第3話 滅界獣と遺跡。テレポーター。
予定よりも遅くなりました……
「これは……シャッターだな。入口にあった物が閉じるとこうなるのだろうか?」
「おそらくそうであろう。もっとも、ここの物は既に大穴が空いていて進路を塞ぐ目的では使えないがな」
大穴の開いているシャッターを見回しながら呟くエレンフィーネに対し、ディーンがそう言って肩をすくめて見せる。
「穴が開いている所以外もひしゃげているのです。もしかして、あの深淵より来たりしモノが破壊したですかね?」
「まあ、状況的にはそう考えるのが妥当だが……一部分だけ最近まで使われ続けていた可能性がある事を踏まえると、『その最近まで使っていた何者か』が破壊した、あるいは『なんらかの問題が発生して破壊された』……という可能性もありえるな」
メルメメルアは自身の疑問に対してそう返してきたラディウスの言葉に納得し、
「なるほど……たしかにその通りなのです」
と言いながら、開いた穴の先に見える光景へと視線を向ける。
「巨大な台座があるね」
そうセシリアが口にした通り、メルメメルアの視線の先――穴の先には、そう表現するのがもっとも適切だと言える真っ平らなプレートがあった。
なぜならそのプレートは床よりも高く、プレートの上に登るためのスロープが設置されているという、まさに『台座』のような形状であったからだ。
「たしかに台座ではありますが、少し妙な違和感がございますね」
なんて事を口にしたテオドールの『違和感』だが、すぐに判明する事になる。
それは、ラディウスが近づき、
「うーん? このプレートへと続くスロープとプレートは明らかに作られた時代が違うな」
と、そんな風に言ったからだ。
「え? どういう事? どっちも同じ金属で作られているように見えるけど……」
「このスロープもたしかに金属製ではあるが、プレートの金属とは違う。これはただの鉄をプレートの金属と同じ色になるように加工しただけだ。脇を見ると、少し錆びている部分があるだろう?」
首を傾げながら問いかけてくるセシリアに、そう説明してスロープの脇部分を指差してみせるラディウス。
「あ、言われてみるとたしかにここの所、錆びてるね。こっちのプレートは、まったく錆びてないのに」
「ああ。プレートはこの遺跡全体に使われている金属と同じで、錆びづらい金属なり合金なりが使われているんだろう。……まあ、詳しく調べてみないと、この金属がなんなのかまではわからんが」
セシリアに対してラディウスがそんな風に言った所で、ディーンが頷きながら、
「うむ。ミスリルやオリハルコンといった古の時代に生み出された金属は、金と同じかそれ以上に錆びにくい性質を持つと言われておるが……この金属はそのどちらでもないのは間違いない。未知の錆びにくい性質を持つ金属であると言えよう。まあ……これまで色々な遺跡を巡ってきた経験からすると、なんとなくではあるが……ミスリルと何かの合金のようには感じるがな」
と、説明と推測を口にした。
「ミスリルと何かの合金……。ガーディマ遺跡にはミスリル製の壁や天井があったのです。もしかしたらここは、ガーディマの……?」
「ガーディマの遺跡を見た事は残念ながら今までないゆえ、断言は出来ぬが……ミスリルはガーディマが発祥だと言われておるゆえ、その可能性――ここがガーディマの遺跡である可能性は、十分に考えられる事ではあるな」
メルメメルアの言葉を聞いたディーンが顎に手を当てながら、そんな風に言って考え込む。
「……このプレート、ただのプレートじゃないな。術式が組み込まれている」
ラディウスが解析魔法を浸かって判明した事を口にすると、メルメメルアも同じく解析魔法を使い、
「あ、本当なのです。というかこれは……」
と呟くように言いながら、自身の眼を使って用途を調べる。
そして、
「……テレポーターなのです。しかも、見た目――使われている金属こそ異なっているものの、ガーディマ遺跡で見かけたのと同じ物なのです」
と、そんな事を告げた。
色々あって更新が想定していたよりも遅くなってしまいました……
次はいつもの時間に更新出来るようにしたいと思います……
といったところでまた次回!
そして……次の更新も申し訳ありませんが、平時よりも1日多く間が空きまして……6月29日(木)を予定しています。
その次は平時通りの間隔に戻れるのではないかと思っていますが……月末および月初の為、所々諸々の事情により、また平時よりも更新間隔が空いてしまうかもしれません orz
※追記
サブタイトルの後半部分が抜けていたので追加しました orz




