表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

402/636

第21話 冥闇の彼方。打ち込まれた楔。

「よし、それじゃあ発動させるぞ!」

 ラディウスがそう告げたその後ろでは、セシリアたちが既に臨戦態勢に入っており、「いつでも大丈夫だよ」と、セシリアが代表するように答える。

 

 その言葉を聞いたラディウスが速やかにガジェットを起動。

 と、その直後、まるで塔の様な構造をした多重魔法陣が『残滓』を取り囲むように――いや、『残滓』を飲み込むようにして出現する。


「お、おお……。なんだか知らないがこれは凄いな……」

 なんていう感嘆の声をカルティナが発した次の瞬間、全ての魔法陣が鳴動。

 魔法陣から光の鎖が一斉に『残滓』へと伸びていき、『残滓』へと突き刺さる。


「鎖……?」

 メルメメルアが首を傾げた直後、鎖が突き刺さった所に小さな穴が生じる。

 そして、それと同時に突き刺さっている鎖が、今度はその穴をこじ開けるように動き始める。


 その様子を眺めていたセシリアが、

「なにがなんだかさっぱりだけど、凄い魔法だというのだけは理解したよ。うん」

 と、そんな風に言うと、カルティナがそれに同意するように頷いてみせる。

 

「もしかして、あの穴の向こうにカチュアが囚われているです?」

 鎖の――魔法の『用途』を視たメルメメルアが、その情報から推測を述べる。

 ラディウスはそれに対し、「その通りだ」と同意の言葉を返すと、そのままルーナの方へと顔を向け、「ルーナ!」と呼びかけた。

 

「任せてっ!」

 事前に話を聞いていたルーナはそう返すと、銃型ガジェットを構えて穴に狙いを定める。

 そして、トリガーが2連続で引かれ、銃口から勢いよくふたつの魔法弾が発射された。

 

 魔法弾が穴へと吸い込まれ……そして消えていくのを見ながら、 

「これで大丈夫なのよね?」

 と、そう問いかけるルーナ。


「ああ。今ので中に一種の『シグナルサイン』と『アンカー』の両方を打ち込んだような状態だ。これで色々と向こう側を解析する事が出来るし、乗り込む時の『目印』にも出来る」

 ラディウスが頷いてそう返事をした直後、セシリアが聖剣を構え、

「何かが飛び出してくるよっ!」

 という警告を発した。


 直後、黒い『手』のような形状の『何か』が穴から飛び出し、床に落ちる。


「黒い……手? いや、スライムの類か? 攻撃が効かない……とかだと困るが……」

 飛び出して来た『手』が床に落ちたのを見ながらそんな事を呟き、銃――魔法弾でそれを撃ち抜いてみるラディウス。

 すると、『手』はあっさりと霧散し、消滅した。


「攻撃が効く上に脆い……? これは一体……」

 なんて事を思った直後、『手』が穴から次々に飛び出してくる。

 

「ちょっ! いきなり増えすぎ!」

「これはまた多いな……だが、動きは遅い。銃斧でなくても、剣で十分対処可能だ!」

 セシリアに続く形でそんな事を言い放ちつつ、剣を振るうカルティナ。

 

 だが、カルティナの剣で斬った『手』は再びくっついて全く違う形状――『山』という漢字のような形へと変化した。

 

「復元……!?」

 驚きの声を発するルーナに続くようにして、ルーナと同じく驚きの表情で、

「こいつ……まさか、魔法じゃないと倒せないのか!?」

 と、そんな推測を口にするカルティナ。


「まずは穴を閉じる!」

 穴に視線を向けたまま、そう告げるラディウス。

 直後、ラディウスが展開していた術式が一気に崩壊し、穴が消滅。

 穴が消滅したことで、新たに『手』が飛び出してくる事はなくなった。

 

「魔法というか、魔法か魔法に匹敵する物――魔法弾とかじゃないと駄目みたいだな」

 ラディウスがそう言いながら銃で間近にいた『手』を消し飛ばすと、

「幸い、魔法や魔法弾なら全員使えるけど……」

「さすがにここじゃ上位の魔法は使えないわね……。建物を破壊してしまうわ」

「そうだな。下位の魔法か魔法弾でチマチマふっ飛ばしていくしかなさそうだ」

「それなら片っ端から倒して倒して倒しまくるのです!」

 なんて事を円陣を組むような形で固まりながら言い放ち、周囲を囲みつつある『手』を見据えるセシリアたち。

 

「よし、一気に殲滅するぞ! 各自、正面方向にだけ集中しろ!」

『了解!』

 ラディウスの指示に全員が同時にそう答え、それぞれが異なる攻撃魔法を発動させ始めた――

『冥闇の彼方』も大分長くなっていますが、もう少しで終わります……!


とまあそんな所でまた次回。

次の更新は平時通りの間隔となりまして、1月21日(土)を予定しています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ