表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

431/636

第10話 聖木の館。制圧と術式について。

「そう言っていただけると助かります」

「はい、我々としてはとてもありがたい申し出でございます」

 ラディウスとテオドールがそんな風に言った所で、

「それなら、1層へ戻って奥を確認しに行く感じで良いんじゃないかな?」

 と、セシリア。


「たしかにそれが良いと思うのです。……ただ、ひとつ気になっているというか……ここの制圧はどうするつもりなのです?」

「それに関しては、そもそも我々だけでは人手不足ではないか? ここはかなり広いようだしな」

 問いの言葉を投げかけたメルメメルアに続くようにしてそんな風に言うエレンフィーネ。

 

「ああ。エレンの言う通り、ここは想定していた以上の広さがあるようだし、俺たちだけで制圧するのは難しい。上から戦力を呼び寄せる必要があるだろう」

 ラディウスがエレンフィーネの言葉に頷きつつ、そう返事をする。

 

「うん、そうだね。そっちは地上で手の空いた部隊から順に、方々へ送り込んでいくしかないんじゃないかな」

 セシリアがラディウスに同意してそんな風に言うと、即座にテオドールが、

「そちらに関しましては今しがた対応いたしましたので、すぐに部隊が到着するでしょう」

 なんて事を告げた。

 

 それを聞き、向こう側の世界を利用して、情報を伝達したというのが分かっていてもなお、その早さに驚くメルメメルア。

「さ、さすがテオドールさんなのです……」


「うん、まったくもって凄いよね。でも、これでメルの気になっている点はなくなったよね?」

「はいです。バッチリなのです」

 問いかけてくるセシリアに対し、そう答えつつ頷いてみせるメルメメルア。

 ラディウスはそれを確認すると、

「よし、それじゃあとりあえず1層へ戻るとするか」

 と、皆に告げ、早速来た道を引き返す。

 

 ……そして、1層へと戻るその道中、ラディウスはディーンに問いかける。

「異形の存在へと変異してしまった者たちを戻す研究を進めていたという話ですが、現在の進捗はどんな感じなんですか?」

 

「うーむ、そうだな……。ようやくわずかにではあるが、道筋が見えてきた……といった所だろうか」

「道筋が見えてきた……です?」

 ディーンの返答に対し、ラディウスよりも先にメルメメルアが首を傾げながらそう問い返した。

 

「実の所、今の段階でも変異の度合いが軽い――あまり進行していない状態であれば戻せる……という所まで来てはいるのだ」

「それは素晴らしいのです。道筋が見えてきたというのに納得なのです」

「うん、そうだね。でも……それって逆に言うと変異の度合いが進みすぎていると、どうにもならない……って事だよね?」

 ディーンの話を聞き、メルメメルアとセシリアがそれぞれそんな風に言う。


「ああ、その通りだ。戻す為の術式の構築――そのベースとなる部分は完成している。しかし、変異の進行が著しい状態の場合、そのベース部分の術式だけでは足りぬ。追加で術式を組まなければならないのだが、その術式がどうにも上手くいかぬのだ」

 ディーンがセシリアに対して頷いてみせながら、そんな風に説明すると、

「ラディがルティカや私を戻した術式って、その辺りに何か使えたりするのかな?」

 と、セシリアが小首を傾げながら疑問を口にする。

 

「ルティカの方は一度切断してレストアしただけだし、セシリアの方は異形化していたわけじゃないからなぁ……」

 ラディウスはセシリアの疑問に対してそんな風に呟くように返事をした所で、ふと思う。

 

 ――いや、待てよ? 妖姫から得た情報を使えば、あるいは……?

 

「もしかしたら……ですが、これを使えば突破口が見えるかもしれません」

 ラディウスはそう言いながら、アルフォンスから受け取ったファイルをストレージから取り出すと、それをディーンへと差し出しすのだった。

例のファイル、ちょっと使っただけでしばらく放置されていましたが……ようやく再び出番がやってきました。

まあもっとも……ルティカから受け取った『剣』よりは放置されていませんが(汗)


とまあそんな所でまた次回! 次の更新は平時通りの間隔となりまして……4月24日(月)を予定しています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ