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第5話 動き出すものたち。死の大地へ。

「……なるほど。これはたしかに危険極まりない場所ね……」

 ルーナが装甲車の車内に映し出されている周囲の映像を見ながら、そう口にする。

 

「あんな大きな魔物まで死ぬような瘴気って、シャレになってなさすぎ……」

「まったくだ。毒性が強すぎて、この装甲車じゃなければヤバい所だった」

 セシリアの呟きに対し、運転席の正面に増設されたモニタに表示されているゲージを見ながらそんな風に返すラディウス。

 ゲージは完全に紫色に染まってしまっていた。

 

「ついさっきまでゲージが青かったのに、一瞬で紫に染まり切るとか怖すぎますです」

「ここはそういう所なのです。唐突に、まるでトラップのように、致死級の瘴気溜まりが現れるのです」

 身体を震わすカチュアに対し、そう返すメルメメルア。

 

「昔、帝国軍がここを調査するのに、結構な数の犠牲者を出したらしいからな……」

 腕を組みながらそんな風に言うザイオンに、メルメメルアは頷いてみせ、

「はいです。しかも、多くの犠牲者を出したにも関わらず何も得られなかった事から、最終的には調査を指揮した研究所に対する批判が叫ばれる様になったそうなのです」

 と、そんな風に言った。

 

「研究所の所長であったエリスティアという女性を『魔女』として捕らえ、処刑する事で暴動になるのを抑えたんだったな」

「実際には、ほとんど関わっていなかったというか……批判が叫ばれ始める頃に所長になったばかりだったので、無関係に近かったそうなのです」

 ザイオンに対し、そう補足するように言うメルメメルア。

 

「うわぁ……。明らかにスケープゴートだね、それ……」

 顔をしかめるセシリアに続くようにして、ルーナが首を横に振り、

「酷い話ね……。ちなみに、その前任者――前の所長は?」

 というもっともな疑問を口にする。

 

「逃げたのです。そして、遂に発見する事は出来なかったのです。ただ……当時並行して遺跡で発見された転移装置の復元を行っていた事から、その転移装置を用いて、遥か遠くの地へと逃げたのではないか……という説が今は有力なのです」

「なるほど……。転移装置を使って逃げた……か。ちなみにその研究所とやらはどこにあったんだ?」

 メルメメルアの話に納得しつつ、そう問いかけるラディウス。

 それに対してメルメメルアは、

「帝都近くのゴースノーグ丘陵――向こうの世界だと、ちょうどガーディマ遺跡がある辺りにある……いえ、あったのです」

 と、そんな風に答えた。

 

「……ガーディマ遺跡がある辺り……か」

「こっちの世界では、あの辺りは丘陵地帯になっているのね」

 ラディウスに続く形で、そんな風にルーナが言うと、セシリアが顎に手を当てながらそれに対して返事をする。

「まあでも、あっちの世界も遺跡――浮遊島が全部地面にあったら、丘陵地帯っぽい感じはするけどね」

 

「あー、たしかに空に浮いている部分は、それっぽい雰囲気があるっちゃあるなぁ……。っとと、それはさておき、目的の場所が見えてきたみたいだな……」

 ラディウスはそう口にしながら、映し出されている映像――メルメメルアが言っていた通りの、見渡す限り灰色に染まった何一つ存在しない荒野へと視線を向ける。

 そして……

 

 ――なるほど……。これはたしかに生命の息吹というものを全く感じないな……

 というか……なんだ? この薄ら寒さというか……妙な圧迫感のある不気味さは……

 

 と、そんな事を思うのだった。

死の大地へ足を踏み入れるというよりは、死の大地の周辺へ足を踏み入れる……ですね、これ。


ま、まあそれはそれという事で……といった所でまた次回! 次の更新は平時通りの間隔となりまして、7月30日(日)を予定しています!(ただ、その次はまた1日多く空くかもしれません……)

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