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第4話 越える者、破る者。そして復活する者。

「――よし、とりあえずこれで必要な場所全てに設置出来たな」

「そうね。アルフォンス猊下が、思ったよりも多くの人員を集めてくれたお陰で、あっという間に終わったわね。猊下にも手伝ってくれた人たちにも感謝しかないわ」

 ラディウスに対してそう返したルーナに続くようにして、

「うん、そうだね。あとでお礼を言っておかないと。……っと、それはそれとして……こっちの世界で片付けておくべき事は、もうなくなったかな?」

 と、セシリアが顎に手を当てながら、ラディウスに問いの言葉を投げかける。

 

「ああ。向こう側で必要になるガジェットの方も準備出来たし、そのガジェットを作るのに必要だった材料の余剰で、リンクを安定化させつつ情報も収集するガジェットも作った。カチュアとのリンクを復活させて、向こう側を――聖木の館の一件を、一気に対処してしまうとしよう」

「やっとカチュアを引き戻せるのです……!」

 ラディウスの返事を聞いたメルメメルアが喜びの声を発する。

 

「まだ向こう側の世界限定だけどな……。だが、向こう側の一件が一段落したら、必ずどうにかする」

「はいです。ラディウスさんを信じているのです!」

 ラディウスに対し、メルメメルアがそう力強く返事をした所で、

「必ずどうにかする……ね。ラディがそこまで言うって事は……何か良い方法を思いついた感じなのかしら?」

 と、問いかけるルーナ。


「朧げにはな。あとはこれを上手く形に出来れば……って所だ。もっとも、その為には色々と情報を集めないと駄目だが……」

「でも……朧げであっても、手段に目星をつけられるあたりは、さすがラディだよね」

 ラディウスの返答に、セシリアがそんな風に言うと、

「ですです。さすがなのです! ……あ、ところで、カチュアとのリンクはどうやって復活させるのです?」

 と、メルメメルア。

 

「向こう側からもカチュアが消えるという事は、カチュアを囚えた術は、向こう側に干渉する仕組みも備わっているという事なんだが、その辺りを例の残滓から解析してみた所、向こう側からその干渉の為の穴……のようなものをこじ開けて、こちら側と向こう側で別々の状態にするという手段を思いついたんだ」

 そう言いながらラディウスは、手榴弾――地球ではおなじみのパイナップル型手榴弾――の形をしたガジェットを取り出す。

 

「ちょっと変わった形状だけど……それって、マジックボムタイプのガジェット?」

「ああ、そんな感じだと思っていいぞ。ただ、発動する魔法がちょっと特殊で、干渉時の歪み……のようなものを干渉を阻害する効果を持った、そういう魔法が発動する」

 セシリアの問いかけに対し、そんな風に説明すると、

「――というわけでルーナ、向こう側の世界でカチュアの居た場所にこいつをぶつけてくれ」

 と続けて、ルーナに手榴弾の形をしたガジェットを手渡した。

 

「ええ、わかったわ。ボムという事は……カチュアが居た場所に叩きつけて衝撃を与えないと駄目よね? あそこ、衝撃を与えられそうな場所じゃないんだけど……」

「ああ、それならそこのピンを引っ張って抜いた状態で、『カチュアの居た場所』に置けば問題ないぞ」

 ラディウスがルーナに対してそう説明すると、

「なるほど……わかったわ! それなら、早速行くとしましょ!」

 と、ガジェットをしっかりと握って、そんな風に答える。


「そうだな。もし上手く行ったら、ちょっとだけこっちに戻ってくるぞ」

「そっちもわかったわ。さ、向こう側へとぶわよ!」

 ラディウスの言葉に頷き、そう告げるルーナ。

 

 それと同時にラディウスたち4人の視界が切り替わり、それぞれ『向こう側で居た場所』へと転移する。

 そしてルーナは、ラディウスによって強化されたクルマの中に戻ってくる。

 

「――このピンを抜いて……っと」

 ルーナはそう呟き、ラディウスに言われた通りガジェットの上部にあるピンを引っ張って抜くと、そのままカチュアが座っていた座席の上に、ガジェットを置いた。

 

 そして、そこから約3秒ほどした所で、ガジェットがパキィンという音と共に砕け散る。

 と同時にその場に幾重にも連なり、遠目でみるとまるで柱のような、少し不思議な形状の魔法陣群が出現する。

 更にその直後、今度はその魔法陣群が急に回転し始め、そのまま座席へと沈み込んでいく。

 

「まるでドリルの類ね……」

 なんて事を術式を見ながら呟くルーナ。

 たしかにその動きはドリルそのものであった。

 

 そんな動きをする魔法陣を眺める事しばし……


 ――魔法陣が完全に床に沈み込んだ瞬間、床がピカピカと光り輝き、カチュアがそこに姿を現した。

というわけで(?)想定よりも結構な遠回りになりましたが、カチュアの復活です。

ここからは聖木の館での話に戻りまして、一気にケリをつける流れになります。

さすがに、ここでこれ以上足踏みはしないのでご心配なく!


といった所でまた次回!

次の更新は、平時通りの間隔となりまして……3月13日(月)の予定です!

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