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第1話 動き出す者たち。合流する者たち。

 紋章をひとしきり眺め終え、ラディウスたちが地上へ向かって歩き出した所で、誰かが通路の先からラディウスたちの方へとやってくる。

 

「ん? あれは……」

「ザイオンさんにルーナさん……それとカチュアなのです!」

 ラディウスの呟きに続く形で、歓喜の声を発するメルメメルア。

 

「なかなか戻ってこないから、こっちから出向いてみたわ」

 ルーナがそんな風に言うと、カチュアがそれに続く。

「皆さんのお陰であそこから一時的とは言え出られましたです。ありがとうございますです」


「カチュアの姿を実際にこうして目の当たりにすると、より一層安心するのです!」

 と言って、カチュアに駆け寄るメルメメルア。

 ルーナは、そんなふたりをちょっと微笑ましげな目で眺めてから、

「――そっちは帝国の将を追っていたのよね? 結果はどんな感じなの?」

 と、ラディウスの方へと顔を向け直しつつ問いかけた。

 

「ああ、それに関しては色々あった……というか、ありすぎた」

「ふむ。それなら、上でゆっくり話した方が良いんじゃねぇか? 地上の制圧は完全に完了してるから、どこでも自由に使えるぜ」

 ラディウスの返答に対し、ルーナよりも先にそう返すザイオン。

 

 ラディウスはそれに対して「なら、そうするか」と返事をし、それに同意した他の皆と共に地上へ戻るのだった。

 

                    ◆

 

「――とまあ、そんな感じだ」

「幻将が出てきた上に、そんな話をしてくるなんて想定外にも程があるわね……」

 ラディウスの説明を聞いたルーナが、驚きと呆れの入り混じった何とも言えない表情でそんな風に言う。

 

「だよねぇ……。それで、カチュアの方は?」

「……どうやら、全てが闇に包まれた場所に閉じ込められていて、身動きひとつ出来ないらしいわ」

 セシリアの問いかけにルーナがそう答えると、

「はいです。何故か重さを感じる靄のような物が身体に纏わりついていて、それにこう……圧迫される形で動けないのです」

 と、そう補足するように告げるカチュア。

 

「なるほど、全てが闇に包まれた場所、かつ靄か……。無の空間というわけではなさそうだが、一度閉ざされたら再度繋ぐのは不可能に近いという点に変わりはなさそうだ。まあ、セシリアが残滓を守りきったお陰で、既に繋がりは固着させ終わっているし、その心配は既にないが」

「ひぅっ、セシリアさんがいなかったら恐ろしい事になっていましたです……。ありがとうございますです」

 ラディウスの話を聞いたカチュアがそんな感謝の言葉をセシリアに告げる。

 

「……ううん、あの時、私がもう少ししっかり張り付いていれば、そもそもそんな事にならなかったし……。むしろ、ちゃんと守ってあげられなくて、ごめん……」

「それを言うなら私もそうなのです――」

 申し訳なさそうに返すセシリアに続いて、メルメメルアがそう口にした所で、カチュアがそれ以上の言葉を紡ぐのを遮る。

「――それは違いますです。あの時、あそこに残ったのは私ですです。そして、あそこから不用意に出てしまったのも私ですです。あそこでセシリアさんが来るのを待てば良かったのは間違いありませんです。だから、セシリアさんもメルお姉ちゃんも悪くありませんです。悪いのは私なんですです」

 

「――いいや、それも違うぞ。そもそも全ての元凶はオルディマだ。そして……そのオルディマが、あの場所に踏み込んでくる事を予測しきれなかった俺たち全員のミスでもあると言えるだろう。だから、誰かが悪いわけじゃない。敢えて言うのなら……悪いのは奴らであり、また俺たち全員でもあるんだ」

 ラディウスは、このままでは皆がマイナスの感情と思考へ突き進んでしまうと考え、わざわざ首を横に振って声を少し大きくしつつ、そんな風に告げたのだった。

投稿時間の設定がミスっていた事に気づいて手動で更新しました…… orz


第8話にするか第1話にするか迷ったのですが、一旦第7話(前話)で区切る事にしました。

その為、いきなり節が変わっている状態に……


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も平時通りの間隔となりまして、7月15日(土)を予定しています!

(ただ、その次の更新は平時通りになるかちょっと怪しいです……)

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