表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

453/636

第6話 滅界獣と遺跡。紋章の場所。

「え? 見た事あるの?」

「ああ。朧気ではあるが、昔どこかで見たような感じがするんだ。だが……どこだっただろうか……」

 セシリアの問いかけにそう答えつつ考え込むエレンフィーネ。

 

「エレンフィーネさんは、シルスレット地方の出身なのですよね? シルスレット地方には古い遺跡がいくつかあるのです。そのどこかで見たのではないです?」

 メルメメルアがエレンフィーネに対して、推測でそう問いかけると、

「ふむ……なるほど。言われてみると……」

 なんて返し、再び考え込むエレンフィーネ。

 だが今回はすぐに、

「――そうだ! 孤児院の近くにあったヴェルガノの古城だ!」

 と、声を大にしてそう口にした。

 

「ヴェルガノの古城?」

「それは、かつてシルスレット地方を統治していた『ヴェルガノ=シルスレット二重王国の『ヴェルガノ』側の『仮初めの王城跡』の事であるな」

 首を傾げるセシリアにディーンがそう説明するが、その説明をされてもさっぱりなセシリアは更に首を傾げる。

 それに対してラディウスが、

「……二重王国。つまり……国はふたつあるが、君主はひとり――ふたつの国の君主をひとりで兼ねている――という王国の事だな。おそらく、君主はその『シルスレット』側のどこかに居城を構えていたんだろう」

 と、そんな風に言う。

 それは、地球の『オーストリア=ハンガリー二重帝国』の事を思い出し、おそらくそういう事なのだろうと推測しての発言だった。

 

「なるほど……。王様はひとりしかいないけど、国としてはふたつだから、どこかの城を王が住まう城であると定める必要があったってわけだね」

 納得の表情でそう口にしたセシリアに、ディーンが補足するように、

「まあ、別に定めなくても構わないのだが、かつてのヴェルガノの王国議会は、仮初めであっても定めておいた方が良い……と、そう考えたようだ」

 と、そんな風に言う。

 

「そういう経緯だったがゆえか、あの古城は長い間、誰も使っていなかった割には魔物避けの対処がしっかりとされていて、魔物の類が巣食っていなかった上、城全体を継続的に保守する為の常駐魔法がまだ持続していた事もあって、崩落などの危険性もほとんどなくてな。孤児院の子供たちの遊び場としてうってつけだったのだ」

 エレンフィーネが腕を組みながらそう説明し、うんうんと首を縦に振ってみせる。

 

「古城を遊び場にするだなんて、なかなか面白い事してるね」

 そう言って笑うセシリアに、ラディウスが肩をすくめてみせる。

「……遺跡を遊び場にしていた俺やお前も似たようなもんだがな」

 

 ――もっとも、そのお陰で様々なガジェットの知識を得られたんだが……

 

「で、それはそれとして……この紋章――箱に掘られている紋章がその古城にあったという事は、これはヴェルガノという国の紋章……という事か?」

「……すまぬ。私はその辺りについては少し疎くてね……」

 ラディウスの問いかけに対してエレンフィーネがそう返すと、

「――いえ、ヴェルガノの紋章はこれとは違いますね」

 と、テオドールがエレンフィーネの代わりに告げる。

 

「ふむ……。私がその紋章を見たのは、ヴェルガノの古城の中と言っても、中庭と地下の倉庫に使う予定だったと思しき場所とを繋ぐ通路に、巧妙に隠されていた扉の先……。柱が建ち並んでいる奇妙な広間にあった大きな扉でな。あの広間そのものが古代の遺跡の入口かなにかで、古城はその遺跡の上に造られていた……という可能性も考えられるな」

「なるほど……。古代の遺跡の可能性がある扉……か」

 ラディウスはエレンフィーネの言葉に納得し、呟きつつ思う。

 

 ――シルスレット地方も北北東ではあるな……と。

平時の更新時間よりも少し遅くなってしまいました……


さて、次の更新は平時通りの更新間隔となりまして、7月9日(日)を予定しています!

(……一応、平時通りに更新する想定ではいます……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ