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第9話 此方と彼方。聖木の館と帝国軍基地。

「――というわけなのです。残念ながら、先の探索では最深部までは行けなかったのです。なので、どういう意図でそんな事が行われているのか……という点は謎なのです」

 メルメメルアがそう言って説明を締めくくると、

「あそこって、そんな仕組みだったのね……」

「最深部に何があるのか気になるなぁ……」

 なんて事を呟くルーナとセシリア。

 

「……そうだな。本格的に探索してみたい所ではあるが、まずは聖木の館の制圧、そしてカチュアとのリンク復活……可能なら救出までするのが先だな」

「だわだわ。聖木の館の実験……というか、『精神制御突撃兵アンウィル・トゥルーパー』についても放っておくわけにはいかないのだわ!」

 ラディウスに続く形でクレリテがそんな風に言うと、

「うん、それもあったね。地下に何か秘密がありそうな感じではあるけど……」

 と、セシリアが顎に手を当てながらそう呟くように言う。

 

「聖木の館は色々ありすぎるというか……闇が深すぎるのです……」

 そんなメルメメルアの呟きを聞いたクレリテとリゼリッタが、

「まあ、アルベリヒ麾下の魔導機甲師団が駐屯する施設だから当然と言えば当然なのだわ」

「宮廷内で得た情報では、あそこが帝国が有する――いえ、アルベリヒが有する『実験施設』の中では最大規模だという話は、帝国の中枢では公然の秘密となっていますね」

 などという言葉を紡ぎ、やれやれと言わんばかりの表情を見せた。

 

「逆を言えば、あの施設の真実が明るみになれば、帝国軍内は大分混乱するって事だね」

「はい。特にその事実を知らない一般兵などへの影響は大きいでしょう。帝国軍に属していると、実験体にされる可能性があると分かったら、逃げ出す者やこちらに付く者が出てくるでしょうし、戦わずして兵力を削ぐ事が出来るというものです」

 リゼリッタがセシリアの発言に頷いてそう返事をすると、アルフォンスがそれに続く形で腕を組みながら告げる。

「そうだな。向こう側の世界のこの辺りを、じっくりと調査する為にも有効だな」


「えっと……それはどういう事ですか?」

 ルーナが首を傾げつつアルフォンスに問いかけると、

「ああ。向こう側の世界だと、ここの湖畔には北方軍団――魔導機甲師団の一部を含む帝国軍――のデケェ基地があってな。そこをどうにかしねぇと、調査なんざ無理にちけぇんだわ」

「そこで、聖木の館の一件を突きつけて、帝国の軍人たちの戦力を削ぐなり混乱させるなりすれば、調査しやすくなるはず……とまあ、そういうわけなのだわ」

 

「まあそういう事ですね。ついでにアルベリヒを追い詰める事が出来れば、帝国中枢の謎……ひいては皇帝についてのなんらかの情報を得やすくなるかもしれませんね」

「……あまり無闇にヤブと突き過ぎると蛇……いや、竜が出て来かねねぇから、注意しろよ?」

 リゼリッタに対してアルフォンスがそんな風に言うと、

「たしかにその通りなのです。どれだけ慎重に進めても、いきなり運悪く『ハズレ』を引き当てる可能性もあるのです。リゼリッタさん、少しでも怪しいと感じたら、触れない事をオススメするのです」

 なんて事を、メルメメルアが頷きながら告げる。

 

「心配していただきありがとうございます。しかし、妙に実感がこもっていますね……」

「……まあ、ちょっと前に思いっきりハズレを引いたからねぇ……。一発で……」

 小首を傾げたリゼリッタに対し、セシリアが人差し指で頬を掻きながらそんな風に言う。

 

「そうなのですよ……」

 と言って、幻兵の件について話し始めるメルメメルア。

 ラディウスはそれを聞きながら、アルフォンスが妖姫の話を記したファイルを改めて眺める。

 

 ――この情報をもとにすれば、聖木の館の方はどうにかなる。しかし、妖姫の方をどうにかするには、今一歩情報が足りないな……

 やはり、あの鎖を生み出した宮廷魔工士とやらが一体何者なのか気になるな……

 リゼリッタもそこまでは行き着いていないようだが……

 

 と、そんな事を思いながら……

第2節は今回の話で終わりです。

次の話からは第3節になり、本格的に聖木の館の話へと戻ります。

(無論、カチュアの話も進展します)


といった所でまた次回! 

次の更新も平時通りの間隔となりまして……2月28日(火)を予定しています!

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