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第3話 越える者、破る者。優れた技術。

「あ、ラディ、そっちも出来たの?」

 部屋に入ってきたラディウスに気づき、ルーナがそう問いかける。

 

「ああ。って、そっち『も』?」

「ええ。こっちもちょうど必要数分が全て完成した所なのよ」

 ラディウスの問いかけに頷きつつ、そう返すルーナ。

 そして、メルメメルアの方へと視線を向ける。

 

「こんな感じなのです」

 と言って、メルメメルアが箱を開いて中に詰まっているガジェットを、ラディウスに見せる。

 

「どれどれ……」

 ラディウスが箱に近づいてガジェットのひとつをチェックすると、ラディウスが想定していたものとほぼ同じ常駐魔法の術式が組み込まれていた。

 

「うん、完璧だ。というか……小型とはいえ、短時間でこれだけの数を作るだなんて凄いな。さすがだ」

 ラディウスが他のガジェットも見回しつつそう告げると、ルーナとメルメメルアは、嬉しそうに満面の笑みでハイタッチをした。

 それを見つめながら、

「むむぅ……。私も本格的にガジェットの作り方を覚えないと駄目かも……」

 なんて事を小声で呟くセシリア。

 

「ん? 何か言ったか?」

 セシリアの呟きを聞き取れなかったラディウスがそう問いかけると、セシリアは、

「ううん、これを設置し終えたら向こうへ行けるけど、結構数があるなーって思っただけ」

 と、首を横に振ってそんな風に返事をした。

 

「ああ、たしかにその通りだな。んー……とりあえずアルフォンスに頼んで、設置の為の人員を確保して貰うとするか。さすがにこれ全部を、俺たちだけで設置するのは厳しすぎる」

「なら、その間に設置地点を記した地図を用意しておくのです」

 ラディウスの発言を聞いたメルメメルアがそう言いながら、机の上に置かれている地図へと手を伸ばす。


 ルーナがそれに対して、「そうね」と言いつつ壁際のラックに丸めた状態で置かれている地図の枚数を数え、

「うーん……。どれだけの人員が借りられるのかわからないけど、さすがにここにある地図だけじゃ足りなさそうだわ。ちょっと貰って来ないと駄目ね」

 と、呟くように言う。

 

「それなら私が貰って来ようか? どの範囲の地図? 私が推測した条件通りなら、ここからディグロム洞街辺りまでが描かれている地図で良いって事になるけど……」

 セシリアがそんな風に推測して問う。……条件?

 

「ええ、その通りよ。そこが描かれていれば十分だわ。セシリアが推測したように、その範囲内にしか『こちら側』に顕現出来ないというデータもバッチリ取れたわ」

「はいです。そして、条件と合致する場所は他になさそうなのです」

「あ、やっぱりそうなんだ。了解了解! それならすぐに貰ってくるよ、1箱くらい!」

 セシリアはルーナとメルメメルアの返答を聞くやいなや、そう告げて部屋の外へと飛び出していく。

 

「セシリアの推測って……なんだ?」

「セシリアさんがウンゲウェダ・ドラウグの出現傾向から、ウンゲウェダ・ドラウグは天候と気温……そして、『水深』が一定の範囲内に収まっている場所にのみ顕現出来るのではないか……と、そう推測したのです」

「で、ラディが作ったガジェットのコピー品を作って、その辺りを調べてみたら、まさにその通りだったのよ」

「なんでも、一昨日テオドールさんから教わった、状況の要素を分解して分析する技術なるものを早速試してみたそうなのです」

 ラディウスの問いかけに対し、ルーナとメルメメルアがそんな風に答える。

 

「ふーむ、テオドールさん仕込みの状況の要素を分解して分析する技術……か。それはなかなか役立ちそうな代物だな。……っと、俺もアルフォンスの所へ行かないと」

 ラディウスはそう言うと、アルフォンスのもとへ向かうべく部屋から出る。

 そしてその道中……

 

 ――それにしても……テオドールさんから教わったとはいえ、それをすぐに実践して、奴の出現条件を導き出したセシリアも凄いが、俺のガジェットをコピーしたり、それを使って調査を行ったり、俺が作るはずだったガジェットまで短時間で作ってしまったりするルーナとメルも凄いよな。

 うーむ……。俺ももう少し色々出来るようにしないとな……

 

 なんて事を考えるのだった。

ラディウスの周囲の能力が向上していっていますが、ラディウス自身の能力が段違いなので、それでも追いつかないという……(しかも、更に向上しようとしていますし……)そんな話でした。


といった所でまた次回! 

さて、次の更新ですが……申し訳ありません少々予定がありまして、平時通りの更新日に更新が出来そうにない為、その翌日、3月10日(金)に更新する想定です。

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