第2話 滅界獣と遺跡。遺跡の状態。
予定よりも更新が少し遅くなりました……
「ここから先……金属の壁になっているね?」
通路をしばらく進んでいった所で、そんな風にセシリアが呟く。
そしてその呟きの通り、それまで石造りだった遺跡は、そこから急に金属製に変わった。
「良く見ると、ここの部分はシャッターの類がありそうなのです」
天井と床を交互に見ながら、そう告げるメルメメルア。
「あ、たしかにメルの頭上と足元に、それぞれ違う形の溝があるね。上は溝がふたつで、下は広い溝がひとつ……。上のふたつの溝の間のアレがシャッターになる感じかな? 他の天井と比べて大差がないから分かりづらいけど……」
「天井や壁と同じ建材で作られているシャッターのようなものは、古代の遺跡では度々見かける故、おそらくここもそれらと同じなのだろう。聖木の館の地下でも似たようなものがあるしな」
セシリアの発言を聞いたディーンがそんな風に言う。
それに対して、
「言われてみるとカードリーダーにカードキーを通すと、壁が階段に変化する仕組みなどは、まさにそれだな……」
と、納得の表情で返すエレンフィーネ。
「でもなんで、こんな作りなのかな?」
「うーん……。手前の石で作られた遺跡部分は、ここから先をカムフラージュする為の物だったか……あるいは、それぞれ別の時代に作られたか……だろうな」
セシリアの疑問に対し、そう推測を述べるラディウス。
それを聞いたセシリアは、
「あー、なるほど。言われてみると、カレンフォート市なんかがそうだったね」
と、カレンフォート市での一件を思い出しながら、納得の言葉を口にした。
「それにしても……。随分と横幅の広い通路が奥まで続いているな……」
「そうだね。しかも、この通路に向かって狭い通路が連なっているような感じだし」
エレンフィーネの呟きに対し、セシリアが周囲を見回しながらそんな風に返す。
「この通路は、何か大きな物を運搬する為に作られた物な気がするのです」
「ふむ。たしかに今まで訪れた遺跡の中には、こういった広い通路を有する遺跡もいくつかあったな……。大体は工場や研究所だったのではないかと思われるような遺跡であったが」
メルメメルアの言葉を聞いたディーンがそう口にすると、
「だとしたら……この遺跡も、以前は工場か研究所だった?」
と言いながらセシリアが首を傾げてみせる。
「うむ、その可能性は大いにあろう。これらの横道の先にそういった設備や機器の遺物が存在しているやもしれぬ」
ディーンがそんな風に答えつつ、広い通路の左右に伸びる狭い通路のひとつへと顔を向けた。
「――たしかにその可能性は高そうですね。この通路ですが、天井の一部が崩落しており、ケーブルやホースのようなものが垂れ下がっているのが見受けられます」
そう言いながら、ディーンの顔を向けた通路の反対側の通路を指差すテオドール。
そして、そのテオドールの指し示す方へと顔を向け、「あ、本当なのです」と口にするメルメメルア。
「こちらの通路は壁が剥がれ落ちて、その裏に隠されていたパイプが露出しているな」
「こうやって良く見ると、所々壊れていて、やっぱり長い間放置されていたんだなっていうのが良く分かるよね。この通路だけ見てると長い間放置されていたとは思えない綺麗さだけど」
エレンフィーネの発言に続く形で、脇の通路を覗き込みながらそうセシリアが言うと、
「……この広い通路とその奥だけ、最近まで使われ続けていたのかもしれませぬな」
と、可能性の推測を述べるテオドール。
「工場、あるいは研究所……。そして、一部分だけ使われ続けていた可能性……か。より一層、この先に何があるのか興味が湧くというものだ」
というディーンの呟きに対し、ラディウスは心の中で同意する。
そして……
――だとしたら、深淵より来たりしモノがここに存在していたのは、何かイレギュラーな問題が発生したせい……とかだったりする……のか?
と、ふとそんな事を思った。
今回の話は遺跡の中核まで行く想定だったのですが……会話が思ったよりも増えて無理でした……
とまあそんな所でまた次回! ……なのですが、申し訳ありません、次の更新も色々あって平時よりも1日多く間が空く形となりまして、6月25日(日)を予定しています……
また、今の状況ですと、もしかしたらその次もまた1日多く間が空く形になってしまうかもしれません……




