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第3話 黒き闇、世界の深淵。台座と剣と靄。

「たしかに完全に闇だけになった上に、視界がなんか曇っているな……」

 ラディウスがそう呟きながら映像を見続けていると、どんどんと映像が曇り始める。

 と、そこで、正方形の巨大な床……否、台座のようなものが僅かに見えてきた。

 

「台座……よね? 一体なんのためにあるのかしら……?」

「視界が悪すぎてもっと近づかないとわからんな……。何かが大量に突き刺さっているようにも見えるが……」

 ルーナの疑問に、ラディウスは目を凝らして映像を見ながらそう答える。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 そのまましばらくラディウスたちが送られてくる映像を見ていると、視界が悪いながらも突き刺さっている物がなんであるのかが、徐々にはっきりしてきた。

 それは――

「剣……?」

 と、セシリアが呟いたように、台座に大量に突き刺さっている物は剣であった。

 

「どうして剣がこんなに突き刺さっているですかね?」

「わからん……。というかこの剣、どれも大きさがまちまちだな」

 首を傾げるメルメメルアに対し、ラディウスがそんな風に言う。

 そして、それを聞いたセシリアが聖剣をストレージから取り出し、

「私が使っているこの聖剣よりも大きいのもあるね」

 なんて事を呟くように言った。

 

「あ、たしかにありますです。あんな大きな剣、振り回せるものなのですかね? です」

「そうだなぁ……。軽量化魔法が常駐状態で組み込まれているか、あるいは腕力強化魔法を用いるのが前提であれば、まあ……一応、膂力の面は問題ないと思うぞ」

 カチュアのもっともな疑問に対し、ラディウスがそう答えると、

「そうだね。私だってこの聖剣を振り回してはいるけれど、じゃあ、これと同じ大きさの魔法が一切付与されていない鋼の剣も振り回せるのかっていうと不可能だし。そんな剣、膂力を高める強化系の魔法なしだと絶対振り回せないよ」

 と、セシリアがそんな風に言って、やれやれと首を横に振ってみせた。

 

「言われてみると、たしかにその通りですです」

 カチュアが納得の表情でそう口にすると、それに続くようにしてルーナが、

「魔法の付与……。この大量の剣にも、おそらくなんらかの魔法が組み込まれているはずよね? 一体どんな魔法が組み込まれているのか気になる所だわ」

 なんて事を言いながら顎に手を当てた。

 

「術式の解析魔法も偵察ガジェットに組み込んであるから、一応解析出来るぞ」

 ラディウスはそう言いながら、パネルを操作して魔法を発動させる。

 すると、即座に剣に組み込まれている術式が目の前に映し出されている映像に表示された。

 

「用意周到というかなんというか……よくまあ、そんなものまで組み込んだものだな」

 感心しつつも呆れた声でそう言って肩をすくめるザイオン。

 

「偵察中に何らかの術式に遭遇する可能性は十分に考えられるからな。こうしてどこからでも解析する事が可能なようにしておく事で対処しやすくなる」

 ラディウスはザイオンに対してそこまで口にした所で一度言葉を切り、ため息を吐いてからこめかみに手を当て、

「……んじゃないかと、そう考えて組み込んだんだが……いまいちコストパフォーマンスが悪いんだよなぁ……」

 という言葉を続けた。


「っと、それはともかく……。これは何かを抑え込む……あるいは封じ込める為の術式っぽいが――」

「――用途のいまいちわからない術式が幾つも取り囲んでいるわね……。これがなくても、抑え込んだり、封じ込めたりは出来るはずなのだけれど……」

 ラディウスの発言に続くようにして、ルーナがそんな言葉を紡ぎながら、表示されている術式を凝視する。

 

「ううーん……。私の眼では用途を見破れなさそうなのです」

 少し悔しげにそう口にしたメルメメルアだったが、そこで何かに気づく。

「……? 台座の周囲というか……台座から下は、闇ではなくて黒い靄で覆われている気がするのです」


「……なるほど。たしかに一見するとただの闇だが、目を凝らして見てみると、僅かに『流れて』いるのが分かるな」

「もしかして、この術式はあの黒い靄を抑え込んでいるのかしら?」

「そうだな。その可能性は十分に考えられるな」

 ラディウスがルーナに対し、頷いてみせながらそう返事をした所で、

「……この黒い靄……。向こう側の世界で、私を動けなくしてきている黒い靄とほぼ同じものですです……」

 と、カチュアがそんな風に告げたのだった――

黒い靄と剣、そして靄の中にあるものとは?


といった所でまた次回! そして次の更新ですが……お盆前後の諸々の都合により、申し訳ありませんが再び1日多く間が空きまして、8月18日(金)を予定しています。

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