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第9話 黒き闇、世界の深淵。剣と異能。

「でも、誰がどうやって探知するの?」

 というもっともな疑問を口にするセシリア。

 そしてそれに続くように、メルメメルアもまた、

「カチュアにその剣を持たせて向こう側へ――無窮の混沌へ行ってみるとかです?」

 と、そんな風に言う。

 

「それに関しては、必ずこうすれば成功すると言える方法がなくて申し訳ないのですが、私の時は妖姫の肉体の方から『語りかけてくる』というか『引っ張られる』というか……ともかく、そのような妙な感覚がありまして、それに従った感じだったので、今回は剣から感じる力を確認しつつ異能を使う感じで、いけるのではないか……と、そのように考えています」

「なるほど。『出来るかも』って言ったのは、やり方自体が通じるかどうかわからないって意味も含んでいるわけね」

 リリティナの発言に対してルーナが得心がいったと言わんばかりの表情でそう返す。

 そして、それにリリティナが頷いて見せる。

「はい、その通りです。妖姫の持ち物、かつその力が強く宿る物としては、私はあの剣以外知らないものでして……」

 

「まあ、当人に聞いてみるのが一番じゃないか? ちょっと待っててくれ。――ああいや、こっちでは一瞬か」

 ザイオンがそんな風に言った数秒後、

「――で、妖姫が言うには自分の方からも働きかけてみるから、リリティナ姫の言った通りの方法で試してみて欲しいとの事だ。ただ、別の人間の肉体や魂を見つけるとなると、リリティナ姫の時と同じ方法では難しいらしく、失敗するかもしれない……というか、失敗する率の方が高いらしい」

 と、そう言葉を続けた。

 

「あ、聞いてきたんだ」

「実際に話を聞いたのは、直接その近くにいるアルフォンス様やクレリテ様だけどな」

 セシリアに対してそんな風に返事をして肩をすくめてみせるザイオン。

 

「ふむ……。まあ失敗する率が高いとはいえ、まずは試してみないとって話だな」

「そういう事になりますですね。早速ちょっと試してみますです。ラディウスさん、剣を貸してくださいです」

 カチュアがラディウスの発言にそう返しつつ、顔を向ける。

 それに対してラディウスは、

「ああ。3分くらいしたら、一旦成否に関わらずこっちに戻ってくるとしよう」

 と言いながら、カチュアに漆黒の剣を手渡す。

 

「わかりましたです。それでは、早速試してきますです」

 と口にすると、暗黒に覆われた場所……無窮の混沌の光景を思い浮かべる。


 ――次の瞬間、即座に視界が切り替わり、カチュアは視界が暗闇に覆われ、靄が纏わりついてくるのを感じた。

 

 ――ぐ……うぅ……。重い……ですです。

 カチュアが全身を押し潰さんとするかの如き重圧に呻きつつ、右手の先にある『剣』の感触を確かめる。

 

 ――何かを持っているような感じが全然しませんですが、左手に比べるとなんとなく違和感がありますですね……。

 この右手の方向に向かって異能を浸かってみれば……?

 

 カチュアはそんな思考を巡らせつつ早速試してみる。

 

 ……しかし、何も感じなかった。

 というより、そもそも異能が発動したような感じがしなかった。

 

 ――これ以上は無理そうですです……

 カチュアは心の中でそう呟きつつ、装甲車の中の光景を思い浮かべる。

 

「カチュア、どうだったのです?」

「駄目そうですです。というか……そもそもの問題として、私の力自体が発動しない感じでしたです」

 メルメメルアの問いかけに首を横に振ってそう答え、ラディウスに剣を返すカチュア。

 

「力が発動しない……ですか。なるほど、無窮の混沌では異能も抑え込まれている……と考えた方が良さそうですね……」

 残念そうな表情でそんな風に言うリリティナに続く形で、

「今聞いてきたんだが、妖姫の方は自身の剣の力はなんとなく感じられたものの、位置まではわからなかったそうだ」

 と、ザイオンが告げる。

 

「ふーむ。なんとなくでも剣の力を感じられたというのなら、それを増幅してやればいけそうな感じがするな。完全な失敗というわけではなさそうだ」

 ラディウスが呟くようにそんな事を言うと、セシリアがそれに対して首を傾げながら問う。

「ん? 何か増幅する方法を思いついたの?」

 

「以前、『遠隔操作を逆探知する』ガジェットを作ったんだが、そいつに組み込んだ術式をベースにすればいけるんじゃないかと思ってな」

 ラディウスがセシリアにそう返事をした所で、そのガジェットに心当たりがあったメルメメルアが、

「遠隔操作を逆探知するというと……レゾナンスタワーでの一件で使った物です?」

 と、そんな風に問いかけた。

 

「ああ、その通りだ」

「逆探知と言えば、マリス・ディテクターの術式も使える気がするのです。あれはただの探知ではなく、悪意や殺意という条件判定が加わっている術式なのです。その条件の対象を変えれば精度が上がるのではないかと思うのです」

「なるほど……たしかにあの術式からメルの言う部分を引っ張り出して改良すれば、そういう効果が得られそうだな。やってみるとするか」

 メルメメルアの言葉に納得したラディウスはそう返しつつ、あれこれと思考を巡らせ始めるのだった――

漆黒の剣に続いて逆探知ガジェットの再登場です。

まあ、あまりにも間が空きすぎているので、別の所(場面)でも使う機会を作っておけば良かったなぁ……と、ちょっと思っていたりします……


とまあそんな所でまた次回! 次の更新は、平時通りの間隔となりまして……9月6日(水)を予定しています!

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