうなっているのかが気になる所でもあるんだよな」

 と、顎に手を当てながら言う。

 

 それを聞いていたカチュアが、

「あ、それはたしかにその通りですです。こっちの世界には『通信』が存在していますです。それを使えば、状況を確認出来る気がしますです。ザイオンさん、通信装置の類はどこかにありますか? です」

 と言って、ザイオンの方へと顔を向ける。

 

「通信装置ならこの基地の一番奥にある作戦会議室にあるぞ。傍受されないように複数の対策を施す必要があった関係で、どうしてもそこにしか設置出来なかったんだ。ちょいと案内出来る奴を呼ぶから待ってくれ」

 ザイオンはそう言うと、壁際に移動し、設置された伝声管から用件を伝え始める。

 

「伝声管か。なるほど、あれならこの基地内でのやり取りに通信は必要ないな」

「たしかにその通りなのです。良く出来ているのです。――あ、そうなのです。作戦会議室には私も行くのです」

 ラディウスの発言に対し、頷きながらそう告げるメルメメルア。

 

 そんなメルメメルアを良く見ると『今度こそ、カチュアをひとりにするわけにはいかない』と言わんばかりの顔をしており、ラディウスもルーナもそれを理解した。


 それゆえにふたりは、

「ああ、そっちは任せた」

「ええ。こっちはとりあえず私とラディでやっておくわ。戻ってきたら手伝いを頼むかもしれないけど」

 と、そんな風に返事をするのだった。

相変わらず同時並行であれこれ進んでいる上に、話が広がっているので、なかなかややこしくなっていますが、ここからはひとつずつしっかり片付けていきます。

さすがにこれ以上、同時並行で進行するような展開にはならない……予定です。


とまあそんな所でまた次回! 次の更新も平時通りの間隔となりまして、9月18日(月)を予定しています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ