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第11話 聖木の館。皇帝宮殿とイザベラ。

 ラディウスにファイルを差し出されたディーンは、

「ふむ? 良く分からぬが拝見させて貰うとしよう」

 と、そう返しつつそのファイルを手に取ると、歩きながらそれをめくっていく。

 

 ディーンは何度か「これは……」だの「なるほど……」だのと呟きながら最後までファイルの中身を確認し終えると、

「――よもや、このような設計図とデータが存在していたとは……。もう少し詳しく調べてみる必要はあるが、このファイルに記されている設計図とデータを上手く使えば、たしかに完成に向けて大きく前進出来るであろう。というか……これをサラリと出してくるあたり、貴公もかなり高度な技術と知識を持っておるな?」

 なんて事を僅かに興奮した様子で口にした。

 

 そして、いつの間にかラディウスを『貴公』と呼んでいる点からも、ラディウスに対する見方がこの短時間で大きく変わった事が良くわかるというものである。

 

「ラディウスさんの技術と知識は段違いなのです。皇帝宮殿のセキュリティを、あっさりと突破――無力化するガジェットを作ってしまうくらいなのです」

「そうだね。ここへ続くカードキーを偽装したり、ドールガジェットを瞬殺したり出来るしね」

 ラディウスがディーンに対して言葉を返すよりも先に、そんな事を何故か誇らしげに告げるメルメメルアとセシリア。


 メルメメルアとセシリアからその言葉を聞いたディーンは、あまりの驚きに絶句。

 思考が追いつかずに、しばし硬直してしまう。

 

 表情をみせた後、コホンと咳払いをしてから、

「……カードキーの偽装やドールガジェットの瞬殺も驚くべき話だが、かの皇帝宮殿のセキュリティを破ったというのがもっとも驚かされた」

 なんて事を口にするディーン。

 

「私としては、ここのセキュリティも大概堅牢だと思っているが、皇帝宮殿のセキュリティはここ以上なのか?」

「うむ。実は皇帝宮殿のセキュリティに関しては、私も一部分だけではあるがその構築に協力していてな。あそこで使われているセキュリティ用のガジェットは、どれもこれもここにある物と比べて、遥かに優れた性能を持つような代物ばかりなのだ。堅牢さで言えば、世界一と言っても過言ではないであろう」

 エレンフィーネの疑問に対し、そんな風に答えるディーン。

 そして、

「それをあっさり突破するなど、並の者では――否、高度な技術を持つ者でも不可能。故にそれだけで、貴公が凄まじく高度な技術と知識を持っている事が見て取れるというものだ」

 と、ラディウスの方を見ながら言葉を続けた。

 

 そんなディーンの顔もまた、ラディウスに対する感情が『興味深い』から『畏敬の念』へと変わりはじめているのが見て取れるような状態である。

 ガジェットや古の時代の技術に対する造詣が深いディーンにとっては、それくらいの驚きであったのだ。

 

「皇帝宮殿のセキュリティ構築に協力……。――ディーンさん、『グロース・インヒビション』を生み出した人間をご存知だったりしますか?」

 ラディウスが、もしやと思いそう問いかけると、

「うむ。その代物であれば、皇帝陛下御自らが何処かより連れて来た『イザベラ』という名の女が生み出した代物だ。もっとも……常にブカブカのローブを纏い、顔を黒いベールで覆っていたような女でな。どんな感じの女だったのかと問われても、身長が私よりもやや高いという事以外は答えようがないが……」

 と、そんな事をサラッと告げるディーンであった――


『生み出した者』の名が遂に登場する形となりました。

……まあ、本当はもっと先での登場を予定していたのですが、展開が単調になりそうな感じだったので、色々とカットした結果、ここでの登場となりました(とはいえ、それでもこの先まだ結構あるので、更にカットするかどうか迷い中だったりします……)


とまあそんな所でまた次回! 次の更新も平時通りの間隔となりまして……4月27日(木)を予定しています!

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